戦争と平和 第3巻・第3部(33−2)ピエール、通りすがりの女の末娘を火事から救う決意をする。 | 気ままな日常を綴っています。

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(物語)

10から12位の汚い服とマントを着た2人の少女が怯えきった怪訝そうな表情を浮かべて母親を見ていました、7つばかりの末の男の子が、年老いたばあやに抱かれて泣いていました。

制服姿のずんぐりした夫が、無表情な顔で、積み重ねた長持を動かし、その下から衣類のようなものを引っ張り出そうとしていました。

 

女はピエールを見ると、足にすがりつかんばかりに言いました。

「お願いでございます、お助け下さいまし、この通りでございます、旦那様。」「、意志、絵を❗️。。小さな。。下の女の子が火の中に❗️。。焼け死んでしまいます❗️ああ❗️手塩にかけたのに。。こんな酷い。。ああ❗️」

「よしなさい、マリヤ・ニコラーエヴァ」と、夫は低声で妻をたしなめました。

「きっと妹が連れ出してくれたはずだよ、だって他に行き場所が無いじゃないか❗️」と、彼は言い加えました。

「のろま、悪党❗️」と、いきなり泣くのを止めて、女は憎さげに怒鳴りつけました。「あんたにゃ心っていうものが無いんだ、我が子が酷く無いのさ。他の人なら火の中から助け出したはずだよ。それがあんたときたら、突っ立ったきりで人間じゃ無いよ、父親じゃないよ。貴方(=ピエール)は気高いお方でございます。」と、女はしゃくり上げながら、せかせかとピエールに言い始めました。

 

「隣が燃え出して、うちに飛び火し、女中が火事だって叫びました。慌てて着のみ着のままで飛び出したのでございmっす。。持ち出したのは聖像と嫁入りの時の寝具くらいなもので、後はすっかり失くしてしまいました。子供達は❓と見ると、カーチュチカが居ない。おお、おお❗️神様❗️。。」そして女はまたもだえ泣き始めました。

「添えで、何処です❓その子は何処に居るんです❓」と、ピエールは言いました。

その意気込んだ顔を見て、この人なら助けてくれる事ができる、と女は悟りました。

「旦那様❗️旦那様❗️」と、女はピエールにすがりつきながら叫びました。

「アニースカ、さ、早く、この方を案内して、ぼやぼやしないで。」と、女は女中を怒鳴りつけました。

「案内して下さい、さ、早く、僕が。。僕が。。やってみます。」と、ピエールは息を切らしながら言いました。

 

ピエールは深い昏睡からふいに目覚めたような思いでした、彼はきっと頭をそびやかしました、目は生命の光を放ってきらきら輝き始めました。

そして彼は急いで女中の後に続き、女中を追い越してポワルスカヤ通りに出ました。

通りは一面黒い煙の雲に包まれていました、通りの真ん中に1人のフランスの将軍が立ちはだかって、周りの者達に下知していました。

ピエールは女中の後について、将軍の立っている方へ行こうとしました。

すると、フランス兵達が彼を止めました。「ここは通り抜けならん」

「こっちだよ、おじさん❗️」と、女中が叫びました。「横丁からエクーリンさんのとこの庭を抜けて行きましょう。」

 

ピエールは逆戻りして、遅れまい、と時々走りながら、女中の後ろに続きました。女中は通りを走り抜けて、左の横丁へ折れ、家を3軒通り越すと、右手の門へ飛び込みました。

「もうすぐですよ。」と、女中は言いました。

そして庭を突っ切ると板塀の平戸を開け、立ち止まって、焔に包まれている小さな木造の傍屋をピエールに指差しました。

家の片側は焼け落ち、別な側が燃えていて、家や屋根の下から真っ赤な炎が吐き出していました。

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(解説)

ピエールは通りすがりの女性から「末の娘が火事の中にいる、助けて欲しい。。」と懇願されます。

ピエールは、元々義侠心が強い人間ですから、(彼的に言えば)もっとも偉大な行動と思われる『ナポレオン暗殺』の計画などすっ飛んで、しかし、彼的にはなんか『こっちの方が大事』と言わんばかりに少女を助け出す、と女性に約束します。

 

ピエールは、女中の案内で、火事で混乱している通りを抜けてようやくこの女性の家にたどり着きますが、もう半分以上燃えてしまっています。。

さて、ピエールは女の子を助け出す事が出来るのでしょうか。。❓