これは、マルコリーニ期にも似たような金彩、形状の物が見られています。
業者様の解説では1860年頃との事です。
マルコリーニ期は「リボン」が一つの特徴になりますので、もう少し古い年代かもしれない、とも思っております。
ただ、意匠が後の年代にも使用されることは当然ありますので、もっと後の、業者さんがおっしゃる1860年頃かも知れません。
かなり小さな作品です。
カップ直径:約5、7㎝
ソーサー直径:約11㎝
この中に綿密な風景画が3個、美しい文様の金彩が正確に打たれています。
蓋のバラの金彩などは1㎜の世界です。
ルーペなどを使って、全部手書きでなされています。
今では、このような作品が市場に出回る事はほぼ不可能と思われます。
(参考:マルコリーニ期末期(1810年位)の作品と思われる。)
この類の作品は、恐らく「飾るマイセン」だったと推定されます。
自然豊かな景色をいくつかのカップ&ソーサー、ポット、クリーマー、トレー、プレートなどに描き、テーブルのセンターに置いて眺めながら、会話の話題を提供するものだった可能性が高いですね。
ケンドラーの時代も、テーブルに置くセンターピースやフュギュア(人形)を盛んに作っていましたから。
使う食器は、もう少し絵付けと金彩がシンプル(いわゆるセルヴィス)で、その代わり器にダメージを受けにくいレリーフを入れて楽しんだと思われます。
絵付けと金彩の立体感が分かると良いのですが、少し斜めにして撮影して見ました。
金彩の文様が結構複雑なのがわかっていただけると思います。
風景画の部分も、絵の具が何層にも塗られ、焼成されている事が分かります。
このような作品は、一発で成功する事は、かなり難しかったのではないか。。と思います。
だから、作るのに手間がかかると同時に成功の確率も下がりますから、本当に気が遠くなるような作業だったと推定されます。
このボーダーの金彩も一個一個手書きでなされています。
一部の狂いもなく打たれています。
相当な職人芸ですね。
恐らく、窓の面積は1×4㎝程度ですね。
この窓枠の中に壮大なアルプス(❓)の風景です。
恐らく、旅行など夢の世界であった当時の貴族たちが、このような陶磁器に描かれた風景を眺めてスイスに行った気分などを味わったのでしょうか。。
蓋のつまみの薔薇の文様です。
右側は、東ドイツ時代のマイセンで作られたシュガーポットの蓋ですが、19世紀前半の左側の方が花びらも丁寧に作られているでしょう❓
陶磁器で薔薇のつまみを作って粘土で貼り付けているのですね。
本当に美しいです。
カップの絵付けも素晴らしいです。
金彩もため息が出るように素晴らしいですね。
造形は、型押しでやっていますから、焼成後にアウトになった部分は、最初から作り直す事が出来るのですね。
この点は、ロクロで作るよりも易しいでしょうが、それにしても発注から出来上がりまで1年とか要する作業だったのではないか。。と思われます。
双剣マークはボタン剣ですね。
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