源氏物語「夢浮橋」① 僧都、薫に宇治での出来事を語り、浮舟の生存を知らせる。 | 気ままな日常を綴っています。

気ままな日常を綴っています。

いつか静かに消える時まで。。
一人静かに思いのままに生きたい。。

夢浮橋」(ゆめのうきはし)は、『源氏物語』五十四帖の第54帖(最後の巻)。第三部の一部「宇治十帖」の最後(第10帖)。

源氏物語』の多くの巻名が本文中にある言葉(特に歌の中にある言葉)から取られているが、この「夢浮橋」という言葉は本文中に見られない[1]藤原定家の古注釈『源氏物語奥入』では、出典未詳の古歌「世の中は夢の渡りの浮橋かうち渡りつつものをこそ想へ」に関連するとしている[2]。なお、本帖は「法の師」(のりのし)という異名で呼ばれることがあるが、この「法の師」という巻名は本帖中の薫の歌「法の師と尋ぬる道をしるべにて思はぬ山に踏み惑ふかな」によっている。・・・以上、ウイキペディアより。

薫 28歳 匂宮 29歳 浮舟23歳

ーーーーー

薫の大将は、比叡山においでになって供養を済ませるのよ。

その翌日は、横川へお出でになって僧都にお会いになるのよ。

この度、女一宮の御病気に当たって、僧都の加持祈祷が素晴らしい験力を現されたのを目の当たりに御覧になり、薫の大将は僧都をこの上なく尊敬なさって、これまでよりはもう少し深い仏縁を結んでいらっしゃるのね。

 

僧都は重々しい地位の薫の大将がこうしてわざわざ起こしになられたと、大騒ぎでおもてなしをするのよ。

あれこれと世間話をなさるついでに、薫の大将は「小野の辺りにお持ちの家がございますか❓」とお尋ねになるのよ。

僧都は「いかにも」と申し上げるわ。

薫の大将は「実は、昔、私が世話をしなければならなかった身を隠しているように聞きました。その者は僧都の仏弟子になって、戒などもお授け頂いたと耳にしたのですが、それは本当で御座いますか❓まだ年も若く、親なども生きている者でしたので、私がその人を死なせたように言いがかりをつける者もおりまして。。」などとおっしゃるのよ。

 

僧都は「やはりそうだったのか。。どうもただの人間ではないようないわく有り気な様子だった。。こうまで大将が仰せになるのは、軽々しくお思いでなかった女なのだろう。。」と思うと、自分が法師だとはいえ、深く考えずに剃髪をさせてしまったものだと、胸が潰れる思いでどうお返事を申し上げて良いものか。。と思うのよ。

そして、事情は隠しきれるものでは無いと悟り、事の次第を薫の大将に説明するのよ。

 

そして浮舟を出家させた経緯をこう説明するのね。

「宇治の院でお命をお助けして京にお連れ申してからも、3ヶ月程は死人のようでいらっしゃいました。妹の尼君が、命を助けて欲しいと拙僧の加持祈祷を、言葉を尽くして頼んで来ましたので、拙僧自身、西坂本に下山し、護身の加持祈祷を務めましたところ、その病人は次第に普通のお体に回復なさいました。しかし『やはり体に取り憑いた物が離れないような気がしますので、この悪霊の妨げから逃れて後生の安楽を願いたい』とおっしゃるので、確かに拙僧が出家をおさせ申し上げました。全く貴方様がお世話をしげなさるはずのお方などと、どうして気づく事が出来ましょうか。。」と。。。

 

そして僧都は、この様な事は滅多に有る事では無く、世間話のタネの様に評判になったら面倒な事になるだろう。。とこの幾月内密にしていた、と申し上げるのね。

 

薫の大将は、死んでしまったとばかり諦めていた人が本当に生きていたとお思いになると、あまりの思いがけなさに隠しようもなく涙ぐまれるのよ。

僧都の方は、こんなに大将が大切に思っていらっしゃった方を、この世に亡き人同然の尼姿にしてしまった事に、罪深い事をしでかした気になるのね。

僧都は「悪霊に取り憑かれてしまうのは、そうなる前世からの因縁なのです。察する所、恐らく高い家柄のお生まれでいらっしゃいましょう。どういう間違いから、こうまで落ちぶれなさったのでしょうか❓」とお尋ねになるのよ。

薫の君は「一応は、皇族のお血筋の方です。この私も元々正式な妻に、と考えた訳ではありませんが、ふとした事から世話をする様になったのです。それが突然跡かたもなく消え失せてしまったので、身投げをしたのだろうか。。など色々不審な点が多くて、確実な話はこれまで聞く事も出来なかったのです。その人の母が、ひどく恋い慕って悲嘆にくれているとの事ですから、こんな話を耳にしたと告げてやりたくなります。どうか私の案内役として、あの西坂本まで下山なさって下さい。ここまで仔細を聞いておきながら、このままいい加減に捨てても置けないと思っていた女ですから、夢の様なあの頃の出来事を、尼になった今なりと話し合いたいものと思うのです」とおっしゃるのよ。

 

僧都は「剃髪して尼になり、俗世を捨ててしまったのだと思ったにしても、法師でさえ怪しからぬ煩悩は捨てきれない者も居るとか。。まして女の身ではどんな者だろうか。。可哀想に、罪作りな事になりそうだ」と悩むのよ。

「下山することは、今日、明日には支障がございます。来月になりました頃、こちらからお手紙を差し上げましょう」と言上するのね。

薫の大将はもどかしく思うものの、僧都の言う事の通りになさる事にしてお帰りになる事にするのよ。

 

薫の大将は、この時、浮舟の弟の器量の美しい少年を、お供としてお連れになっていらっしゃったのよ。

その時、僧都はこの少年に目をつけてお褒めになるのよ。

大将は「この子に託して、とりあえず僧都のお手紙で事情をそれとなく仄めかして下さい」と申し上げると、僧都は手紙を書いて少年にお与えになるのよ。

※ここで一言。結局、僧都が出家させた女に、あたかも「恋の道案内」をするかの様に僧都自身が下山して薫を小野の山荘に案内する事は、罪障になると思っているのですね。そして薫の方も、「別に色事では無く、女の母親の心配を除いて上げたいから」という「建前」で、自らでは無く、この弟の少年をお使いをさせているのですね。。両人とも「建前」重視である事に注目ですね。
 

小野の里では、浮舟が青葉の山に向かって物思いにふけっていたのよ。。

ふと目をやると、谷の方に特別ものものしい声で前駆が追うのが聞こえるのよ。

尼君達も「昼間、僧都に海藻の乾物を差し上げたら、そのお返事に大将様がお越しあそばして御馳走を急に作るので、丁度良い所に貰ったと書いてありましたよ」

「大将様は、今上帝の女二宮のお婿様でいらっしゃいましたから」などというのを浮舟は耳になさるのよ。

 

浮舟は「本当にそうかも知れない。宇治の山地を踏み分けて薫の君がお越しになった時の随身の声も中に混じって聞こえてくるから。。」とお思いになるのよ。

月日が過ぎて行くにつれ、忘れるはずの昔の事が、こんなに思い出されて忘れないのもどうなのか。。と阿弥陀仏を祈る事に気を紛らしているのね。。

 

今日はここまでです。

本当に悪文で申し訳ありません。

次回は「夢浮橋」②(最終回:全帖の完結)になります。

 

今日も良い一日をお過ごし下さいね❣️

ーーーーー

(追記)

薫は、比叡山で供養を済ませた翌日に、横川に立ち寄り僧都にお会いになります。

僧都は、重々しい身分の薫がわざわざお越しになられたので、大騒ぎでおもてなしをします。

薫は、僧都に、小野の庵の事を尋ねます。

僧都が戒をお授けになった女は、実は自分がお世話をしていた女で、その女の親も生きている、と。

 

僧都は、薫の話を聞いて、やっと浮舟の事情とこれまでの経緯との辻褄が合うのでした。

そして、自分がそこまで深く考えずに浮舟を剃髪させてしまった事に胸が潰れる思いになるのでした。

僧都は、浮舟を出家させた経緯を薫に説明して差し上げ、自分がこの人が薫がお世話をしていた方だと気づきようが無かった。。と申し開くのでした。

 

薫は、死んでしまったとばかり諦めていた浮舟の生存を知り、涙ぐみます。

僧都は、そんな薫を見て、このような方が大切に思っていらっしゃった方を、この世に亡き人間同然の尼姿にしてしまった事を罪深く思うのでした。。

 

僧都は、浮舟の素性を薫に尋ねます。

薫は、浮舟が皇族のお血筋であり自分の愛人としてお世話をしていたが、突然姿を消しその理由を今まで知る事が出来なかった事、浮舟の母が酷く悲嘆に暮れているとの事なので彼女に会い、話をして母に様子を知らせたい。。等とおっしゃるのでした。

 

僧都は、さすがに自分が下山して尼になった浮舟を薫に引き合わせるのはどうか❓と思い、来月になったら手紙を差し上げましょう。。と薫に言上するのでした。

薫は、僧都の対応をもどかしいと思い、浮舟の美しい弟の少年に、僧都のお手紙を託して小野の庵にお使いをさせる事にします。

 

小野の庵では、物々しい声で前駆が追う声が聞こえて来ます。

尼君達は「薫の大将様のだ。。大将様は、今上帝の女二宮のおむこ様だ。。」などと噂し合っています。

その声に浮舟は、忘れようとしていた昔の事を思い出しそうになり、思わず阿弥陀仏を祈り気を紛らわすのでした。。