源氏物語「蜻蛉」① 浮舟失踪後の人々の動転。 | 気ままな日常を綴っています。

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いつか静かに消える時まで。。
一人静かに思いのままに生きたい。。

蜻蛉」(かげろう)は、『源氏物語』五十四帖の巻名の一つ。第52帖。第三部の一部「宇治十帖」の第8帖にあたる。巻名はが宇治の三姉妹との因縁を想い詠んだ和歌「ありと見て手にはとられず見ればまたゆくへもしらず消えしかげろふ」に因む。・・・以上、ウイキペディアより。

薫 27歳 匂宮 28歳 中の君27歳 浮舟22歳

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翌朝、宇治の山荘では、浮舟がいらっしゃらないのに気づき、女房達が大騒ぎをして探し回るけれど、何の甲斐も無いのよ。

京の母君からも、昨日の使いがまだ戻っていないので不安だと、また新しい使いを寄こすのよ。

何とお返事したものかと、乳母はじめ女房達は慌て惑うばかりで、途方に暮れているのね。

秘密を知っている右近や侍従達は、このごろ浮舟がただならず落ち込んでいたのを思い出して、宇治川に身投げをなさったのではないか。。と考えつくのよ。

 

母君からの手紙には「貴女の事があまりに気掛かりで眠れなかったせいか、今夜は夢にさえお姿を見る事も出来ず、やはり不吉な事でも起こったのか、と恐ろしくてなりません。京へお移りになるまでの間、ひとまずこちらへお迎え致しましょう」などと書いてあるのよ。

浮舟の昨夜の手紙も開けてみて、右近は激しく泣くのよ。

「やはりそうだったのか。。こんな心細い事をお書きになって。。どうしてこの私に、ほんの少しでもお心の内を打ち明けて下さらなかったのだろう。。この世を限りという死出の旅に、私を残し自殺の素振りさえお見せにならなかったとは、あんまりな。。」と、右近は幼子のように泣くのよ。

 

乳母は、右近達よりもかえって度を失い、おろおろしているのよ。

匂宮の方でも、いつもとはひどく様子の違った訳あり気な浮舟のお返事を御覧になって「私を慕ってくれている様子だったけれども、私のひどく浮気な性分からの出来心ではないか、といつも疑っていたから、どこかへ姿をくらまそうというつもりなのだろうか」と胸騒ぎを覚えられて、お手紙をお使いに持たせて寄こされるのよ。

 

でも、そのお使いは、山荘で人々が泣きうろたえている最中に着いたので、宮のお手紙をお渡しすることが出来ないのよ。

使いの男は、下働きの女中に事情を問うも、女は「姫君は、昨晩急にお亡くなりになりましたので、皆さっぱり訳がわからないのです。頼りになる薫の大将様も、いらっしゃらない時なので、皆ただ慌てふためいているのです」と言うばかりなのよ。

 

お使いの者は、こちらの事情も深くは知らない男だったので、そのまま京に戻って匂宮に取り次ぎ報告するのよ。

匂宮は、お驚きになって「そんな不思議な事があるものか。昨日貰った返事は、そうした気配も無くて、いつもの手紙より却ってしみじみと情を込めて書いてあったくらいなのに」と、全く納得が行かないのよ。

匂宮は、時方に「すぐに宇治に行って、確かな事を問いただして来るように」とおっしゃるのよ。

 

時方は、宇治の警護が厳重なので、今、こちらから宇治に出向くのは(匂宮の事が)薫の君のお耳に入るのではないか。。と思うけれども、匂宮の御心配そうなおいたわしい御様子がお気の毒で、早速宇治へ出掛けるのよ。

山荘には人が大勢居て「今晩このまますぐ御葬送するのです」などと聞いて、呆れるばかりなのよ。

時方には侍従が会うのよ。

 

(日本スミレ)

侍従は「誰も皆、何が何だかわからず、おろおろしている有り様だと匂宮様にお伝え下さいまし。先日の夜、せっかくいらして下さったのにお逢い出来ず、お気の毒な事をしたと悲しんでいらっしゃった姫君のご様子なども、少し気持ちが落ち着きましてからお話し申し上げましょう。死の穢れなど、世間で忌む期間が過ぎましたら、もう一度お立ち寄り下さいまし」と言って激しく泣くばかりなのよ。

 

家の中でも、人々の泣き声ばかりがして、その中の乳母が「お亡骸にさえ、お逢い出来ないとは。。私の姫君をさらって行った者は、人でも鬼でもお返しになって下さい。お亡骸なりと、せめて拝みとうございます」と言っているのを聞いて、時方は、納得しがたい点があるのでさらに尋ねるのよ。

時方は「もしかしたら、誰かが姫君をお隠ししたのですか❓私は確かな事情を聞いて来るように。。と匂宮のお身代わりとして、差し向けられた使者ですよ。匂宮が『まさか亡くなられた事はないだろう』と信頼なさって、こちらで貴女方に会ってよく話を聞いて来るように、とお言いつけになったお気持ちももったいないとはお思いになりませんか❓」と言うのよ。

 

時方の疑問を聞いて侍従は「誰かがお隠ししたかも知れないと、少しでも思う当たる節がありましたら、誰がこんなに慌てふためき困り果てるでしょうか。姫君は、匂宮との事を決して人に知られないようにと、密かにお胸一つに秘めて、お心の中では匂宮の御愛情をもったいなくもしみじみ恋しいとお慕い申し上げていらっしゃいましたので、御乱心になったのでしょう。。」と話すのよ。

時方は、これ以上の事情を聞き出せないと思い「それでは改めてゆっくりお伺いしましょう。。そのうち、匂宮もお伺いなさるでしょう」と言うのよ。

侍従は「姫君が亡くなるまで固く秘密になさいました事なので、匂宮もまた他へお洩らしになさいませんよう。。」と言い、自殺でないように取り繕っているのに、これ以上は話せない、と急き立てて時方を京に返すのよ。

 

雨がひどく降りしきるのに紛れて、母君も宇治にいらっしゃるのよ。

母君は、匂宮と浮舟の事を一向に御存知無いので、姫君が思いつめて宇治川に身投げしたなどとは、思いも寄らないのよ。

侍従が、部屋に書き残されたものを調べると「亡き影に」と書き散らされた歌が硯の下に有ったのよ。

それを見つけて侍従たちは、やはり入水なさったのか。。と思うのよ。

 

右近と侍従は話し合って「匂宮との内事情も、御自分からなさった事では無いし、あの事をお聞きになったとしても、お相手があんなに高貴なお方だから、それほど恥ずかしい思いをなさる事も無いでしょう。。不安に思っていらっしゃるお心を少しは晴らして差し上げましょう。。」と言うのよ。

そして、右近達は、こっそりこれまでの事を母君にお話しするのよ。

 

今日はここまでです。

いつも長いお時間を取らせてしまいまして申し訳ありません。

次回も「蜻蛉」②です。

 

今日も良い一日をお過ごしくださいね❣️

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(追記)

宇治の山荘では、浮舟が忽然と消えてしまったので大騒ぎをしているのですね。

事情を知らない者は、誰かに連れ去られたのか、死んでしまったのか。。全く見当も付かないのです。

しかし、匂宮との一件を知っている右近と侍従は、最近浮舟がその事で悩んでいた事を知っていたし、見つかった母宛の遺書めいた手紙から「宇治川に入水下に違いない」と思うのです。

 

一方、匂宮も、昨日の浮舟からのお返事がいつもと異なり「どこかへ姿をくらますのかな❓」と胸騒ぎがして宇治に手紙を出しますが、宇治では浮舟が行方不明でおそらく亡くなったらしい。。と大騒ぎなので、使いの者は手紙を持ち帰り、浮舟が亡くなったらしい。。とだけ匂宮に伝えるのですね。

 

匂宮は、どうしても浮舟が亡くなってしまったとは信じられません。

きちんとした理由が知りたくて時方を宇治にやり偵察させるのですね。

時方も「(浮舟は)誰かに連れ去られたのではないか。。」と思いつつも、侍従から「連れ去られたのなら誰もこんなにあたふたしない。亡くなったのだ。でも、匂宮との事は姫君が人には内密にしていた事だから、匂宮もその気持ちを尊重してほしい(匂宮との関係を苦にしての自殺とは人に言わないでほしいと言う事だと思います。)」とだけ言って、時方を京に帰すのですね。

 

そこへ、浮舟の母君が、浮舟に何か不吉な事が有ったのではないか、と宇治にやってきます。

何も知らないでオロオロする母君に、右近と侍従は良心の呵責からか、浮舟と匂宮との関係その関係は浮舟からなさった事では無かった事、そして浮舟がその事に大いに悩んで宇治川に身投げしたらしい。。と伝えます。

母親はそれを聞いて非常に仰天するのですね。。。