源氏物語「浮舟」⑧ 薫、随身から匂宮と浮舟の関係を知らされる | 気ままな日常を綴っています。

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随身は、取り次ぎに聞かれても具合が悪いと考えて、黙って畏まっているのよ。

薫の君も、その気持ちをお察しになられて、そのまま六条の院へお出かけになったのよ。

 

六条の院では、中宮の御気分がお悪いというので、親王たちも皆参上なさっていたのよ。

そこへ、あの内記が遅れて来たのよ。

内記は、持って来た浮舟のお手紙をここで匂宮にお渡しするのよ。

匂宮は、薫の君が御覧になっている事に気付かず、その場で手紙を開けて御覧になるのよ。

薫の君は、紅の薄い紙に綿々と書いてあるようだ、とすぐ見て取られるのね。

 

夜が更けてから、見舞いの人々は皆六条の院を退出なさったわ。

薫の君は、さっき随身が何やら訳ありげな様子をしていたのが気がかりになったので「さっき、話し掛けていたのは何だったのか❓」とお聞きになるのよ。

随身は、宇治でどうやら匂宮からのお使いが、匂宮のお手紙を届け、そのお返事を匂宮のお邸に持ち帰ったようだ、とお伝えするのよ。

そして、宇治からのお返事は、紅の色紙のたいそう綺麗な手紙だった様だ。。とその様子も細々お伝えするのね。

 

薫の君がさっきチラと見た手紙と思い合わせると、それは同じものに間違い無いのよ。

おかえりになる道すがら「やはり匂宮は、恐ろしく抜け目の無いお方だ。しかしどうしてあの女が宇治に居るとお聞きになったのだろう。。宇治の様な田舎びたところに置いておけば、まさかこういう方面の間違いは起こらないだろうと思っていたのは、迂闊な事だった。。匂宮は、どの様にしてあの女に言い寄ったのだろう。。昔から何の隠し隔てもなく親密にして、おかしな色事の取り持ちや案内までつとめてあげたのに、こんな後ろ暗いひどい事を思いつかれるとは、あんまりな」と思うと、実に面白くないのよ。

 

そして薫の君は、中の君との事もこう思うのよ。

・自分が中の君を恋しく思いながらも、長い年月間違いもなく通して来たのは、自分が慎重だったからと言うのもあるけれども、その恋が今始まった道ならぬ恋ではなく、お二人が結ばれる以前からの、、大君からの因縁による深いものだったのだ。

・ただ、自分の心の中に後暗い影があれば、中の君にはもちろん、自分の為にも苦しい事になるだろうと、自分の気持ちを抑えて来たが、思えば馬鹿げた事だった。。

・匂宮は、御気分が悪くて取り込み中なのに、どの様にして宇治までお手紙をおやりになれるのだろう。もう宇治へはお通い始めているのだろうか。。

・匂宮が時々行方不明になられていたのは、そんな情事に溺れて思い悩まれ御気分もおすぐれではなかったのだろう。。

さらに薫の君は、宇治の女が、訪れた時ひどく悲しそうに思い悩んでいた様子だったのも、何もかもあれこれと思い当たるので、情けないお気持ちになるのよ。

「難しいのは人の心というものだ。あんなに愛らしくおっとりと見えながら、好色な所の有る女だったのだ。匂宮のお相手としては、お互い浮気なのでお似合いというところか。。」と思い、いっそ匂宮に女を譲って自分は身を引きたいような気持ちにもなるのよ。

 

けれども「正妻として尊重する気持ちで通い始めた仲ならばともかく、それほどのつもりの女では無かったのだから、やはりこのまま隠し妻にしておこう。。匂宮との秘密事がバレたので、もうこれまでと縁を切って逢わなくなるのも恋しいだろう」と色々考えるのね。

さらに「もし自分が、この女に愛想を尽かして捨ててしまったら、必ず匂宮が呼び寄せるだろう。。そして、匂宮が飽きてしまわれた後は、御姉君の女一宮の御殿に女房として奉公に出されるだろう。今までも、そんな女が2、3人は居たと聞いている。宇治の女が、女一宮に御奉公にあげられるのるを見聞きするのも、あんまり可哀想だ。。」と、薫の君はやはりあの女を捨てる気にはなれず、様子を知りたくてお手紙をおやりになるのよ。

 

宇治では、薫の君のお使いが、いつもより頻繁にやって来るので、浮舟はあれこれ物思いが多くなるのよ。

薫の君のお手紙には「貴女が心変わりして、他の男を待っているとも知らない愚かな私は、今も貴女は私だけを待っていると思い込んでいたのです」と書いてあったのよ。

この手紙を読んで、浮舟の心は不安で一杯になるのよ。

もうお返事の書きようも無くて「お宛先が間違っているようでございますので、お返し申します。妙に気分も良く有りませんので、何も書く事が出来ません」と書き添えてお返しするのよ。

薫の君は、それを御覧になって、流石に巧く言いつくろったものだ、こんなに機転の利く女とは思ってもみなかったと、心憎からず思うのよ。

 

直接ではないにしても、匂宮との事を仄めかしていらっしゃったお手紙の様子に、浮舟の悩みは一層増すのよ。

そこへ右近が来て「薫の君のお手紙をどうしてお返しになられたのです❓お手紙を返すなんて不吉で忌み嫌うものなのに。。」と言うのよ。

浮舟は「訳のわからないことが書いてあったので、宛先を間違われたのかと思って。。」とおっしゃるのよ。

実は右近は、お手紙をそのまま返すのは変だと思って、手紙を返す前に開けて盗み読みしていたのよ。

右近は、手紙を読んだとは言わずに「お気の毒に。。どなたにも困った事になりましたね。薫の君はきっと大体様子をお察しになったのだと思いますわ」と言うので、浮舟の顔はさっと赤くなるのよ。。。

 

今日はここまでです。

いつも長文ですみません💦

次回も「浮舟」⑨です。

 

今日も良い1日をお過ごしくださいね❣️

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(追記)

薫は、随身から、匂宮が浮舟と手紙のやり取りをしているらしい情報を聞きます。

しかも、匂宮が読んでいた手紙は色っぽい恋文のようです。

それで、薫は「ピン❣️」と来るのですね。。

匂宮は、浮舟が宇治にいる事を突き止めてなんらかの接触を持ったに違いない、そう思えば匂宮の御病気も、浮舟の憂鬱な表情も全て合点が行くのですね。。

 

それにしても。。薫は思います。

今まで、自分は匂宮の為にとんでもない宇治へも案内して中の君との縁も取り持ったのに。。。

ましてや自分は、それよりも前に大君から「中の君と結婚して欲しい。。」とまで言われていたのを譲り、そして大君亡き後は大君の代わりとして恋心も有ったのに、特に間違いも犯さなかったのだ。。

そんな自分の生真面目さをバカバカしく思うのですね。

 

浮舟にしても、おっとりしていると思っていたのが、結構好色でしたたかだった。。と思うにつけ、もう自分は一切手を引いて匂宮に譲ろうか。。とも思います。

しかし、薫は浮舟に未練があるのですね。

匂宮に譲ったとしても、あの好色な匂宮が浮舟に飽きたら、彼女は女一宮に奉公させられるだろう。。そんな事を聞いたとしたら、自分の気持ちは乱れるだろう。。そもそも、匂宮に譲っても浮舟を全く忘れ去ることなんて所詮出来ないのだ。。とですね。

 

それで、薫は浮舟の今の様子が知りたくて宇治に手紙をよこすのですね。。

「何か別の男を待っていたみたいですが、私はてっきり貴女は私だけを待っていると信じていたのですけれどね」と嫌味っぽい事を書いてですね。。

それを読んだ浮舟は、もうびっくりしてお返事は出来ないので、そのままお手紙を薫に返すのですね。

それをおかしいと思った右近が、返されるお手紙の中身を読んでしまったので、「ああ。。薫の君は、全てをご存知なのだ」と悟り、浮舟にそのように言うのですね。。

浮舟は、右近の一言を聞いて、女房達にも知れ渡っただろう。。と思い恥ずかしさのあまり顔を赤らめるのです。