久々に書いてみました、不定期コーナー【テルミン入りCD紹介】。
今回は2018年に公開され、アカデミー視覚効果賞や、ゴールデングローブ賞で作曲賞を受賞した映画。
『ファースト・マン』のサウンドトラックの紹介です!!
『ファースト・マン』 オリジナル・サウンドトラック(2018)
テルミン演奏: ジャスティン・ハ―ウィッツ
こちらの作品。
長編デビュー作の『セッション』(→僕の感想はコチラ)で注目を集め、つづく『ラ・ラ・ランド』(→僕の感想はコチラ)の大ヒットで、すっかりハリウッドを代表する映画監督の一人になった、デイミアン・チャゼル監督が『ラ・ラ・ランド』に引き続き、ライアン・ゴズリングを主演に据えた作品。
音楽はチャゼル監督と長い間タッグを組み続けているジャスティン・ハ―ウィッツが担当。
人類初の月面着陸という歴史的な偉業に立ち向かう男たち。
そして、そんな偉業を成し遂げたにも関わらず、寡黙で感情を表に出すことの無いニール・アームストロング船長・・・・という、対照的な人物の姿を描いたストーリーと同様、音楽の方も総勢94名の重厚なオーケストラの響きと、MoogやらVCS-3といった60~70年代に大活躍したシンセサイザーを組み合わせたという、クロスオーバー的な、異業種交流会的な作品になっているのです。
そんな中でも特に大活躍している楽器が、1920年(1919年とも言われる)にロシアの物理学者、レフ・セルゲイヴィッチ・テルミン博士が発明した、世界で初めての電子楽器テルミン。
アームストロング船長自身が、当時ハリウッドなどでも大活躍していたテルミン奏者、サミュエル・ホフマン博士のファンだったということもあってか、本作のサウンドトラックではテルミンが大活躍!
M-34 のCraterとか、M-35のQuarantineあたりで物憂げなメロディを奏でるテルミンも印象的ですが、それ以外でもアルバム全体の7割くらいの曲で効果音的にテルミンが使われていて、さりげないながらも、しっかりとした存在感を示すテルミンの音色がこれまた絶妙!な素晴らしい効果を生み出しているのです。
さて、本作でテルミンを演奏しているのは誰かな・・・・と思ってサントラ盤のブックレットを確認したけれども、そちらにはオーケストラのメンバー全員の名前が紹介されているにも関わらず、テルミン奏者の紹介は無し。
いったい誰が演奏しているのだろうか・・・と、更にいろいろと調べてみたところ、こんな証拠VTRを見つけました。
こちらの動画の2:05あたり。
ジャスティン・ハ―ウィッツさん自身がテルミン(MoogのEtherwave)を演奏している姿が映し出されている!
というわけで、本作でテルミンを演奏しているのは、作曲者のジャスティンさんということが判明。
更にいろいろと調べていくと、本作でテルミンを演奏するためにYoutubeで教則ビデオを観まくって、独学で演奏方法を習得したというのだから、これまたビックリ!
正直なところ「巧みな」演奏というわけではないんだけれども、ここで演奏されている音からは、アームストロング船長が宇宙空間で感じていたであろう未知なる世界への静かな期待感と、孤独感が感じられるような、そんな味わい。
アメリカにも探してみれば大勢のテルミン奏者が存在しているだろうけれども、敢えて自分でテルミンを演奏したいうことは、この作品のサントラにはジャスティンさん自身が独学で習得したテルミンの音が必要だった・・・・ということだったのかもしれません。
というわけで、こちらの作品。
映画のサウンドトラックとしてはもちろん、テルミンの音を聴くためのアルバムとしても最高級のアルバムだ! と、ぜひともオススメしたい、そんな素晴らしい1枚。
作品を観た方はもちろん。
まだ観ていないという方も、amazonプライムあたりでチェックしつつ、ぜひとも孤独なテルミンの音色を存分に味わってみてください!