(1) マンション管理組合の「仕事」は?
P: 今回は、マンション管理人にスポットをあてた求職・特別編をはさんで、宅建t⑪「マンション管理組合」についてです。
S: 以前の記事でも、マンションを購入する(=区分所有者になる)と自動的に管理組合の一員になる、ということはお伝えしていますが、当事者意識がない住民が多いためか、わざわざ国交省が昨年10月に、マンガ「正直不動産」とコラボしたパンフレットを作成・公開していましたね。
【国土交通省×正直不動産】知っていますか?区分所有者の責務(PDF)
P: 過去の記事でも「マンション管理組合」や「管理組合理事会」、「管理規約」、「管理会社」、「共有部分」などについて説明してきたんですが、やはりマンガだと分かりやすくて迫力がありますね!
マンションを購入済み(=区分所有者)または購入予定だけど、太字の単語がよく分からないという方はぜひ、ご一読ください。
S: マンガ以外に、このパンフレットには、下記のような「管理組合」の業務のまとめが掲載されています。
「管理組合の主な業務」がいろいろあって大変そうにみえますが、一戸建ての住宅でも、
・家屋の修繕、補修 ※台風でベランダ損傷など
・家屋(屋根、外壁)などの大規模修繕 ※大規模修繕用の貯金/管理
・庭や駐車スペースの管理
・設計図書(や権利書)等の管理
は不可欠で、とくに大規模修繕/リフォームをしてそのまま住み続けるか? 住み替えをするか? がS家でも課題になっていました。
P: S家では、今の家を売ってさらに郊外に引っ越す(中古の家かマンションを買う)方向で、その準備として当ブログ内で宅建Tシリーズをスタートさせました。
ちなみに筆者の実家も、サザエさんの磯野家みたいな”ザ・昭和の家”なんで手入れが大変そうで、大規模リフォームするか? で悩んでます。
2)民法の「共有」と「区分所有法」の「共有」との違い
S: 自宅だと、自分たち家族の責任で真剣に検討しますが、分譲マンションだと、
「管理組合理事会(役員)」や「管理会社」に任せておけば良い=他人事
になっているように見えます。
これまでは、住んでるみなさんがきちんと管理費や修繕積立金を支払っていれば、あまり大きな問題はおきなかったかもしれませんが、中東情勢→ナフサ不足による、大規模修繕工事の遅れや、そもそも、修繕業者40社の大規模な談合が発覚したりしています。
P: 前回(住み替えに役立つ宅建10)でも触れましたが、約9割の住民が、自分のマンションの管理規約をよく知らない。
S: 背景としては「共有」という概念が、戦後の日本人には馴染みがないせいかな…と思います。※1
P: 筆者は、過去の記事「宅建T:60代からの宅建06 その不動産はだれのもの? 共有と、物権変動の基礎知識・対抗問題」
https://ameblo.jp/pernas/entry-12845148071.html
で、民法の「共有」という単語自体は知ってましたが、ふだんはまず使わないですね!
S: 上の記事は、複数の相続人がいるときに、遺産分割をするまで不動産(家、建物)は共有状態になる。
その場合の、民法上のきまりについての説明でした。
P: そもそも兄弟姉妹や親戚間でも、共有不動産についてはいろいろともめるので、2023年に民法の改正があったという話でしたね?
S: さらにややこしいことに、民法での「共有」と区分所有法での「共有」とで、意味が違うんですよ。
生成AIに「共有 民法と区分所有法での共有の違い」できいたところ、
『民法における一般的な「共有」と、区分所有法(マンションなど)における「共用部分の共有」は、
・分割請求の可否
・持分の決定方法
・処分・変更のルール
の3点に大きな違いがあります。
区分所有法は民法の特別法であり、共同生活の秩序を守るため厳しいルールが定められています。
【主な違い】
1. 持分の割合と分離処分
○民法: 共有者の持分は原則として「平等(均等)」と推定されます。持分だけの売却も自由です。
□区分所有法: 共有持分割合は原則として「専有部分(部屋)の床面積の割合」です。また、専有部分と切り離して持分だけを単独で処分することは禁止されています(分離処分の禁止)。
2. 共有物の分割請求
○民法: 各共有者はいつでも自由に共有物の分割を請求でき、話し合いがつかなければ裁判で分割することも可能です。
□区分所有法: 共用部分の分割請求は絶対にできません。廊下やエントランスを「自分の分だけ切り取って分けてほしい」と主張することは認められません。(以下、略)』
P: 以前の宅建t09の記事で、分譲マンションでは、購入者/住民は、
①専有部分(自室:区分所有)
➁建物の共用部分(廊下・エレベーターなど:共有持分。原則として①の専有面積に比例)
③敷居利用権(共有持分。②と〃)
の所有をしている。
ただし、②③のみを、単独で売却はできない。
つまり、Aマンションの201号室(①)を売る/買うときは、②③の所有権(共有持分)もセットでついてくるということでしたね?
S: そうです。
でも、➁③については「共有持分」という概念上の権利で、②③だけ分割して売ることもできませんから、ほとんどの住民のみなさんは「自分のもの」という自覚がもてないんでしょう。
3)外国人区分所有者向け「日本におけるマンション管理について」の日本語訳版の説明がわかりやすい
S: 実は、1)で紹介した、「正直不動産」とのコラボパンフレットが掲載されている、国交省のHPに、新たに
『外国人区分所有者向けパンフレット「日本におけるマンション管理について」』
のPDF(英語/中国語)が掲載されまして、あわせて日本語訳(PDF)も載ってました。
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001982005.pdf
今、東京23区などでは外国人のマンション購入も増えているという事情があるようですが、日本語訳の冒頭部分
『日本の分譲マンションは、単なる集合住宅ではなく、住民同士が協力し合いながら快適な住環境を維持する「共生の場」です。
また、賃貸マンションとは異なり、マンション購入者は「区分所有者」と呼ばれ、区分所有者は、ご自身が購入した専有部分だけでなく、マンションの外壁や屋根、エレベーター等の共用部分の管理にも責任を持つ必要があります。
マンションの管理に関する制度やルールは国によって異なりますが、日本においては、区分所有者で構成される「管理組合」という組織が主体となってマンションのルールを定め、管理や運営に関する意思決定を行うことで、マンションの安全性や資産価値を守っています。
外国の方々にとっては少々馴染みのない制度もあるかもしれませんが、日本で安心して暮らすためには、「管理組合」をはじめとしたマンション管理の仕組みを理解し、積極的に関わることが非常に大切です。』
は、日本人所有者にもそのまま当てはまります。
・管理組合(区分所有者)の基本的な考え方
・マンション管理の2つの柱~管理規約と管理組合の総会~
・マンションを長く使い続けるために!~長期修繕計画と修繕積立金とは?~
などの説明も分かりやすく、Q&A(例:「管理費」と「修繕積立金」の違いは?)もついてますので、「マンション管理組合」の役員の方たちが、マンションの区分所有者向けに説明をするときも、役に立つと思います。
P:今回は、主に「マンション管理組合」についてでしたが、実は「専有部分」=個人所有部分のトラブル(水漏れ)が、マンション管理組合全体=区分所有者全員にも影響を与える事例が増えているようなので、次回はその問題について取り上げるそうです。
■Sさん補足
※1 入会地と入会権
日本の農村には古くから「入会地」(いりあいち)という制度があり、特定の山林や原野は村の共有財産として、村人が、薪炭(まき・炭)・肥料用の草木採取や、牛馬の放牧などに利用できました。
そして、民法条文にはいまだに、
『第263条(共有の性質を有する入会権)
共有の性質を有する入会権については、各地方の慣習に従うほか、この節の規定(注:共有の性質に関する規定)を適用する。』
と、入会権が残ってます。
【BGM】
S選曲:リック・アストリー「Together Forever」
P選曲:【ヲタ芸】夜の踊り子 / サカナクション【ゼロ打ち】 ※動画
【写真】
トップ 撮影:筆者、中間2枚:提供Pixabay、文末 撮影:筆者 草間彌生美術館内からの東京の街並







