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美容皮膚科 ペルラクリニック神宮前 院長の本田 淳です。
当院は、院長が診察から治療まで一貫して施行すること(ワンドクター制)を特徴としています。
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以下本文となります。
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ソフウェーブの論文をご紹介します。
2023年の論文です。
以下、簡単な要約となります。
背景
- 超音波デバイスは、リジュビネーション治療(しわ・たるみの改善)に広く用いられている。特に高強度超音波(いわゆるハイフ 等)は、真皮に熱損傷を起こし、コラーゲン、エラスチンの新生に寄与する。
- 高強度・メガヘルツ帯・非集束型超音波平行ビーム(SPERB)を用いた超音波デバイス(ソフウェーブ)の効果、有用性、および安全性を評価し、眉毛、顎下、首のたるみ改善に対する有効性を検証すること
- 被験者15人(40歳から69歳)が前向き臨床試験に参加した。当該デバイスを使用して2回の治療セッションが行われ、その後、3か月および6か月後にフォローアップ診察が実施された。
- 治療効果は、治療前後の写真を比較し、医師がGAIS(Physician Global Aesthetic Improvement Scale)にて評価を行った。
- 疼痛については、治療直後に視覚的アナログスケール(VAS: 0~10)で評価した。
- フォローアップ期間中の有害事象も記録し、その内容を検討した。
- 15名全員が完遂した。平均年齢は55歳(±2歳)であった。
- 効果について:いずれのフォローアップ訪問時にも、すべての治療部位において改善傾向が認められ、全期間において安定的に持続した。
- 疼痛について:VASによる平均疼痛スコアは5.6であった。
- 当該デバイスは、顔のたるみを安全に改善し、眉毛、顎下部、首の皮膚をリフトアップさせる効果があることが示された。治療に伴う疼痛は、耐えられる範囲であった。
- 皮膚の老化は遺伝的および環境的要因によって引き起こされ、真皮層におけるI型およびIII型コラーゲンの減少や弾性線維の機能の劣化等により、皮膚のたるみが生じる。
真皮層におけるneocollagenesis とneoelastogenesis を促進する分子メカニズムについては、数多くの研究が行われている。この知見に基づき、真皮に対して機械的刺激を加えたり、加熱することでコラーゲンとエラスチンを再構築するテクノロジーが開発されてきた。
新たに開発された同期型超音波平行ビーム(SUPERB)は、顔のシワの治療に高い効果を有すると報告されている。
SUPERBは、7つのトランスデューサーにより、周波数10~12MHzの高強度非集束平行超音波を発生させ、皮膚面から0.5~2mmの深さに送達される。なお、表皮およびその他の層にダメージを与えずに、真皮に制御された熱損傷ゾーンを形成することが可能である。
- 上図: 同期化された7つのトランスデューサーが生成する高強度の超音波平行ビームは、真皮(深さ0.5~2mm)に到達し、7個の円筒形の加熱ゾーンを形成する。これらのゾーン内の温度は60°Cから70°Cにおよび、中心部が最も高温となる。
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上図のような熱損傷は、コラーゲンを部分的に変性させることにより、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMPs)、ヒートショックプロテイン(HSPs)等を介した neocollagenesis と neoelastogenesisを促進する。
本研究では、SUPERBテクノロジーを使用し、顔、顎下部、頸部の皮膚たるみ治療における安全性と有効性を評価した。
- SUPERBテクノロジーを搭載した新たな超音波装置ーSofWave Medical Ltd., Israelーの有効性と安全性を検証するため、米国のクリニックで15人の被験者(全員女性)を対象に研究を実施した。治療効果および評価に影響を及ぼすと考えられる因子を有する者は厳密に除外した。
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当該機器を用いて、顔、顎下部、頸部に対する治療が2回のセッションで実施され、最終治療から3か月後および6か月後にフォローアップ診察が行われた。
各セッションにおいて、局所麻酔薬(ベンゾカイン20%/リドカイン6%/テトラカイン4%;BLTクリーム)を治療部位に40~60分間塗布し、さらに、11人の被験者は疼痛を軽減するためにNSAIDのケトロラックを服用した。
すべての被験者に対して額、側頭部、頬の治療が行われ、12人の被験者にはさらに顎下部と頸部にも照射された。
治療直後に医師によって即時的な反応を評価され、副作用も記録した。
被験者は視覚的アナログスケール(VAS、10段階)を使用して治療中の疼痛を評価した(0=疼痛なし、10=耐え難い疼痛)。臨床的な改善を評価するため、医師による審美的改善スケール(PGAIS)を使用した。
被験者にも改善に関するアンケートを記入してもらった。なお、ベースライン評価において、Fitzpatrick wrinkle and elastosis scale(3-class, 9-point)が使用された。
また、治療前・後およびフォローアップ診察時には標準化された写真撮影を行った。
- 被験者の属性
本研究には15人の女性被験者が登録され、全員が完遂した。
被験者の平均年齢は52歳(標準偏差±2歳、R:40~69歳)であった。
人種別では、80%(n = 12)が白人、13%(n = 2)が黒人またはアフリカ系アメリカ人、7%(n = 1)がアジア人でだった。
Fitzpatrick wrinkle and elastosis scaleによる治療前評価では、27%(n = 4)が軽度の弾性線維症(細かいしわ)、60%(n = 9)が中等度の弾性線維症(細かい~中程度の深さのしわ)、13%(n = 2)が重度の弾性線維症(細かい~深いしわ)と評価された。
- 治療パラメータ
ショット数の平均値および標準偏差は以下の通り。
額と側頭部:38 ± 10(R:23~62)
頬:79 ± 19(R:45~120)
顎下部と首:69 ± 13(R:47~97)
パルスエネルギーの平均値および標準偏差は以下の通り。
額と側頭部:3.7 ± 0.2 J(R:3.2~4.0 J)
頬:3.9 ± 0.2 J(R:3.2~4.6 J)
顎下部と首:3.9 ± 0.2 J(R:3.2~4.0 J)
- 臨床評価
PGAISによる評価の結果、治療を行った全ての部位で、フォローアップ診察時のいずれにおいても、80%以上の被験者がベースラインからの明らかな改善を示した。
- 額および側頭部の改善率は、3か月後のフォローアップで80%、6か月後には93%に増加した。頬、顎下部、首に関しては、3か月後の時点で全被験者がベースラインからの改善を示し、6か月後には約92%が改善を示した(上図A)。
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被験者の自己評価では、治療部位全体で、3か月後および6か月後のフォローアップ時にベースラインと比較して高い改善率が確認された。額および側頭部では、3か月後に80%、6か月後には60%が改善を実感しており、頬では80%と87%、顎下部および頸部では3か月後に83%、6か月後に75%の改善率が示された(上図B)。
データ分析では、ほとんどの被験者が少なくとも1回のフォローアップ時に改善を感じており、ベースラインと比較して悪化したと評価した被験者はいなかった。
なお、6か月後のフォローアップ時には、全体の60%以上の被験者が再治療を希望していると回答した。また、顎下部および頸部の治療を受けた被験者に限定すると、83%が再治療を前向きに検討していると述べた。
- 安全性と疼痛
初回治療セッションにおける平均疼痛スコアは6.0 ± 1.7で、2回目のセッションでは5.1 ± 1.9であった。2回の治療全体を通した平均値は5.6であり、疼痛スコアが7.5を超えたケースは全体の10%であった。
治療後、67%の被験者に軽度の紅斑、7%の被験者に軽度の浮腫が認められたが、いずれも自然に改善した。また、1名の被験者では最初のセッションで軽度の表皮剥離が見られたが、特に介入を必要とせずに3日以内に回復した。研究期間を通じて、重大な副作用は一切観察されなかった。
- RFを使用した顔と頸部の若返り治療について 、122件の論文を検証したシステマティックレヴューでは、ほとんどの研究で良好な治療効果が確認され、副作用の発生は極めて少なかった。
また、Continiらは、16件の研究を分析し、顔の皮膚のタイトニングについてマイクロフォーカス超音波技術(MFU、HIFU)の有効性と安全性を評価した。この研究では、治療を受けた被験者の92%が皮膚の引き締めやしわの改善を示した。一過性の紅斑や浮腫が観察されたが、短期間で自然に解消された。
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SUPERB™(SofWave Medical Ltd., イスラエル)では、高強度・メガヘルツ帯の非集束型超音波平行ビームが、皮膚表面から深さ0.5~2mmの真皮に到達する。結果、組織温度が60°C~70°Cに達し、部分的なコラーゲン変性、凝固、そしてリモデリングを誘導する。同時にハンドピース内蔵の高度な冷却システムが表皮を保護し、高い安全性が担保されている。
本研究では、SofWaveを用いた顔のたるみ治療の有効性と安全性を検証した。その結果、被験者の多くが高い改善率と満足度を示し、特に2回目のセッション後には少なくとも6か月間にわたる長期的な改善効果が確認された。この治療は忍容性と安全性が高く、副作用は一過性の浮腫や紅斑といった一般的な症状のみであった。本研究に参加したすべての被験者は、治療後すぐに通常の生活に復帰することが可能であった。本研究は15名の被験者を対象とした前向き研究であったが、サンプルサイズを増加させることで、より正確で包括的な統計解析が可能になると考えられる。
また、3D皮膚解析のような高度な分析ツールを活用することで、治療後の皮膚の構造的および体積変化に関するさらなる洞察が得られる可能性があり、それにより新たな治療適応が発見される可能性もある。
本研究で使用されたSofWaveは、顔面、顎下部、頸部の皮膚のたるみ治療において臨床的に高い安全性と有効性を示し、患者の高い満足度に裏打ちされた明確な改善が確認された。このデバイスは、非侵襲的で安全かつ効果的な顔のリジュビネーション治療を求める患者にとって、有望な選択肢となると思われる。
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