<8th Dec Sat>
今年は我が家でクリスマスディナーをすることになったので、トーチャンがクリスマスツリーを飾ってくれました。誰も来ないと登場しないし結婚以来の同じプラスチック製のツリーですが、ここまで怠惰だとムスメが1ケ月半の時のと比べるだけでも感慨深いかも。
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12月5日はバービカンで英国人テノールのイアン・ボストリッジのリサイタルがありました。
ピアノ伴奏はROHの音楽監督アントニオ・パッパーノという豪華メンバーだけど、演目が地味なせいか切符は激余り。 でも、行ってみたら周りは意外に埋まってたので、どうしたのかしらと思ったら、安いバルコニー席の人をアップグレードして前に方に座らせてあげたそうです。 目の前がガラガラだとアーチーストも気の毒ですもんね。 気合が入った私は会員予約で最前列ど真ん中をゲットしてましたが。
アンコールはシューベルト。
今年は第一次世界大戦終結100周年で色々行事もありましたが、このコンサートもそれを記念して戦争の悲しみがテーマ。
今回、随分声が太くなったなと思いましたが、身体は相変わらず。長身でガリガリの蚊トンボ博士と小柄でふっくらのパッパーノ大将はまるで漫画みたいなコンビですが(身長差は頭一つ以上、大将の脚の長さは3分の2)、ウィグモア・ホールでも共演したこともあり(→8年前こちらと2年前こちら)、仲良しなんでしょう。
写真では見えないけど、ジャケットの裏地は真っ赤で、見かけはクールそのものだけど(骸骨みたいだし)、心は熱いイアン博士そのもの。他のコンサートでも泣いてるの見たことあるし、この日も目頭赤くなってました。激しい曲では、大量の唾を撒き散らしながら、いつものように顔を歪めて大熱演、静かな曲も顔は歪むけどしっとりと、ビジュアル的にも退屈しない蚊トンボ博士でした。近くで見るとシワが増えたのがよくわかり、若くて美しかった頃を思い出してちょっと悲しかったですが、原型は留めているし、相変わらず知的な雰囲気漂うイアン様でした
「そうだ、パッパーノ大将も見なくちゃ!」、と時折横顔を拝みましたが、指揮する時はガーガーうるさいけど、さすがにピアノ伴奏では我慢して音は出さず。でも「ンチャンチャ」という感じで口は忙しく動かしてました。小さい頃から歌手の伴奏には慣れてる大将は余裕があってさすがだし、なによりも嬉しそうでした。
たまに見てた音符はピアノの蓋の上に置いてあるという、長身の人しか出来ない芸当。
最後はベンジャミン・ブリテンでしたが、曲が終わってしばらく音符にうつぶせになってたイアン様。観客もすぐに拍手をせずに長い間静寂の余韻が続き、悲しみに満ちた感動的なエンディングでした。アンコールのシューベルトは優しい曲で、それまでの緊張感をほぐすような穏やかさで、あたかも戦死した兵士たちが天国に召されていくようで救われた気持ちになりました
イアン様のコンサート記事をまとめておきます(クリックで記事に飛びます)。
お膝元のロンドン、Wigmore Hallでもっと沢山やってるんですけどね、あそこは会員予約だと席が選べないし、一般購入だと良い席が残ってないしで機会を逃すことが多いのは残念。
イアン・ボストリッジ& ドロテア・レシュマン 2008年1月 バービカン
イアン・ボストリッジ(内田光子伴奏) 2008年10月 Barbican
イアン・ボストリッジ(パッパーノ伴奏) 2010年5月 Wigmore Hall
イアン・ボストリッジ 2010年10月 バービカン
ボストリッジ、レシュマン、キルヒー、クワストフ 2009年10月 バービカン
イアン・ボストリッジ&イエスティン・デイヴィース 2012年4月 St. John's Smith Squire
イアン・ボストリッジ(冬の旅) 2015年1月 バービカン
イアン・ボストリッジ(シェイクスピア)パッパーノ伴奏 2016年11月 Wigmore Hall