バラフ「さぁ。」
リプカ「死ぬ覚悟はできたか?」
ケルトイ「くっ…!」
声「…こっち…こっちだよ。」
ケルトイ「!?」
ヨシュカ「今、声が…」
[選択肢]
①この噴水の中から声が!
②飛び込もう!
[①も②も同じ会話]
ケルトイ「おい、どうしたんだよ…うわっ!?」
ヨシュカ「う、うぅ…ここは?」
ケルトイ「ゲホッゴホッ!!はぁ…死ぬかと思ったぜ。」
声「大丈夫?お兄さんたち。」
少年「お兄さんたち困っていたみたいだから。間一髪、だったでしょ?」
ヨシュカ「おかげで助かりました。あの、あなたは?」
少年「僕?僕は…あれ?僕の名前、なんだっけ?」
ケルトイ「そんな事より、ここはどこなんだよ。ここも闇の領域なのか?」
少年「…ここは始まりの庭だよ。」
ヨシュカ「始まりの庭?」
少年「闇の領域に辿り着いた死者の魂が、最後に行き着く場所だよ。地面を見てごらん。」
ヨシュカ「これは、卵ですか?」
少年「それは生命の卵…死者の魂はその姿になって再び現世に転生するまでの間を過ごすんだ。」
ヨシュカ「へぇ…そうなんですね。」
ケルトイ「死者の魂が卵になるのなら、なんでお前は人間の姿のままなんだ?」
少年「そういえば…どうしてだろう?気付いたらここにいたんだ。どうして僕はここにいるのかな?」
ケルトイ「俺が知る訳ないだろ!」
ヨシュカ「あの、お尋ねしたい事があるのですが、ここに白い修道服の女の子が来ませんでしたか?」
ケルトイ「ッ!」
少年「女の子?ん〜…そういえば、この前来た子が白い服を着ていた気がするなあ。」
ヨシュカ「あれは…?」
少年「僕は始まりの方舟と呼んでいるよ。光が満ちた生命の卵はあの船に運ばれ、現世に旅立つんだ。あんな風にね。」
白ルナ「タマゴをはこぼ〜♪みんなでいっしょに〜♪あたらしいいのちがうまれるよ〜♪おね〜さ〜ん!タマゴ持って来たよ〜!」
声「ルナさん、ありがとうございます。」
ケルトイ「!」
ヨシュカ「い、今の声って…!」
白ルナ「あれ〜?おにいさんだぁれ〜?」
ケルトイ「…おい、そこにいるのか。」
声「……ケルトイ、様?」
ケルトイ「ようやく見つけた!ずっと探してたんだ、お前を!」
少女「! 止まってください!」
少女「…どうしてあなたがここにいるのですか。私はもう死んでしまったんですよ?」
ケルトイ「ああ、分かってるさ。お前は俺のせいで命を落とした。けど、そんな事はもう気にしなくていいんだ。俺と一緒に来い。その為にここに来たんだ!」
少女「…お気持ちは大変嬉しいのですが、残念ながら一緒に行く事はできません。私は既に役目を果した身。神の為にこの命を捧げられて…もう充分、私の心は満たされました。ここからはこの庭で…」
ケルトイ「…嘘だ。本当はお前だって生きたかったはずだ!」
少女「ッ!!」
ケルトイ「使命に縛られた人生が幸せな訳ないだろ!本当の事を言ってくれ!お前はもう、自由なんだから!」
少女「じゆう…?」
ケルトイ「ああ、神の言う事なんて聞く必要はない!誰もお前を縛らない。教えてくれ、お前の本当の気持ちを!お前の願いを!」
少女「私は…」
少女「私は、生きたい…生きたいです!お願いします、どうか私をここから連れ出してください!!」
ケルトイ「あぁ、当たり前だろ!」
ヨシュカ「あれは、グリーシアから受け取った真珠のペンダント?」
ケルトイ「目の前で神の槍に刺された時、お前の名前を呼べなかったのが悔しかった。だからずっと考えてたんだ。お前の為の、お前だけの名前を…!」
ケルトイ「スピカ…夜空に煌く真珠の名を持つ白い星。それがお前の名前だ、スピカ!」
[眩い光が辺りを包み、スピカが実体化する]
ケルトイ「……これでお前は本当に自由だ。どうだ?身体になにか変化は…うわっ!?」
スピカ「…ありがとうございます、ケルトイ様。本当に、本当に…!」
ケルトイ「な、なに見てんだよ!見せもんじゃねえぞ!!」
[選択肢]
①おめでとう、ケルトイ!
②これで皆一緒に帰れるね!
[①も②も同じ会話]
ヨシュカ「う、うわああ!よかった、よかったです!」
[ヴェーテンデスと戦う]
ヨシュカ「冒険者さんが押してる!これなら…!」
ヴェーテンデス「フッ…この領域で私と互角に戦うとはな。このまま貴様と剣を交えるのも悪くないが、あいにくと私は任務の最中…勝負はここで預からせてもらおう。」
[ヴェーテンデスが姿を消す]
ヨシュカ「なっ!消えた!?もしかしてケルトイたちを追って…!?」
少年「追いかけるなら早くした方がいいよ。時間は稼いだつもりだけど、無事脱出できるかどうか…」
冒険者[喜ぶエモート]
---闇の深淵---
ヨシュカ「あ!見てください!ケルトイたちが!」
ケルトイ「チィッ!いくら倒してもキリがねえ!ピュリースはまだか!」
スピカ「…ケルトイ様。」
ケルトイ「安心しろ、絶対にお前だけは助ける…!」
声「夢見の時間は終わりだ。」
[ヴェーテンデスが現れる]
[ヴェーテンデスが大剣を振るうと、ケルトイの顔をかすめる]
ケルトイ「ぐっあああああああ!!」
スピカ「ケルトイ様!!」
ヴェーテンデス「目測を誤ったか。最後は夢のまま終わらせてやろうと思っていたが…待っていろ。すぐに息の根を止めてみせよう。」
ケルトイ「ッ!逃げるスピカ!お前だけでも…!」
ヨシュカ「いけない、すぐに助けないと!」
ケルトイ「…スピカ?」
スピカ「私は…今まで神に与えられた啓示に従っていました。全てはこの世界の災厄を防ぐ為。例え私の命が犠牲になろうとも、人々が平和に暮らせる世界への礎になるのであれば悔いはありませんでした。でも…ケルトイ様に再び巡り会い、素敵な名前を頂けて、本当に幸せでした。この思い出だけで、私はもう充分です。」
ケルトイ「な、なんでそういう事いうんだよ。一緒にここから出るんだろう!?名前ならちゃんと…」
ヴェーテンデス「フッ。その娘の方が身を弁えているようだな。例え魂が復活されようとも、肉体のない魂は現世を彷徨い、手びこの領域へ戻ってくる定めなのだ。」
ヨシュカ「そんな…!」
ケルトイ「くそ、こんな事って…!」
スピカ「安心してください、ケルトイ様。あなたを一人にさせません。」
ヴェーテンデス「貴様、なにをするつもりだ!?」
ケルトイ「スピカ!?」
スピカ「これからはずっと、私はあなたと一緒にいます。」
---竜の試練場・星霜の間---
ヨシュカ「ここは…闇の深淵じゃない?見覚えが…!ケルトイは!?」
ケルトイ「…うっ。」
ヨシュカ「ケルトイ、動かないでください!血が…!」
ケルトイ「ここは、どこだ?…スピカは!?」
声「やはり宿命には抗えなかったか。」
ヨシュカ「あなたはケルトイたちの武器に力を与えた…」
ケルトイ「…ウラドゥーム。」
ウラドゥーム「久しいな。天の星々に選ばれし子供よ。そなたがここに来る事は、星の巡りで感じ取っていた。」
ケルトイ「なんでここに…確か、闇の領域から戻ろうとして…」
ウラドゥーム「闇の領域の外周には闇の女神デュンケリスの力によって、時空の歪みが発生している。よって、正しい手順で門を開かなければ、元いた次元に戻る事はできない。ここはそなたたちが闇の領域に侵入してから長い年月が経っている。」
ケルトイ「…こっちでは何年もの間、俺がいない事になっていたのか。」
ウラドゥーム「吾は星々の巡りを読み解き、未来を見据える者。そなたが再びここを訪れる事は、星の煌きによって予知していた。どんなに辛く逃れられぬ定めであっても、逆境を生き抜く力をそなたたちに授けたのだ。己の願いの為に力と勇気を振り絞り、よくぞ死者の世界より生還した。」
ケルトイ「…そうか。あんたはこうなる事を最初から俺に教えてくれてたんだな。俺はあいつを助けられなかった。俺だけ助かってもなんの意味もない!」
ヨシュカ「ケルトイ…」
ウラドゥーム「吾の目はもう何百年の間、天上の星の光を映していない。だが…あの、目が眩むほどに輝かしい星の鼓動は今もこうして感じられる。そなたも目を閉じ、神経を研ぎ澄ましてみるがいい。そうすれば気付くはずだ。そなたに寄り添う暖かな光を…」
ケルトイ「…スピカ…そこにいるのか?」
ウラドゥーム「今、そなたがここに立っていられるのは、その少女が施した奇跡の力のおかげだ。でなければそなたは闇の領域から脱出できず、魂は跡形もなく消し去られていただろう。」
ケルトイ「スピカ…!」
ヨシュカ「予期せぬ形ですが、スピカはちゃんとケルトイの元に帰って来れたんですね。」
ウラドゥーム「しかし、奇跡とは瞬く間に消える夢のように儚い。そのままでは少女の光は消えてなくなるだろう。」
ケルトイ「…!?」
ウラドゥーム「この世界はかつての輝きはない。神々がいなくなった今、汚れのない魂が現世に留まっていられるのも時間の問題だ。」
ヨシュカ「そんな…!」
ウラドゥーム「そこで、だ。ケルトイ、そなたに闇竜フィンスダンより伝令を授かっている。」
ケルトイ「……」
ウラドゥーム「そなたが闇の領域へ向かったほぼ同時期に、神々がこのイルーナという世界から立ち去った。だが、それを皮切りに一部の竜たちとの意思疎通が図れなくなった。王竜カイザー、賢竜アルターン、火竜ブレアード…名立たる竜の声が途絶え、竜たちは混乱した。消息が途絶えた同胞が発した最後の言葉を繋ぎ合せ、ようやく吾らは自分たちに置かれた状況を理解したのだ。吾ら竜は、世界の為に生贄に捧げられるのだと。」
ヨシュカ「生贄、ですか!?」
ウラドゥーム「神の加護の失った世界の未来などないに等しい。しかし、自然の力を持つ竜を完全に大地に縛り付ける事で、世界の加護は失われる事なく、環境を維持する事ができる。神々は竜の討伐と封印を下界に住む人間に伝え、天界へ昇ったのだ。」
ヨシュカ「そんな!竜だってボクたちと同じ生き物じゃあないですか!それを自分たちの都合で縛り付けるなんて…神々は誰にそんな事を頼んだのですか?」
ケルトイ「…リヒトか。」
ヨシュカ「ッ!」
ウラドゥーム「宿命に打ち勝つよう与えた力が、まさか同胞を倒す為に使役されるとは…皮肉な話だ。ケルトイ…もはや吾らにはそなたしか頼る者はいない。まだ封印されていない同胞たちと共に、この世界に反逆せよ。そして、そなたがこの世界の次の覇者となり、世界を変革するのだ。」
ケルトイ「…この姿を見て、よくそんな事が言えるな。俺にこれ以上どうしろっていうんだよ。」
ウラドゥーム「ならば吾の力をそなたに授けよう。」
ヨシュカ「なっ!そんな事して、大丈夫なんですか!?」
ウラドゥーム「これは吾ら竜全員の同意の上だ。ここにいても、いずれは封印される。であれば、最後の希望をそなたに授ける…これが最善の策なのだ。」
ケルトイ「…分かった。やってやるよ。」
ケルトイ「スピカを連れ戻せたら、なんでも言う事を聞くってフィンスダンと約束しちまったしな。ここまで来たらもう後戻りなんてできねえ。最後の最後まで抗ってやる!!力をよこせウラドゥーム!俺がお前らに代わって世界を変えてやる!」
ウラドゥーム「いいだろう。それでこそ吾らが見込んだ男だ。そなたに吾らの未来を託すぞ。」
---戦士の演習場---
ヨシュカ「こ、ここは!?ケルトイはどうなったんですか!?」
ヨシュカ「…どうやらここで見れる記憶はここまでのようですね。」
声「おーい。誰だ、そこにいるのは?」
フロイド「おぉ!見ない顔だと思ったらあんたらか。久しぶりだな。もう何年も顔を見ていないから忘れるところだったぜ…ん?どうした?二人共浮かない顔をして。」
[選択肢]
①ケルトイを見なかったか?
②実は星霜の間で…
[①の場合]
[②の場合]
フロイド「せっかくここまで来たんだ。久しぶりに俺のデビーと手合わせしねえか?いくら年をくおうが、俺の相棒は生涯現役だからよ。」
ヨシュカ「え…」
---ミッションが終了しました---














