EP6第9章:おわりのはじまり/第2話:女神の雫 | 大福のイルーナ戦記

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 EP6第9章 おわりのはじまり 

ミッション名:女神の雫
---サテリカ城砦・訓練場---
義の民「イエニャ姉様なら、もうとっくに準備を済ませて戦場に向かったよ。姉様ならきっと仇をとってくれるはずさ!…もしかして、あんたも戦場に行くつもり?覚悟はできてるのかい?…そう、分かったよ。戦場への入口は、この城砦の裏口だ。くれぐれも私たちの邪魔にならないようにね。そういえば、さっきからカガン兄さんの姿が見えないんだけど、一体どこにいったんだろう?」

---新しいミッションが開始されました---
---戦場・D戦線---

ヨシュカ「あちこちから悲鳴や怒号が聞こえてくる…これが戦争なんですね。怖い…聞いているだけで足が震えて…」


セル「立ち止まるな!ちゃんとついて来い…っておい!」


声「危ない!」


[背後に迫った敵兵をリヒトが倒す]


リヒト「ふぅ、よかった無事で。それにしても皆さんどうしてここへ?もしかして加勢に来てくれたんですか!?」


[選択肢]
①その通り!
②ケルトイを追いかけて来た。


冒険者[喜ぶエモート]

ヨシュカ「まあ、そういう事になりますね。」

リヒト「ありがとうございます!冒険者さんがいてくれると、心強いです!」

少女「あの、冒険者様…ケルトイ様はどこへ?」

[②の場合]
冒険者[喜ぶエモート]

少女「ケルトイ様を…!?」

リヒト「ケルトイも戦場に来ているんですか!?」

ヨシュカ「ボクたちはケルトイを追ってここまで来たんです。もうすでにあなたたちと合流していると思ったのですが…」

少女「ケルトイ様…ご無事だといいのですが…」

リヒト「今はケルトイの安否より、この戦場を止める事を優先すべきです。急ぎましょう。戦場の中心はこの先です!そこで彼女の力を使えば…」

声「むっ!お、お前たちは!」


カルヴァン「おのれ!どこにでも現れおって!また私の出世を邪魔するつもりか!」

リヒト「そこを通してください!僕は女神の意思に従い、戦争を止めなければいけないんです。」

カルヴァン「戦争を止める?ハッハッハ!貴様らのような子供になにができる!お前はこれから私の出世の踏み台になるのだからな!行け、オズワルド!!」

オズワルド「……」

カルヴァン「どうした、なにをしている!こんな事に時間をかけている暇はない!さっさとやってしまえ!」

オズワルド「…申し訳ありません。俺は彼らと戦えません。この子たちはまだ子供で…」

カルヴァン「えぇい、この旧式!不良品めが!もういい!私の命令に逆らう駒は…こうしてやる!!」

オズワルド「ぐっ!?あ、あぁ、ああああああぁ!!」

リヒト「い、一体どうしたんだ!?」

少女「これは…!」

カルヴァン「ハッハッハ、いいぞ!そのまま力に身を委ねるがいい!」

ヨシュカ「その兵士になにをしたんですか!」

カルヴァン「フンッ、簡単な事だ。その旧式の鎧には、制御機器が備え付けられている。それを解除する事で、ヴィクダートΔを上回る強力な力を手に入れる。もっとも、装着者の自我はどうなるかまでは保証できんがな!ハッハッハァ!」

ヨシュカ「以前と同じだ。ルークス山の時と…!あなたはその人を、仲間をなんだと思っているんですか!」

カルヴァン「仲間だぁ?フンッ、こんな出来損ない共を仲間と思ったことなど一度もない!私に必要なのは完璧な駒!それ以外は全て必要ない!さぁ、オズワルド!今こそ力を解放し、邪魔者を一掃するのだぁ!!」

リヒト「こんなところで立ち止まる暇はないんだ。僕は早く、戦争を止めないと…」

[辺りに閃光が走る]

カルヴァン「な、なななな、な!?」


エクレール「おやおや、私の一撃を防ぐとは…驚きました。」

リヒト「お前は、城砦を襲撃した男…!今度はなにをするつもりだ!!」

エクレール「フフフ。私は我が神…主神アルマス様の使者として、この聖戦の不純物を取り除きたいと思いましてね。」

リヒト「主神アルマス様の使者だって!?」

エクレール「あなたたちの事は以前から観察していました。そこのお嬢さんが持つ闘争心を鎮める力…その力をもってこの戦争を終戦させようというのでしょう?アルマス様はそんな事を望んでいない。これは義神オブリガウスと戦神オリティウスの神聖なる戦…水を差すようなマネは遠慮していただきたい。しかし…どうしてもというのなら、我が神に代わって私が断罪いたしましょう。」

カルヴァン「き、貴様!この私を誰だと思っている!オリティウス軍分隊長カルヴァン・プリドだぞ!その私を侮辱するとは…ヴィクダートΔ隊!やってしまえ!!」

[一瞬でヴィクダートΔが全滅する]

カルヴァン「あの兵士たちを一瞬で…!?」

エクレール「…おっと、私とした事が!失礼、あまりにも美しくない造形をしていたものだから、つい手が出てしまった。しかし、護衛をつけるのであれば、もっと優秀な兵士を傍においた方がいいですよ。そう、例えばそこの彼のように…」

カルヴァン「ひ、ひいいいいぃ!たす、助けてくれえええ!!」

エクレール「…さて、邪魔者はいなくなりました。これでゆっくりとあなた方の相手ができ…」


エクレール「!!」


少女「ケルトイ様!!」


ケルトイ「ったく、いつまでこんな所で遊んでんじゃねえよ!危うく追い越しちまう所だったぜ!戦争を止めるんだろう?こんなところで時間を使う訳にはいかねえ。さっさと倒して先に行くぞ!!」

リヒト「ケルトイ…あぁ、そうだね!」

エクレール「哀れな子羊たちだ…己が世界の意志に背く重罪を犯しているとも知らずに…可哀想に。今すぐ私が救済いたしましょう!」


[エクレールと戦う]

リヒト「僕の、勝ちだ!」

エクレール「そ、そんな…私が負けた?何故、どうして…我が神への信仰が足りていなかったとでもいうのか…そんなはずは…」

エクレール[少女に近づく]

リヒト「なっ!まだ動くのか!」

ケルトイ「チッ!」

ヨシュカ「逃げてください!早く!」

エクレール[ヨシュカを蹴り退ける]

エクレール「この子羊さえいなければ、我が神の意志に邪魔をするものはいなくなる。アルマス様!ご覧になっていられますか!今、この子羊の命を、あなたの御許(おもと)へ!」

ケルトイ「ッ!やめろ!!」

[辺りを凄まじい閃光が走る]

エクレール「が、がは…っ!」


オズワルド「…同胞の仇、討たせてもらったぞ。」

エクレール「アルマス様…我が偉大なる神…申し訳、ありません…」


少女「あ、あ…」

オズワルド「……」

少女「!?」

ケルトイ「れ、礼は言わないからな!」

ヨシュカ「ボ、ボクたちを止めないんですか!?」

オズワルド「俺は俺の筋を通しただけだ。氷雪に覆われた土地に住む俺たちは、少ない食糧や物資を切り盛りし、貧しいながらも賢明に暮していた。民たちが土地を見捨てず、農耕を続けたのは、あのお方…アインザーム様が疲弊した民を励まし、勇気付けてくださったからだ。俺も一生では返せない恩をあの方からいただいた。だが、戦神オリティウス様が現れ、アインザーム様に力を…神の武器を与えられた時から、皆の見る目が変わった。神に最も近い存在として敬われるのではなく、人智を超えた力を持つ鬼人として、畏怖の対象にされてしまった…」

オズワルド「…意識が混濁する中、その男の話が聞こえた。そこにいる少女の力があれば、この戦争は止まるのだろう?」

ヨシュカ「!」

オズワルド「この争いが終われば、アインザーム様は責務から…血と泥にまみれたこの戦場から解放される。その為にも、一刻も早くこの戦争を止めてくれ!」

リヒト「…行こう。」

[冒険者たちは更に奥へと向かう]

[イエニャの部隊が戦場Dに到着する]

イエニャ「アルティエ様の仇を討つ事は叶わなかったが…お前たちオリティウス軍の首を一つでも多く取る事で、アルティエ様の手向けとしよう!!」

オズワルド「…来い。」

---ミッションが更新されました---
---戦場・最前線---

少女「これが、神々の戦い…」


ケルトイ「間近で見るとすげえ迫力だな。本当にこれを俺たちで止めるのか?」


リヒト「止めなきゃ、スピーシア様の願いは叶えられない。やるしかないんだ。あそこで彼女の力を解放すれば、戦争は終わる。行こう!」

リヒト「お、おい!!」


声「止まれ。」

アインザーム「久しいな、神の武器を持つ子供たち。まさかこの戦場で再び巡り合うとはな。」


リヒト「あなたは…!」


アインザーム「ここは神々が互いの力を競い合う聖なる領域何人たりともこの戦を汚す事は許さん。死にたくなければ、今すぐ戦場から離脱しろ。さもなくば、裁きの雷が天から降り注ぐ事になるだろう。」



リヒト「そこを退いてください!早く戦争をとめないと…」


ヨシュカ「これ以上、話し合いは無駄のようですね。」


ケルトイ「俺がこいつの相手をする。お前らは行け!」



リヒト「ケルトイ!?でも、その武器じゃあ…」


少女「ケルトイ様…!」


ケルトイ「時間を稼げれば充分だ!戦争を止めるんだろう!?なら、行け!そんで、俺が行くまで絶対にそいつを守り抜けよ!じゃねえとぶん殴るからな!」


リヒト「ケルトイうん、ありがとう!絶対に戦争を止めてみせるよ!」


ケルトイ「お前も!そんな顔すんな。あんな奴すぐ倒して、必ず追いついてやるからよ。」


少女「 ッ!はい!」


アインザーム「自らを犠牲に、仲間を逃がしたか。私を前にしてもなお、武器を構えるその勇敢さは認めよう。だが、そなたのそれは神の武器ではないだろう?神の加護を失ったか?それでは私に傷一つつけられんぞ。」


ケルトイ「うるせえ!そんなの分かってるんだよ!けど、ここで俺が逃げる訳にはいかねえんだよ!!」


ヨシュカ「加勢しましょう!ボクたちだって力になれるはずです!」


冒険者[武器を構える]


[アインザームと戦う]


ヨシュカ「ケルトイ!」


アインザーム「そなたの熱意は買おう。だが、もう一人の戦士と違い、お前は実力も乏しくこのありさま。いい加減負けを認めろ。」


ケルトイ「は、はは俺が負けだと?違うな。俺は、もうすぐあんたに勝つぜ。」


アインザーム「なに?」


ケルトイ「俺は時間稼ぎができればそれでいいんだ。ここに立つ限り、俺たちの勝利は揺るがない!俺はあいつらを信じてる!絶対、ここは通させねえぞ!!」


ヨシュカ「この光は!」



アインザーム「なんだこの光は…?力が、入らない?」


ケルトイ「優しい光だ…柔らかくて、あったけえ。待たせやがって、あいつら!」


ケルトイ「あの様子じゃあ、しばらく動けないはず、だ。」


ヨシュカ「チャンスです!今の内にリヒトたちと合流しましょう!」


冒険者[喜ぶエモート]


アインザーム「ま、待て!グッ…!」


リヒト「いいぞ!皆、戦意を失いつつあるこの調子なら!」


ケルトイ「リヒト!」


リヒト「ケルトイ!冒険者さん!見てよ、ホラ!うまくいったよ!これなら戦争もすぐに…」

ケルトイ「…!おい、後ろ!!」


リヒト「…あ。」


オリティウス「…先ほどから目障りな虫がうろついていると思えば、小ざかしいマネを。オブリガウス、もしやあれはそなたの差し金か?」


オブリガウス「知らねえな。それよりも、俺の前で武器を放るたぁ随分余裕じゃねえか。」


オリティウス「ぬかせ。私たちの戦いの邪魔をされたくなかっただけだ。」


オブリガウス「そうかい、そりゃあ安心だ。ここで投げ出されちゃあ、俺の怒りをどこにぶつけたらいいか分からねえからな。俺の部下を殺めた恨み、晴らさせてもらうぞ。」


リヒト「…え?そんな、だってさっきまで…」


ケルトイ「どけ!!」


ケルトイ「おい!大丈夫か!返事しろ!おい、おい!!」


少女「ゲホッ、ゴホッ!…ケルトイ、様?ご無事でしたか…ゴホッ!」


ケルトイ「喋んな!すぐ止血してやるから…!」


少女「ケルトイ様…戦争は、どうなりましたか?私、お役に立てました、か?」


ケルトイ「…あぁ。戦争はお前のおかげで止まる。だから喋るな!」


少女「そう、ですか…よかった…」


ケルトイ「…くそっ!血が溢れて止まらねえ!おいリヒト!手伝え!…ッ!」


少女「私…感謝しているんです。辛い事もあったけど…皆さんと一緒に旅ができて…私を一人の人間として接してくれて…本当に、ありがとう…ござい…」


ケルトイ「…おい、起きろ。目を開けろよ!嘘だろ、おい!」


[少女が光となって消える]


ケルトイ「あ、あぁ…--ッ!!」


ヨシュカ「…そんな。」


セル「……」


リヒト[膝から崩れ落ちる]


リヒト「戦争が止まらない…もう駄目だ…これじゃあスピーシア様の願いが…叶えられない!僕はどうしたら…!」


声「大丈夫。ここまでよく頑張りましたね…」


ヨシュカ「あの人は!どうしてここに!?騒動が治るまで、イーロ諸島に避難しているはずでは…!?」


オブリガウス「ス、スピーシア!お前、どうしてこんな場所に…」


オリティウス「スピーシア…」


スピーシア「…私は、実に愚かでした。惨劇から目をそらし、問題の解決を他人に任せて、先送りにして…その結果、こんなにも多くの犠牲を生んでしまった…私はもう耐えられません。」


[スピーシアが小刀を取り出す]


オブリガウス「お、おい!なにをするつもりだ!やめろ、やめてくれ!!」


スピーシア「これ以上、私のためにたくさんの人が傷付くのは見たくない。私一人の命で償えるとは思えませんが…どうか、許して…。」


【スピーシアが自らの胸に刃を突きたてた瞬間、スピーシアの瞳から、大量の涙が地上に降り注いだ!】


オブリガウス「あああああぁ!!スピーシア、スピーシアアアァ!!」


オリティウス「スピーシア…」


リヒト「スピーシア様が…そんな…」


ケルトイ「おい、リヒト…どういう事だよ。」

ケルトイ[拳を握り、殴りかかる]


ケルトイ「あいつの事、任せるって言ったじゃねえか!約束したはずだろう!それなのに…なんで…」


リヒト「…スピーシア様、どうして…あなたが死んでしまったら、僕はなんの為に戦って…」


[ケルトイが再び拳を握るが、怒りを堪える]


ケルトイ「ッ!!…チクショウ!!」


ヨシュカ「これが天界大抗争の真相…こんな事が起きていたなんて…」


セル「どうだ?これがお前の見たがっていた戦争の記憶だ。」


ヨシュカ「戦争の火種となった種の女神スピーシアが自らの命を絶つ事で争いは終戦した…でもあの子は?どの文献にも、神の子についてなにも書かれていなかったはず…」


セル「…さてな。満足したか?この記憶はこれで終いだ。いつまでもこんなしみったれた場所にいてたまるか。帰るぞ。」



---ミッションが終了しました---