エウアンドロス王の息子パラスを故国に送る葬列を見送ったあと、トロイア軍とラティウム軍は斃れた戦士の埋葬のために休戦を約束します。
パラスの死
一方で、援軍を頼んでいたディオメデスに断られたこともあり気落ちしたラティーヌス王は不安を募らせ会議を招集します。
ディオメデスは、トロイア戦争後にギリシア軍を襲った数々の苦難を挙げ、自らもウェヌス女神を剣で傷つけてからずっと罰を課せられている、もう戦さはこりごりだと答えました。
ギリシア軍がトロイアを落とすのに10年も要したのはヘクトールとアエネアスがいたから、ラティウムも悪いことは言わん、アエネアスと組むのが最善の道だ、と。
ラティーヌスは、もっと早くにアエネアスを婿に迎え入れておけば、と後悔し和睦を考えますが、トゥルヌスの意見に押されているうちに、トロイア軍がラティウム領土に進撃、決戦に向けて風雲急を告げます。
トゥルヌスのラティウム軍の救援に駆けつけた中にはウォルキス族の女王で女戦士のカミラもいます。
天上界では、誰よりも彼女を愛しく思うディアナが彼女の出陣を憂いています・。
カミラの父はメタブスという武将でしたが、暴君に疎まれて国を追われ、幼いカミラを連れて亡命の旅に出ました。
ある時、ウォルキスの兵に追われて、目の前は増水した川・・さぁ、とても娘を連れては泳ぎ渡れないというピンチにメタブスはカミラをコルクの木の皮に包むと槍に括り付け、思い切り対岸に放ちます。
〜森の女神様、この子をあなたに捧げます、従者にしてください!〜
無事にカミラを付けた槍は対岸に届き、泳ぎ渡った父メタブスは娘を抱き上げることができました。
しかし気性の激しいメタブスは結局どこの市にも受け入れられることは無く、父娘は森の中で獣と共に暮らします。
それでもカミラは強く美しくすくすくと育ち、多くの求婚には耳も貸さず、ディアナへの愛一筋に汚れない身を保ち弓矢の道に勤しんできたのでした。
ディアナは凶運に取り憑かれトロイアとの戦いに参加したカミラを憂い、オプスに向かって「もしカミラを傷つける男がいたら、必ず復讐を」と頼んで送り出します。
駆けつけたウォルキス族の女王カミラを出迎えるトゥルヌス