一方、トゥルヌスの軍はトロイアの城を包囲します。アエネアスが援軍を頼みにエウアンドロス王の元に行っている今こそトロイアを打つチャンス!とユノがイリスを使いに立ててトゥルヌスに教えたのです。
しかも、トロイア軍は打って出ず、アエネアスの指示どおりに城に籠って防御態勢を取りました。
腹を立てたトゥルヌスは港に目を向けて、トロイアの船を焼き払おうとしますが、それを良しとしないユピテルは船を海のニンフに変えてしまいます。
(ユピテルの母の山に生えていた木で作られた船なので)
その晩、城門の警備に当たっていたのは狩のニンフ・イダの息子ニススとその親友でトロイア軍きっての美貌の少年戦士エウリュアルス。
2人は長老達がアエネアスに戻ってもらわなければ・・と言っていたのを思い出しその伝令役をやってのけようと決心します。
兄貴分のニススは、シチリアのアケステス王の元にも留まらず息子と行動を共にしてきたエウリュアルスの母を案じますが、エウリュアルスの決心は揺らぎません。
トロイアの将軍達に見送られ城を出た2人は、泥酔するトゥルヌス軍の武将たちの首を取りながら進みます。
必死に逃げますが、エウリュアルスは敵から取り上げた剣帯が邪魔をして早く走れずニススとはぐれてしまいます。
気がついたニススが取って返しますが、既にエウリュアルスは捕らえられ・・。
暗闇から投げたニススの槍に敵が2人倒れます。
仲間を倒された敵は、怒りのあまりエウリュアルスに剣を向け、それを見たニススが飛び出します。
「やったのは俺だ!彼は友情の為について来たに過ぎないのだ!」
しかしエウリュアルスはその場で斬り殺され、ニススも槍を浴びてエウリュアルスの上に倒れます。
翌日、トゥルヌスの軍は2人の首級を挙げながら進軍します。それを見たエウリュアルスの老母の嘆きが響き渡りました。
トゥルヌス軍の総攻撃が始まります。
一方、たった1人城門の中に入り込んだトゥルヌスは、かつてのアキレウスのように暴れまわり犠牲者の山を築きましたが、徐々に追い詰められてしまい・・。
ユノは助けてあげたくてもユピテルに警告された為動けません。
よもやこれまで!、トゥルヌスはティベル川に身を投げますが、河神が拾い上げると殺人の汚れを清め仲間の元に返してやりました。
他方、天上に目を向けるとオリュンポスではユピテルを中心にした会議が開かれています。
ユピテルとしては、今はイタリアがトロイアと争う時ではない、いつの日かカルタゴがアルプスを越えて攻め上って来た時にこそイタリアは真の戦いをしなければならなのだ、と説きます。
しかし、神々に伺いを立てその言葉に従ってトロイアを出てイタリアを目指して来た我が子アエネアスとその民が何故ここまで苦労をしなければならないのか、とウェヌスは訴えます。
ましてやトゥルヌスの軍にはトロイアで女神の自分を傷つけたディオメデスが加わっているのですよ、と。
( 結局はディオメデスは援軍を寄越しませんでしたが)
そしてせめて孫のユルスだけは無事に戦場から返してくださいと嘆願するウェヌスに対して、ユノは激しく反発します。
「トロイアのパリスをそそのかしてスパルタの女を略奪させて全ての原因を作ったのは誰なのよ!」
2人の女神の諍いにうんざりしたユピテルは以後イタリア、トロイアのどちらにも加担しないと宣言をします。
トロイアの城壁が包囲されている事も知らず、アエネアスはエウアンドロス王のもとを辞してタルコン王を訪れ助力を要請、受け入れられます。
そしてアエネアスの旗下に参じた武将の中には、クパウォもいました。
クパウォはキュクヌスの息子で、キュクヌスはパエトーンの恋人でした。
パエトンの墜落by ルーベンス
今回のルーベンス展できましたね!
太陽神ヘリオスの息子パエトーンは、自分の出生を明らかにするものが欲しいと父に頼んで太陽の戦車に乗りますが、上手に御せる筈が無く、暴走させてしまいます。ユピテルは暴走する太陽を止める為に、雷で戦車を撃ち落とします。
父キュクヌスの形見の白鳥の羽を兜に付けてクパウォはアエネアスの軍に馳せ参じます。
美少年に恋い焦がれて白鳥になったのがおじさまというのもムムムという感じですが、その白鳥になったおじさまの息子さんが形見の羽を指して戦場立つというのも奥が深いです。
不埒な行いで先祖代々の王位を追われ、生き長らえた挙げ句息子に命を救われて、その為に愛する息子を死なせてしまった自分を嘆き、今こそ自分の人生を終わらせる時が来たと悟ります。
トロイア軍の救援に参加してくれた戦艦達と帰路を急ぐアエネアスの前に思いもよらぬ仲間たちが声をかけます。
それは以前トゥルヌスによって燃やされそうになったところをユピテルによって海のニンフ達に変えられた元船たち。
海のニンフとなった船たちは、アエネアスにトロイア軍がトァルヌスに包囲されて苦しんでいる事を伝えます。
ニンフ達の話通り、アエネアスの留守中トロイア軍はトゥルヌスのラティウム軍に囲まれて激しい戦いに苦しみます。
そんな折、エウアンドロス王の愛息子パラスがトゥルヌスとの一騎打ちで命を落とします。
それが命取りになるとも知らず、パラスから奪った彫刻を刻んだ黄金の腹帯を身につけるトゥルヌス。
「パラスの親父に伝えろ。親子してイタリアを裏切りアエネアスについた報いだと!」
パラスを倒し帯を奪うトゥルヌス
盟友エウアンドロスの息子の死を知って怒りを爆発させるアエネアス。
これはトゥルヌスの危機!、そう感じたユノはユピテルに頼み込みます。
運命は変えられずとも、せめてトゥルヌスの死期を遅らせてください。
そしてユノは雲でアエネアスの似姿を作るとそれでトゥルヌスをおびき出します、そしてアエネアスの似姿を追ってトゥルヌスか船に乗り込んだその瞬間、女神は艫綱を切ると船を沖に押し出してしまいました。
思いがけず戦場を離れてしまったトゥルヌスは、これでは自分の旗の元に集まってくれた戦士たちはどうすれば良いのだと絶望し、何度も剣に身を躍らせたり海に身を投げようとしますがユノに抑えられます。
一方、トゥルヌスが居なくなってしまったラティウム軍はメゼンティウスが指揮をとり、荒れ狂った猪のように暴れまわります。
しかしアエネアスの放った槍が当たりメゼンティウスは大怪我を。
そこをすかさずアエネアスが剣を下ろしますが、割って入ったメゼンティウスの息子ラウススが剣を払い父を助けます。
闘いの場のアエネアスとメゼンティウス父子。
メゼンティウスが仲間に運ばれていったあと、割って入った事を叱りつけるアエネアスですが、ラウススは怯まず打ちかかり、結果アエネアスの剣に倒れます。
我が子ユルスの姿と重ね合わせ、若者の死に涙するアエネアス。
その頃、助けられたメゼンティウスはティベル河畔で甲冑を木に掛け傷を洗っていましたが、そこに息子ラウススの遺体が運ばれてきます。
不埒な行いで先祖代々の王位を追われ、生き長らえた挙げ句息子に命を救われて、その為に愛する息子を死なせてしまった自分を嘆き、今こそ自分の人生を終わらせる時が来たと悟ります。
愛馬ラエブスの背に乗り、ラウススの仇を取る為にメゼンティウスは戦場に戻ります。
アエネアスとメゼンティウスの一騎打ち。
敗れたメゼンティウスは、故国の民にはいまだ憎まれている自分だが、せめて息子と一緒に土に埋めてくれ、そうアエネアスに頼みながらこと切れました。
アエネアスは戦勝記念にメゼンティウスの甲冑を樫の大木に括りつけます。










