ドイツの歌姫 | S A L O N

最近は以前に比べ、世代間における愛聴音楽の嗜好性の相違がより鮮明になっているように思われる。
クラシック、ジャズ、R&B、ロック、ポップス、ラップ、クラブ、ハウスだ何だと“ジャンル”的に細分化されていることもあるのだろうが…
また、若いうちはリズムやテンポで聴く傾向にあったりもするが…
歳とともにメロディーや…特に歌詞への感情移入傾向が強くなり…知らず知らずのうちに“演歌の道”に向かう傾向にあるのかもしれない…(苦笑)
それは自分たちの幼少期~青年期にも確かにあったのかもしれないが…
当時の流行歌(死語?)…いわゆるアイドルたちが歌う歌謡曲と演歌とのボーダーは現代よりは曖昧だったようにも思う。
そして、古くは美空ひばりから山口百恵といった…おじいちゃん・おばあちゃんから孫世代までが一緒に聴くような…世代をこえた歌姫が存在していたように思われる。
まぁ、こうしたことを評するほど詳しいわけではないので、あくまでも私見ではあるのだが…
…ということで、今回はドイツの歌姫…ヘレーネ・フィッシャーを紹介させて頂こうかと!
Echo賞、Goldene Henne賞やKrone der Volksmusik賞などの他…ドイツにおける数々の音楽賞を受賞し、実力・人気・美貌の三拍子を兼ね備えた…まさに“die Diva(歌姫)”なのである。

 

 

ヘレーネ・フィッシャーは1984年8月5日にロシア連邦シベリア中部の都市クラスノヤルスクで父ペーターと母マリアの第二子として生まれ、4歳の時に家族とともにドイツに帰国。
中学校を卒業後、フランクフルトのステージ&ミュージカル・スクールに三年間通い、歌劇・演劇活動を行なっていた。
その間に彼女の母親がアーティストマネージャーのウーヴェ・カントハークに6曲入のデモCDを送り…それがプロデューサーのジャン・フランクフルターの目…耳に留まったことが切掛けとなり2005年のデビューへと継った。
初出演となったTV番組『民族音楽の結婚披露宴』内で…歌手のフロリアン・シルバーアイゼンとデュエットしているのだが…
後に…まさに、この二人は結婚することとなる。
 

現在最も成功している英語圏以外の歌手の一人とも言われているヘレーネ…現在36歳と、まさに円熟期の実力派ボーカリストは今後も更なる活躍が期待される歌姫なのである。

私が初めて彼女の歌声を聴いたのは…実はそうしたヘレーネのヒット曲や持ち歌、カバー曲といったものではなく…
2008年1月2日にケムニッツ(※)で行われたコンサートの際の…アンコールに応えての↓の『Ave Maria』だったのだが…
それまでにも、いろいろな歌い手の歌いあげる同曲を聴いたことがあったが…
ヘレーネのそれは気取らず素直でのびやかで美しく澄んだ…なのに力強くもあり…それまでにない感銘を受けたのをおぼえている。
そして何といっても、その美しいブロンドヘアーとその“様”に惹かれたことは言うまでもない…

(※)
旧東ドイツ時代にはカール・マルクス・シュタットと称されたが、ベ ルリンの壁崩壊以降は旧称の「ケムニッツ」に戻されている。

 

 

ヘレーネの日々の喜びや悲 し み、悩み、家族や恋人への愛を…ドイツの女性らしく、気取らず素直に歌っている姿が…コンサートの模様などからもわかるように老若男女に愛聴されている理由なのかもしれない。

 

 

ボーカリストとしてのヘレーネの実力からそのジャンルも幅広く…
民族音楽(ドイツ民謡やロシア民謡など)からポップス、ロックまで歌いあげる。
カバーした曲もオリジナルにも勝るとも劣らないほどにヘレーネの歌として歌いあげられているように思う。

 

 

ヘレーネの代表曲「Atemlos durch die Nacht」
2014年、ドイツ語圏で最も口ずさまれた歌とも評されている。

 

 

ここ最近の活動としては…

米国の歌手ジョシュ・グローバンとの2019年の協演を切っ掛けに、1994年のプリテンダーズのヒット曲『I'll Stand By You』をカバーしたデュエット曲。
因みに、このコロナ禍のためハンブルク、ロサンゼルス、ナッシュビルの3スタジオからのリモート録音となったのだとか。