お金公式サイト
出/ジョージ・クルーニー、ブラッド・ピット、マット・デーモン、アル・パチーノほか・・・てゆーかキリねえよ。
監/スティーブン・ソダーバーグ

ご存知ハリウッドオールスターメンバーがお送りする、犯罪ドリームチーム映画。
仲間がホテル王に騙され、その報復に出るオーシャンズ一味。
一筋縄ではいかないホテル王相手に、オーシャンズがとった一手とは。

いささか食傷気味とさえ感じるほどの豪華メンバーが一同に揃う、それが最大の見所である本作。
正直に申し上げるならば、それしか見所がなかった前作。
もうほとんどお祭りだからね、仕方ないよね、という、身も蓋もない心構えで見に行ったりしまった私なんですが、本作がシリーズ中一番面白いです、はい。
ジュリア・ロバーツやキャサリン・ゼタ・ジョーンズが不在で、華少な目な13なんですが、それがかえって吉と出た格好。
犯罪ドリームチーム、今回は犯罪に専念します!
こうじゃなくっちゃ!!

見所は、まあ、ハリウッドオールスターの面々なんですけど、中では、アル・パチーノ演じるホテル王の右腕役のエレン・バーキンを押しておく。
理由はよく分からないけど、うん、なんとなく。
メインキャスト唯一の女性だから、必要以上に目立ってたってこともあるかもしれない。
こう、仕事に全力投球で、肩肘張って来たんだなあってカンジがね、いいんじゃないかと。

それにしても、豪華出演陣が見所とは言え、ぶっちゃけ、あんなにもいらんかったんじゃないか?とか思ってみたりもしたりする。
私のような頭の悪い人間ですと、覚えられるのは5人くらいが限界なんですよね、ええ。
つか、この映画、オーシャンズ一味が13人だから「オーシャンズ13」なんでしたっけ?つか、オーシャンズ一味って最初本当に11人いたっけ?(駄目だこりゃ)
本当に頭が悪いので、一味の役名が覚えられません。
クルーニー=ダニー・オーシャン以下は、ほら、ブラピがいつもなんか食っててさ、とか、デーモンのつけ鼻が…とか、地下にもぐったドン・チードルが、と、役者の名前でないと会話が出来ません。
もう少し気合を入れて映画を見るべきかもしれませんが、いいんです、名前分からなくても楽しかったから。

尚、この作品で驚いたのはエンドロール。
HIMSELF AKEBONO
HIMSELF MUSASHIMARU
だったかも知れません。
そー言えばさー、13の舞台は日本て噂ありましたよね~~それがこんなカタチだとは…。
なんつーか、アレ、日本文化はやっぱり誤解されている!ホテル王の新ホテルがどうも日本風?のつもり?らしいんだが、相撲と高級日本酒「クボタ」が出てこなかったら分からなかったわ。いや、いいけど。

ともあれ、オーシャンズとの知恵比べを楽しむもよし、豪華キャストを眺めるもよし、のイカすエンターテイメント作品だと思いました。



どーでもいいけど、私さ、広島カープファンなんですわ。
広島に住んだことはないし、広島出身の彼氏がいるとか、そんなことは全くないんだけど、なんかさ、あの昭和っぽい雰囲気とか、ちょっとセピアなカンジとか、少しだけ別世界っぽいなんとも言えないノスタルジックさが大好きなんですよ。
そこに所属する選手にも同じ匂いを感じたりする。
古風で、無骨で、不器用で、なんとなくカタカナが似合わなくて、でも真摯で、何より昭和のかほり。

ずっと昔から大好きで、夏休みとか、ないお金を出し切って、広島まで観戦に行ったものです、鈍行で。そこのけそこのけ12時間。それだけの時間と労力をかける価値があったのだ、私にとっては。
私は、エース黒田のルーキーイヤーのサインを持っている。それが自慢だ。その価値を分かってくれる人は、多分そんなにいないんだろうなあ、と思うのだけど。

そんな広島。
広島カープにちょっとでも興味のある人間にとって、前田智徳は特別だ。
天才だとか、孤高のなんとかとか、求道者とか、サムライとか、硬派な前置詞付で語られることの多い前田。
そんな部分もあると思う。
だけど寧ろ、私はこんなにもよく泣く男の人を他に見たことない気がする。
打てない時も、打った時も、同期が引退する時も、見てるコッチが泣きそうになる二秒前に泣き出す前田、テレビの向こうで。
それでも、あの前田が泣いている!と、いつだって感じる。不思議なもんです。
大の男で、侍と評されるほどの前田が泣く、その裏にあるものは尋常じゃないものに違いない、それをヒシヒシと感じるんですよね。

2000安打達成!
やっぱり前田は泣いたし、私も泣いた。
嬉しさと、なんで球場にいないんだ、自分、という悔しさで。
なんかねー、広島カープを愛してやまない人間にとって、黒田と前田は特別だと思った。
それはまるで、神様みたいな大きな存在で、彼らが野球をしているのを、リアルタイムで見られることが奇跡に思える。
好きとか嫌いとか、そんな次元もはるかに超えて、ひたすら特別なんだと思いました。

就職してから、なかなか広島まで行くことが出来ない今日このごろなんですが、やっぱり野球は生だと思った次第。
広島市民球場はいいんですよ。
小さくてさ、本当に小さくてさ、一緒にグラウンドにいるような、そんなささやかさがさ。それになんと言ってもビールがおいしいの、あの球場。
やっぱりさ、黒田と前田は特別なんですよ、ええ。

井上 雄彦
スラムダンク 完全版 全24巻セット
「バスケットはお好きですか?」と言う、好みストライクど真ん中なハルコさんの一言で、バスケ部に入部した桜木花道と、ハルコさんの兄・ゴリ、ハルコさんが想いを寄せる流川など、個性的な面々のバスケ中心の日々を描く、バスケ漫画の記念碑的傑作。

今更ですが。
職場のセンパイに借りたら、懐かしさも手伝って夢中で読みふけり、仕事に差し障りが出、気がついたら全31巻大人買い。
最初はみんな年上だったのに、いつの間にかみんな年下。
本当に懐かしい。
中学、高校と、クラスみんなで読んでた。
登場する学校ごとに応援団みたいなのついて、インターハイ予選が始まった辺りでは、インターハイ行くのは湘北だとか、陵南だとか、無闇に言い争ったそんな青春時代。(海南はキマリだと、最初からなんとなく分かってた)
そんなヤツは多分、私だけじゃないですよね?

ちなみに、今も昔も陵南ファンです。今も昔も天才・仙道ファンです。
井上先生的には最も思い入れのないキャラなのだそうです(哀)が、その完璧具合にはうっとりします。
バスケ選手として恵まれた長身、身体能力、広い視野、常に冷静で揺るがない精神力、圧倒的なカリスマ性とスター性を持ち、確かにチームを一身に背負っている(しかも叱られ役兼任)のに、どこか余裕で軽やかで、付け入るスキのない完璧さ。
GもFもなんでもやるよ、オールラウンダーだよ。カッコ良すぎ。
でも、コートの外だとのほほんとうっかり。
たまりません。
部活はサボる、遅刻する。それでも、許されてしまうその特別感。
のほほんとして感情を全く外に出さない仙道を、実によく理解しているチームメイトの面々も大好き。
信頼しているからこそほったらかして、叱り飛ばしているであろう田岡も良いし、「仙道のプライド」を思いやる福田もいい(そしてそれを理解して、それを優先させる田岡は泣かす)
要するに陵南大好きです。
監督の中ではぶっちぎりで田岡大好き。
月一回くらい部活帰りに部員にごはんとか奢ってそうなカンジがする。部員の面々も「センセ~ジュース奢ってよ~~」とか言ってそうなカンジがする。
強豪校の強さと、同好会の気楽さみたいのが同居してませんか?

んでも、なんだかんだと泣かせてくれるのはゴリ周辺。
つか、ゴリとメガネくんの関係は、私的に理想の男の友情です。
コートでゴリを支えたのは花道だったり、流川だったりしたかもしれないけど、本当に支えてたのはメガネくんだよね。泣けるんだよ。
その辺りを野生の勘か何かで察しているらしい、花道の言動も相当泣かせてくれます。
どこか兄弟みたいでいいな、と思う。
男同士っていいなって思う。

主人公として、花道はすごくいいと思う。
素人がどんどん巧くなっていく、それがとても痛快だった。
私もバスケ経験が少しだけあるのだけど、当時の私はチームでもぶっちぎりで小さくて、どう頑張ってもカットイン出来なかったから、外から打つか、大きいチームメイトにパスすることしか出来なかった。ボールは途轍もなく大きかったし、リングは果てしなく高くて遠かった。
どんどん巧くなる花道を見ていて、いいなあって思ったのですよ。
やめなきゃ良かったって思ったのですよ。
バスケがしたいです、安西先生って思ったのですよ。

バスケは好きですか?
大好きです、今度は嘘じゃないっす。
の名言を、心の中で一緒に呟かずにいられません。

つか、マジで、バスケしてーっす。
170あるよ!垂直飛びは約60飛べるよ!50Mなら7秒以下で走れるよ!チビだったから、外からも打てるよ!
結構素質ねえ?(ねえよ)
ガッコ卒業しちゃうとバスケするトコどこにもないの?

なので、しつこくもう一回。

バスケがしたいです、安西先生
ダン シモンズ, Dan Simmons, 酒井 昭伸 イリアム
ホメロスの叙事詩「イリアス」の本歌取りに、シェークスピアのエッセンスをたっぷり(特に「テンペスト」)と。
ギリシア神話の神々たちの干渉の下、トロイア戦争の再現の真っ最中の火星と、それを監視する為に神々によってサルベージされた20世紀の人間、その火星に現れた謎の巨大人物像の謎を突き止めるために、木星から旅立つ半機械たち、『ポスト・ヒューマン』という存在と、地球に残され、自分たちだけでは生きていけないほど弱体化した旧地球人たち…
彼らはそれぞれの存在を知らず、別々の世界で生きていたが、自らの存在に疑問を抱き、自らの謎に迫ろうとした時、彼らは遂に互いに出会うが…

んでもって、「オリュンポス」に続きます。
だもんで、この作品はまだ途中。これからこれから。早く読みたい!
尚、これ以降、自分のための覚書的な感想になりますので、びみょ~~にネタバレしちゃってるやもしれません。要注意でお願いします。

最初は、何のこっちゃ分かりません。
何がどうつながるか分からない、地球、火星、木星のお話が行ったり来たりしながら展開するからです。
そもそも、何の説明もないまま、トロイア勢とアカイア勢がにらみ合っている冒頭、それを、正体の分からないが、「イリアス」の顛末を知っているホッケンベリーとかいう男が見ている。
なんだろう?と思いながら読み進めていると、シェークスピアのソネットに関する考察に話が飛び、かと思うと、女好きの男がどうやってお目当ての美女を落とそうかと、そんな作戦を立てている話が始まる。
序盤は終始こんなカンジで、シモンズは何がしたいの?と思ってしまうこと請け合い。
だが、それを読まないと、各々の生きる世界がどんな世界なのか分からない。

それを把握した辺りで、物語は大きく動く。
トロイア戦争のリプレイに、神が大きく干渉し始めるのだ…は、原典でも同じなのだが、「イリアム」の神々は「イリアス」に登場しない人物を使う。
だから、神々が意図したようには展開しない。そこが面白い。
「イリアス」って、どうも納得いかないじゃないですか、展開的に。
叙事詩だから、つまり歴史だから、そうなっちゃうのも仕方がないのかもしれないけれど、やっぱり納得出来ないじゃないですか。
アテネとか一体何がしたいんだ?とか思うじゃないですか。
オデッセウスは何度乞食にばければ気が済むんだよ、とか思うじゃないですか。
アキレウス、さっさとアガメムノン殺しちゃえよ、とか思うじゃないですか。
え?私だけ?
いやいや、絶対シモンズもそう思ったに違いないのです。絶対そうです。だから「イリアム」はどんどん「イリアス」とかけ離れていくんだってば、そうなんだってば。

地球では、取り残された旧人類たちが、ポスト・ヒューマンたちの足跡を追う。
それは多分火星の神々たちにつながるはずだ。どうしてそうなったのかは分からないけれど。
木星から火星にやって来た半機械たちは、ホッケンベリーと合流。
んでもって、謎の巨大人物像もまた、ポスト・ヒューマンたちの足跡らしい。
彼らもきっと、「イリアス」改変に大きく手を貸すに違いないのだ。どう変わるか知らないけれど。

「イリアス」を読んでいて、結末はもう知っているけれど、いや、知っているからこそ、トロイアの人々に助かって欲しいと思ったのは私だけではないと思う。
高見の見物の神々が憎かったのは私だけではないと思う。
この「イリアム」は、高見の見物の神々をさらに高見の見物をして、「イリアス」を読んで感じた鬱憤を、晴らしてくれるんじゃないかと思わされる。
性格悪くてすみませーーーん(。-人-。)
神々に翻弄された人間が、遂に神々に復讐する!
楽しみで楽しみで仕方がないのです、この続きが。早く続きを読もうと思います。

ハートブレイク公式サイト
トニー・レオン
金城武他。
アンドリュー・ラウ監督

ヘイとポンは香港の刑事の先輩と後輩。
恋人を自殺で喪ったポンは、その現実との折り合いを付けられず、刑事を辞めて酒に溺れる私立探偵に身を落とす一方、ヘイは億万長者の娘スクツァンと結婚し、公私ともに順風満帆。
ところがそんな時、スクツァンの父親が惨殺される。
事件は強盗殺人と断定されたが、スクツァンは納得出来ず、ポンに事件を調べて欲しいと頼むが。

ええと、まず。
この邦題はちょっとヒドイつかダサイ。
内容に合ってないわけではないのだけども、なんとなーーーくチケット買う時恥ずかしかったですよ、傷だらけの男たちって!浪花節だよ人生は。演歌だよ。

不満はこの程度で。
トニー・レオンが、「インファナル・アフェア」のスタッフの手によって、キャリア初の悪役に挑む!という、ちょっとウキウキするような本作。
見終えた感想を申し上げますと、そんなに悪かった?だったりします。
いや、悪いよ?悪いこといっぱいするよ?
でもさ、トニー・レオンのあの悲しげな顔が、そうせずに生きられなかった人間の悲劇みたいなものを感じさせ、言うほど悪く思えなかったのですよ。
トニー・レオンの悲哀は、ジェームス・ディーンのそれですよね。そう思うのは私だけでしょうか。
誰の言葉か忘れたんですけど、ジェームス・ディーンの悲哀は「悲しいんだ!分かってくれよ!傍にいてくれよ!」と、訴えかける悲哀、スティーブ・マックイーンの悲哀は「悲しいかだって?テメエには関係ねえだろ。」と、突き放す悲哀なんだそうで(これは私論でありますが、ウィル・スミスなどには悲哀感があまりなく、「ああ悲しいなあ、でも明日は薔薇色さ!」という、前向きな悲哀だと思う。だが、そこがいい)
とにかく、トニー・レオンの悲しげな表情を見ていると、分かってあげたくなると言うか、そんな感じなのです。
辛かったね、とか言ってあげたくなると言うか、そんな感じなのです。
スーっと涙が零れて、自分が泣いていることさえ知らないのではないかと言う、そんなクライマックス。
巧いですよねえ。
その泣き方で、これまでの25年の想いが伝わると言うかなんと言うか。

一方、それを受ける金城武。
名前がカワイ過ぎますよね。ポンちゃん。コロコロした子犬とかにつけるべき名前です、日本では(どうでもいいよ)
ですが、怒られそうだなーと思いつつ書いてしまうけど、なんだかこの作品の彼は子犬っぽいです。
序盤の彼は、いつでも会える の主人公の犬みたい。
私は演技のことはよく分からないのですが、金城武の表情はすごくいいと思います。
恋人亡くした直後の、感情のスイッチがオフになってる、あのなんもないカオなんてハッとしました。先輩刑事ヘイ=トニー・レオン見てスイッチが入ったように泣き出す流れも含めて。

ついでに、女優陣もすごく良いです。
とにかく、スー・チー=フォンは可愛いです。
ともすれば真っ暗で、重くなってしまうお話の中の光としてキラキラしています。
キラキラ笑いながら、一緒にいるだけで、ポンを救ってしまったりする。可愛い女の子最強!万歳!!
また、シュー・ジンレイ=スクツァンも、知的で透明感があってすごく素敵。
彼女がこんなに美しかったから、ヘイは少しだけ、ほんの少しの間だけ幸せだったと思うけれど、彼女がこんなにも美しくなかったら、ヘイは少しだけ、ほんの少しだけ、楽だったのではないかとさえ思ってしまう。
自分が泣いていると、それに気がつくことが出来る人だったら、こんなことにはならなかったのに、とか。

邦題のダサさにメゲずに是非、ご覧ください。
インファナル・アフェアがお好きならハマるはず。
マカオ ノスタルジック紀行(双葉社)

元ポルトガルの植民地マカオ。
香港と比べるとちょっぴり影が薄いけど、西洋と東洋のハーフみたいなエキゾチックな街♪
アジア旅行ライターという、プロの目で切り取るマカオの今!

行ってみたいんですよね~~マカオ。
でもなんか、香港とかより行きにくくないですか~?マカオ。
語学と方向感覚がゼロどころかマイナスな私は、ツアーがないとちょっと行く勇気がなくて、一度も行ったことがなかったり。
だから、テレビと写真からしか知らないの。(あと確か、ブラックジャックのお父さんが住んでたはず)

んで、この本。
つか、この本片手にマカオを徘徊したい感じ。ここぞとばかりにちょっと迷子になってみたい感じ。写真の景色を探してみたい感じ。
タイトルに偽りなしのマカオ・ノスタルジックです。
いや、行ったことないけど。
行ったことないのだけど、ずっとこのままでいて欲しいな、と思わされますよね。
中華とポルトガルのバランスとか。近代的なガラス貼りのビルとかが侵食しちゃったら寂しすぎる…そんなのノスタルジー台無しだもの!
せめて私が行くまではこのままでいてね(ワガママ)



 
ジョージ R.R.マーティン, 岡部 宏之剣嵐の大地 3 (3)   三巻は画像がないらしい・・・

ジョージ R.R.マーティンの「七王国」を舞台にした大河ファンタジーシリーズの第三部。
鉄の玉座を守ってきたターガリエン家の時代はクーデターによって終了。その後玉座に就いたのはバラシオン家のロバート公だったが、暗殺によりその幼い息子ジョフリーに玉座は引き継がれる。
それを良しとしない諸侯が反旗を翻し、それぞれ王を自称、戦国時代状態に突入する。
一方、七王国を逃れたターガリエン家の姫君デーナリスは、異民族を率い、王権の復帰のため機会を窺い、その軍を整えつつあった。
さらに、北の境界線を守る夜警団の砦では、異形人たちの脅威に曝され、半ば崩壊の危機に喘いでいた…

もう、何から書いたらいいのやら。
このシリーズは、沢山の登場人物たちの視点で物語が出来ていて、沢山の番外編の集合体みたいな作りになっているのです。
北部の名門のスターク家の姫君で、ジョフリーの元婚約者だが、その父エダードが反逆者として処刑されたため、ものすごく微妙な立場のまま王都に取り残されてしまったサンサ、その妹で、政変のゴタゴタに乗じて王都を離脱、一路故郷への帰還を目指すアリア、その弟で、北部の政変で城を逃れるブラン、彼らの母親で、北部の王としてジョフリーに反旗を翻したロブに帯同しつつ、行方不明の娘たちを取り戻そうとするケイトリン、また、スターク家の私生児で、夜警団の一員として異形人との戦闘の最前線にいるジョン、その友人のサム、彼らの仇敵ラニスター家の一員で、ターガリエン家の最後の王を切った近衛隊長ジェイム、その弟で知略に秀でる小人ティリオン、さらに彼らと敵対するロバート公の弟スタンニス公に仕える元密輸業者の騎士ダヴォス、ターガリエン家最後の生き残りで、七王国の玉座を取り戻そうとする異民族の女王デーナリス…こんな人々の物語が組み合わさって、ひとつの物語になっていきます。
複雑で深いです。

一応、特に主要な一家は、その名前を付けられた章の多いスターク家。
清廉で、あまり後ろ暗いところのない彼らは、いつも真っ当で正直で貧乏籤を引き勝ち。
現当主ロブからしてまた15歳とかそんなのなので、この戦国時代を乗り切るにはあまりに経験が足りない。
戦場では一度も負けていないのだけど、多くの陰謀に晒され、城を失ってしまう辺り、それが如実に現れていると言えるだろう。
そんなゴタゴタからは離れていられるジョンだけど、夜警団も大変だし、なんだかんだ言っても半分はスタークなので、四部あたりではなんかゴタゴタに巻き込まれそうな雰囲気。不穏です。

一方、だいたいの人々のシークエンスで悪役を演じる、ラニスター家。
故ロバート公の元王妃で、現国王の外戚として牽制を奮うその様はものの見事に悪役です。
国王ジョフリーは本当に憎たらしい<ネタバレ>死んだ時はザマーミロとか思ったよ</ネタバレ>し、その母サーセイ、その父タイウィン辺りも誰か早く天誅を!と思わずにはいられない。
でも、ティリオンは作中最も興味深い人物の1人。リチャード三世を思い出す感じ。シェークスピア作品ではなくて、歴史上の立ち位置として。(そのフィクションと歴史のギャップの面白さもリチャード三世的だけど)

また、その兄ジェイムがこの三部で一番面白かった。
二部までは悪の権化のような扱いだたけれど、戦争に負け、捕虜になった辺りから最高に面白い。
と、言うか、彼を巡る女性…美女で悪女属性の双子の妹サーセイ、美しくはないが、己に悖ることのない最上の女騎士ブリエンヌ…が真逆のキャラ立てがいいのですよ。
彼女たち二人の前で、ごく普通の男になっちゃうジェイムは見るにつけ、悪の権化扱いが気の毒に思われる今日この頃。
大概の男より強くて、女扱いされることを潔しとせず、どんな犠牲を払っても騎士であろうとする誇り高いブリエンヌなどは、ジェイムの周りにはいないタイプの女性…てか人間?で、彼女への対応に困惑し、どうも安定しない態度と振る舞いをとりつつ、なんだか変わっていくジェイムは、三部に入るまでのイメージが最悪だっただけに、大変に新鮮で面白かったです。
三部の後半の彼の行動は絶対に、今までだったら有り得ない。
玉座の行方より興味深い展開でした。

シークエンスの冠になっていない人物でこれから目を離せないのはリトル・フィンガー。
頭脳だけで成り上がった小貴族から遂にここまで登りつめるのか。
もしかしてここまで計算していたの?と、その緻密な成り上がり計画に背筋が寒くなる想いがします。
全身の毛穴で受け止めろ!(@テレ東)これからキーパーソンになるはずです。
また、これからのスターク家の嵐の目は多分ジョン。
公的に生存が確認されている唯一のスターク家の人間になってしまったワケなので、恐らく放っておいてはもらえないでしょう。
…なんて、予想を立ててみても、いつも思いもよらない方向に展開するこのシリーズ。
それぞれのシークエンスが絡み合い、信じられないような化学変化を起こし、想像を絶するタペストリーに仕上がるはず。
早く四部が出ないかな。
早くしないと忘れてしまうよ、複雑で、沢山の人間が出てくる一冊だからさ…

京極 夏彦
邪魅の雫
京極堂シリーズ…8弾くらい?何冊目だっけ?全部一応読んだんだけどな?あれ?
まあいいや。
連続する殺人事件を、別の角度から追う青木と益田。
追えば追うほど被害者が増えていく。容疑者が被害者に変わり、そして、わずかな接点でつながっている被害者だち。
事件をつなぐものは何なのか。

…でいいのかな?どう?(聞くな)
いつもの通り、超重低音な文体で、湿度多目に展開します。
これですよ、京極堂はこうでなくちゃ。まあ、榎木津出てくると梅雨の晴れ間のような快晴…にならない今回。
出番は正直少ないのですが、その割に主役はきっと、榎木津なんだろうな。
元華族の超名門、押しも押されぬ大財閥のご令息、学歴も高く、無意味に多芸、ルックスも抜群…と、ケチのつけようのない釣書の榎木津なのに、縁談断られっぱなし。
顔を合わせてから断られるのならば分かる(性格がアレだから)けれど、会う前に断られるのは一体何故かと、ちょっぴりおせっかいな叔父さんにせっつかれ、榎木津に隠れて調査することになる益田。
案外陽気に始まる益田ライン。

一方、へっぽこ商社のサラリーマンの他殺と、良家の令嬢の他殺という二つの殺人事件の捜査に関わるも、この二つの事件を連続殺人と定義する捜査方針に疑問を抱く青木。
木場や先輩刑事に相談し、方針外の捜査を始めると、昭和史最大の毒殺事件帝銀事件の顛末が浮かび上がる。
私は木場ひいきなもんで、ここでしか出番がないのが残念無念。
それはさておき、戦前の秘密の毒物兵器開発なんかと結びつき、ダークに展開する青木ライン。
この二つの線が絡み合ってくると…
益々分からん。
そう、これは単純な連続殺人事件ではないのです。

ジャンル分けをすると、これは推理小説のカテゴリの作品であることは間違いないので、筋に関してはこれ以上は触れないでおきます。
そして、余計なおせっかいではありますが、読むならば是非一気で。
お話の構造が複雑だし、鍵になる伏線がかなりさりげなく紛れ込ませてあり、時間が経つと忘れてしまうに違いないからです。そんなのオマエだけ?うーん…そうかも。
これは完全無欠の愚痴ですが、本文で、時々言及される前作の事件が分からないんですよ、私。「武蔵野の事件…」とか、「白樺湖の…」とか、え?なんだったっけ?って感じなんですよ。
そんな私みたいな人のために、ちょっとだけまとめドキドキ
うぶめ…?
魍魎…武蔵野
狂骨…逗子
鉄鼠…箱根
蜘蛛…勝浦
塗仏…伊豆
おんもらき…白樺湖
です!(多分)
うぶめってどこでしたっけ?東京郊外なイメージなんですけども、具体的に地名出てきましたっけ?(ダメだこりゃ)

矢張り主役は榎木津。
榎木津だって人間なんですね。
そんな当たり前のことが、なんだかやるせなく、一抹の寂しさを感じる、そんなエンディング。
そして思うことには、こんな榎木津の傍にずっといられる、京極堂、木場、関口たちは矢張り只者ではないですね。
ののしり、ののしられつつ、面倒に思いつつ、それでもなんだかんだ言って理解してくれる、そんなこの人たちがいて良かったねえ、などとセンチメンタルに呟く不快指数MAXの梅雨の夕方。
そんな、この言葉は似合わないけれど、でも他に言いようはない、孤高の天才榎木津の内面にちょっとだけ触れた気分になったりする、そんな一冊になっていると思います。
   

よく似ているけれど、ちょっと違う、いわゆるパラレルワールド(?)に住むライラを主人公に、いくつもの世界を行き来し、いくつもの世界の住人と出会う、そんな冒険を描く、20世紀最後のビッグ・ファンタジー。
オックスフォードの学寮で暮らす少女ライラは、ひょんなことから、謎だが、とんでもない力を秘めた「ダスト」という物体の存在を知ってしまう。
同じ頃、子供が連れ去られる事件が続発。
ライラの親友であるロジャーも連れ去られてしまい、ライラは不思議な羅針盤を手にワケも分からぬまま、冒険の旅に出るが。

と、言うような。
とにかく、大変な面白さです。
もっと、小さな頃…ライラと同じ12歳の頃に出会いたかったシリーズです。
来年3月には映画も公開。つまり、
読むなら今です!
特に図書館で借りようという方々!
ファンタジーにはお約束ですが、色々世界のルールというようなものがあります。それを頭に入れて読んだ方が絶対面白いのです。

「羅針盤」はライラとライラの世界のお話。
誰もがダイモンという分身のような存在を持っている、ちょっと昔…19世紀かな…のロンドンのような世界。
お転婆で、元気いっぱいで、もーーーすっごく可愛いライラに引っ張られて、すぐにこの世界に馴染んでしまう。
浚われた友達を必死で探すうちに、知らず世界の命運を握るような立場に立たされるライラ。
その重要性には気がつかないライラ。
子供らしい、あるいは子供の特権たる無鉄砲さで駆け抜けるライラにヒヤヒヤさせられること請け合い。
だから子供のうちに読みたかったんだってば。ただ、行けーライラ!って、そんな風に読める年頃に。

「短剣」は、私たちが暮らしている世界。
お父さんは行方不明、お母さんは病気。さらにお父さんの失踪に何かウラがあって、正体不明の追っ手だかなんだかから、単身お母さんを守って戦わなくてはならない、ライラと同い年の少年ウィル。
追い詰められて、逃げ込んだ先で彼はライラと出会います。
これぞまさにBoy Meets Girl。
そうして、ライラと一緒に世界の命運に関わる冒険に出ることになる。

「望遠鏡」は、いくつもの世界を行き来しながら、圧巻のフィナーレに突入!
書きませんよ。何も書きません。
ただ、読んで驚いて、圧倒されて欲しいのです。
ライラやウィルたちの世界の仕組み、死ぬということ、大人になるということ。
そうして、一番最初の「羅針盤」にもう一度戻って、ライラの変化にもまた驚くべきなのです。
この怒涛の切なさに浸りきりつつ、ライラの、その真摯な正さに圧倒されて欲しいのです。
何故ライラだったのか。何故ライラじゃなくてはいけなかったのか、それが実感できると思うのです。

これは世界を救ったりするお話です。
でも、登場人物たちは、そんな思い上がったことを思って、戦うわけではありません。
ライラは、いつだって顔の見える大切な人のために一生懸命だったし、ウィルや、それ以外の沢山のキャラクターたちは、そんなライラを支えたいとか、助けたいとか、守りたいたとか、そういう想いに突き動かされて戦います。
世界を救ったりするのは、あくまでついでの副産物なんですよね。
それでいいんじゃないかな、とか思います。

さて、映画化です。
楽しみなようで、すごく心配でもあるのです。
ライラを演れる子役などいるのか。
会ったすべての人たちに、この子のためになんでもしてあげたい!と思わせることが出来る、それを説得力を持って演じることの出来る子役が。
まあ、ハリウッドにはとんでもない子役が突然現れたりするけどね~
「LEON」のナタリー・ポートマンとか衝撃だった。なんだ、あの可愛い生き物は!みたいな。(「インタビューウィズヴァンパイア」のキルスティン・ダンストも)
一応楽しみにしておこうかな。
字幕が戸田奈津子じゃないといいな…

飛 浩隆
グラン・ヴァカンス―廃園の天使〈1〉
仮想空間に作られた仮想リゾート数値海岸のひとつ、数値海岸の一区画、「夏の区界」。
そこは、もう現実世界からのゲストが絶え、その区界に住むAIたちだけで1000年の年月を過ごしていた。
そんなある日、数値海岸の補修係を一手に担っていた「蜘蛛」たちが暴走、「夏の区界」を破壊し始める。
その徹底的な破壊から命からがら逃れたAIたちは、力を合わせてその「蜘蛛」たちの破壊に立ち向かうが…

読む順番は逆になってしまいましたが、シリーズものの第一作!
案外スムーズに入手出来まして、案外スムーズに読むことが出来ました。
第二作を先に読んでしまったのですが、そのお影である程度「数値海岸」とはなんぞや、ということが分かっていることもあって、すぐに「数値海岸」の中に没頭することが出来ました。怪我の功名。えへ。

とにかく。
痛い。
なんだかねー、本当に痛いのですよ、本当に。
この「夏の区界」と言うのは、地中海辺りをモチーフにした田舎町の設定で、その町に似合いな健康で明るい住人の住むところ…という感じなのですが、一皮剥くと大変な区界なわけですよ。
変態さん御用達…の区界なんですよ、ええ。
だもんで、ここに住むAIの皆さんは、かなり辛い過去を背負っているわけで、というか、この区界全体がもう虐待の被害者たちの住処になっていまして、こう、なんと言うか、人間ですみません、とか言いたくなる感じなわけですよ。
だからこそ、ここが選ばれてしまったわけですが、それは、もう読むしかないと言うかなんと言うか。

登場人物たちはみんな魅力的です。
天才少年ジュールも、妖精的な少女ジュリー、知的でクールなジョゼ、男前で最強のアンヌ、ひたすらキュートな老三姉妹、ドナ、アナ、ルナ…他。
基本的に、本当にみんなひどい目に遭うので、読むのにはかなり覚悟がいる一冊になっております。
ワケアリだけど、そんなの知ったことか的な…。
しかも、これって続き物の一冊目じゃないですか。
だから、彼らはひどい目に遭うだけで、救いはまだなんですよ。頼むから早く助けてーーーーー!!という感じなんですよ。

そんなワケで、ものすごく架空に手で触れているような感覚を覚える一冊です。
そう、私が本を読み進めていけば、この人たちを助けられるんだわ!と言う感じですよ。
可哀想な場面で本を置いてしまったら、登場人物は可哀想なままじゃないですか。次のページまで読んでおけば、事態が変わるじゃないですか。なんか、何言ってるのか分からないけど、そんな感じです。
ところが、本を読み進めて、彼らを助けたいところなのですが、壮絶に可哀想なところでこの物語は中断しています。
早く続き書いて、飛先生!
あとがきでのろけ話をしてる場合じゃないですよ!