ぴーなっつのブログ
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高畑勲展〜日本のアニメーションを作った男〜




2025年9月
〜麻布台ヒルズ〜

⚠ネタバレ満載です⚠

高畑監督の生誕90周年と終戦80年という大きな節目に合わせて開催された『高畑勲展』。
1度見ただけで辛くて目を背けていたあの名作と向き合わなくてはいけない気がして会場に出向いた。

会場内は一切の撮影が禁止。私は全ての荷物を預けて音声ガイダンスをつけてみた。今回の展示の内容を、個人的な感想と共に記録に残しておこうと思う。

【太陽の王子ホルスの大冒険】
高畑監督の初監督作品。初見だがひと目で監督の作品とわかる。ショートムービーの中の女の子はハイジにそっくり。高畑監督はこの制作で宮崎駿監督との運命的な出会いを果たす。

【(幻の)長くつ下のピッピ】
これも知らなかった、と思ったらそれもそのはず。原作は有名なスウェーデンの児童書で監督が当時アニメ化しようと準備を進めていたが、原作者の許諾が得られず企画が頓挫したそうだ。イメージボードやキャラクターデザインに字コンテが展示されていた。あぁ、なんて勿体ない!!

【パンダコパンダ】
これは娘が生まれてから知った映画。公開された1972年は日本に初めてパンダが来日した年。主人公ミミ子は【(幻の)長くつ下のピッピ】の形を変えて生まれた女の子。そしてミミ子と一緒に暮らすこの親子のパンダがのちのトトロの原型と言われている。

【アルプスの少女ハイジ】
物語の舞台になっている19世紀スイスの生活空間を描き出すため、TVアニメとしては初の海外ロケが決行されたのは有名な話。膨大な資料の中にはヤギの生態やチーズ作りに関するメモまでもが展示されていた。海外ロケなくしてあの作品は生まれなかったと高畑監督は断言されたそう。かの有名なとろけるチーズをのせたパンのセル画には感動!

【母をたずねて三千里】
有名なのでもちろん知っているが、残念ながらあまり見なかった作品。それでもセル画や絵コンテは見ているだけでも惹きつけられる。高畑アニメーションの確立を感じた。

【赤毛のアン】
モンゴメリの原作を読み込み、それを正確な時間軸の中に配置し直した図表が細かく几帳面な字でノートにびっしりと書かれていた。アンが何歳の時、何月頃、何が起こったかがひと目で分かるように書いてあった。私は赤毛のアンの原作もDVDも持っているので内容は全て記憶している。その図を見ただけで、頭の中でパズルがきれいにはまっていくような不思議な感動を味わえた。

【じゃりン子チエ】
これは知っているが見たことがない作品。下町情緒溢れるコミックが原作ということで、なんだかほっこりさせられて緊張がほぐれた。ここで急に力が抜けてふり返った瞬間……

【火垂るの墓】
油断していた。ガラリと雰囲気が変わったブースには、壁に大きく描かれた清太と節子がこちらを真っ直ぐ見ていて少し胸がドキドキした。でも順番では反対側にもうひと作品あったので、気持ちを落ち着かせるためにもそちらを先に鑑賞する事に。

【セロ弾きのゴーシュ】
これは小学生の時、学校行事として見た映画だった。なんて懐かしいんだろう。宮沢賢治の原作では物語の舞台は特定されていないが、高畑監督は宮沢賢治が生きた日本の美しい田園風景を設定した。

もう一度【火垂るの墓】
覚悟を決めて向き合おう。高畑監督が大切に保管していた7冊の制作ノートの至る所に《F》の文字が記されていた。《F》とはフランス語で『ファントム(幽霊)』。主人公清太の幽霊のことだ。(どうしてフランス語の頭文字なのかと思ったら、高畑監督は東京大学仏文学科卒という経歴だった)清太は劇中、幽霊として再登場してラストシーンで観客を真っ直ぐと見据える。清太が現代に伝えたかったこと。高畑監督の狙いは、清太に現代の子供を重ね合わせて、未来に起こるかもしれない戦争に対する想像力を養う物語に仕立て直すことだった。これは反戦映画ではないと言い切った高畑監督の信念に鳥肌が立った。

【おもひでぽろぽろ】
優しくノスタルジックな長編映画。キャッチコピーの『私はワタシと旅に出る』が印象的だった。田舎のない私にとっては憧れの世界観だった。

【平成狸合戦ぽんぽこ】
自然の中で暮らしていた狸たちが自然破壊によってエサ場が少なくなり、自分たちを守るために『ばけがく』で人間たちに対抗しようと立ち上がる物語。これってまさに今トップニュースになっている熊問題そのもの。高畑監督は予知能力もお持ちだったのだろうか。

【ホーホケキョとなりの山田くん】
ほんわかタッチのショートムービーに癒されてしまった。このPCによる彩色で手描きのスケッチを表現するという技法は次の大作へと繋がる。

【かぐや姫の物語】
高畑監督にとって最後の作品。日本最古といわれる物語文学『竹取物語』を企画から完成まで8年の歳月をかけて映画化。原作に忠実な長編映画として制作された。

かぐや姫が月で犯した罪とは?
地上で償った罰とは?
そして何故許されたのか?
長い夢を見たような感覚になる映画だった。高畑監督が命をかけて制作されたのだと感じた。他の人には絶対に作れない。

そして会場の出口では、優しく微笑む高畑監督の大きな写真が来場者を見送ってくれた。その写真の下にはショーケースが置かれ、中には監督が愛用されていた3つのストップウォッチが展示されていた。
まるで高畑監督の温もりが伝わってくるようなそのストップウォッチはこれからも永遠に止まったまま。

こうして高畑監督の魂に触れようとした3時間の旅は終わった。

『そこに光が降りてくる 青木野枝/三嶋りつ惠』展 

2025年2月 


 『そこに光が降りてくる 青木野枝/三嶋りつ惠』展 


 〜東京都庭園美術館〜 


 大好きな美術館で素敵な展覧会を見ることができた。 



アールデコ建築で知られる旧朝香宮邸は、重要文化財に指定された建物そのものと、美しい庭園だけでも訪れるに値する。



 今回は現代アートで活躍されている2人の作家が、館内にそれぞれの作品を配置し、アールデコの装飾空間を照らすという企画。 

 入場するないなや、フランスの工芸家ラリックがデザインしたガラスレリーフがお出迎え。ガラス好きにはもうここだけで心を鷲掴みにされてしまう。



 作品はそれぞれの空間ごとにテーマを持ち、見る側はその光を追いかける。





青木野枝さんは鉄。 

三嶋りつ惠さんはガラス。















全く異なる素材でありながら、鉄とガラスはどちらも創作に『火』を使う。 

なにもかもが神秘的な融合だった。

 威厳と品格が漂うこの建物が、まるで飾られる作品を選んでいるかのよう。 







建築とアートの交渉が見事に成功したかのような素晴らしい展覧会だった。芸術音痴な私でも、思わず時間を忘れてしまうほどに。 






 

『私のガラスは無色透明です。そして周りの光や色をとらえて解き放つのです。〜三嶋りつ惠〜』 



 『鉄は透明な金属。そしていつも内部に透明な光をもっている。〜青木野枝〜』 


#東京都庭園美術館 

#都会のオアシス 

#美術館の佇まいが好き 

#とにかくガラスが好きすぎる 

#光の海を散歩する 

#カッコいい建築物 

#照明がすべて素敵でうっとり 

#使いかけの石鹸を積み上げた作品の香り#庭園には梅が咲き始めていた



滞在期間すべて雨予報!どうなる?沖縄旅行記⑦

2024年11月


 OKINAWA旅行記⑦ 

 【BOAT TRIP】


 3日目の朝は早朝5時起き。


 今日は16年ぶりに大切な場所に向かう特別な日。
空には夜の深い碧色から少しずつ紫色のグラデーションが広がり、朝色に少しずつ変化するのを見守りながら、高鳴る気持ちを抑えきれなかった。 




 今回の宿泊プランは朝食付きだったが、この日は朝7時にはホテルを出発しなくてはならないので、レストランで朝食を取ることができなかった。ホテルに相談してみると『朝食テイクアウト』というサービスを案内してくれた。60 種以上をラインアップした朝食ブッフェから、自分自身で専用ボックスに好きな料理を取り入れて、お部屋やビーチ、プールサイドで食べることの出来るありがたいサービスだった。このランチBOXを持って『とまりん』で朝食を取ることにした。 



「とまりん」は那覇にある、本島と離島を結ぶ船舶が発着する泊港にある旅客ターミナルビル。そこから朝9時出発の『フェリー座間味』という大型フェリーに乗船し、片道1時間半の船の旅が始まろうとしていた。『フェリー座間味』の他に『クイーン座間味』という高速船もあり、それに乗れれば約50分で到着するのだが、ちょうどこの時期エンジントラブルで運休になっていた。この便を逃したら現地に滞在する時間はなくなってしまう。
飛行機同様、絶対に遅刻できなかった。

気合を入れた甲斐があって8時過ぎには無事に『とまりん』に到着したので、港でゆっくり朝食を食べることが出来た。


 今回、行先での滞在時間はわすが5時間。
食事を取る時間などもちろんない。取るつもりもない。なのでここでの朝食のあとは夕飯まで食べる事が出来ないので、しっかり腹ごしらえをした。
車の揺れや移動で、ランチBOXの中は想像以上にシェイクされていたが、美味しいもの同士が混ざれば美味しいのだ。
これでいいのだ。明日は同じレストランで出来たての朝食を食べられるのだから、アウトドアバージョンを存分に味わっておこう。
冷めてしまったけど、coffeeもテイクアウトできたので本当にありがたかった。どんな時でもcoffeeを飲まないと1日が始められない。 

 無事にフェリーに乗り込み、ホッと胸を撫で下ろし甲板に出てみると、船の玄関口にはまたしても大きな大きな虹が2重に架かっていた。沖縄の空に『いってらっしゃい』と言ってもらえているような気がした。



 旅行好きな家の子な娘は、マイカー、電車、高速バス、新幹線、飛行機とひと通りの交通手段を体験してきたが、船の旅は初めてだった。船は時間がかかるけれど、渋滞がない。
穏やかな揺れや波の振動、海の色のグラデーション、波に反射する太陽の光、波の音、潮風の音やゆらめきなどを五感で感じることができる。沖縄の海を滑る船の旅は、ご褒美を焦らされるようなわくわくする時間だった。









 もうすぐ。

 もうすぐ。 


懐かしいあの島へ。 

夢にまでみたあの海へ。


聖地『阿嘉島』へ。




つづく 


#今年はたくさん早起きしました

#早朝3時4時起き当たり前 

#ランチBOXのサービスは本当に感謝 

#やっぱり最高のホテルです 

#船の旅はロマンチック 

#フェリー座間味で1時間半 

#クイーン座間味だと50分 

#はじめてのフェリー座間味 

#広くて涼しくて快適でした 

#いよいよ慶良間諸島へ



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