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【最高の仲間と戦ったLAST GAME】

2024年10月

激しく窓に打ちつける雨音で目覚めた嵐の朝。窓の外には厚い雨雲と眩しい朝焼けが重なる不思議な空が広がっていた。

この日は小学生バレーボール県大会1日目。6年生の娘にとって、大事な大事な試合の朝だった。


 今年の7月に夏季リーグで初優勝した際に行われた祝賀会で『お前たちの次の目標は?』という監督の問いかけに全員一致で『県大会出場〜‼️』と自信に溢れた満面の笑みで誓った子供達。県大会に出場するには、9月のJA杯で勝ち抜かなければならず、そしてそれは現実となった。

県大会は2日間に渡るトーナメント戦。

当日は、あまりの大舞台に子供達はかつてないほどガチガチに緊張していた。


 案の定1試合目は表情も動きも固く、いつものプレーがなかなか見られず、1セット目は簡単に取られてしまった。応援席にも子供達の緊張が苦しいほど伝わってきた。そんな中で審判に不本意なジャッジを受けたり、首を傾げるようなラインズの判定に悔しさや憤りが込み上げ、逆にそれがバネになり自分達の本来のバレーが戻ってきて2セット目は劣勢からの逆転勝ち。 延長戦では1セット目を取り返すかのように、キャプテンの連続サービスエース、息の合ったブロック、そして強烈なスパイクで見事に勝利を勝ち取った。

そのままの勢いで2試合目に突入。これに勝てば県大会2日目に出場できるのだ。その先には関東大会という誰も経験したことのないとてつもない大舞台が待っている。

決して強豪チームではないけれど、このメンバーでならどこまでもいけるような気がした。 


しかし県大会はそんなに甘くはなかった。 残念ながら2試合目はストレートで負けてしまった。


今まで頑張ってきた実力を全て出し切ったのに。

キャプテンのサーブはとまらないほど決まったのに。 

スパイクを打つエースの背中には羽が見えたのに。


負けてしまった。

これで終わり。 

ゲームセット。


 会場中に響く相手チームの歓喜の声がどこか遠くから聞こえてくるような気がした。目の前には溢れる涙を堪えることのできない誇り高き選手達が並んでいた。

今まで応援してくれてありがとうございましたと、最後の敬礼をするために。


いつのまにか空は晴れ渡っていた。

試合中、体育館に差し込む強い日差しを遮断するために閉じられていた分厚いカーテンが大きく揺れて、夕陽が子供達のその背中を優しく照らした。

そのほんの数秒の出来事はスローモーションに見えて、まるで映画のワンシーンのようだった。


 お礼を言うのは我々大人の方だよ。どれほど言葉を並べても伝えきれない感動を何度も味あわせてもらった。あなた達が戦ってる姿はあまりにも眩しすぎて、感動が追いつかなかったよ。ここまで連れてきてくれて本当にありがとう。 

胸を締め付けられたのは、負けてしまった事じゃなく、このメンバーでの試合を応援するのが終わってしまったから。 


時間がとまってしまえばいい。

いつまでもいつまでもこの子達を応援したかった。 


 全てが終わり外に出ると、思わずため息が出てしまいそなほど綺麗な夕焼け空が広がっていた。嵐で一掃されたその透き通った空にはふた筋の光が直線を作っていた。戦いを終えた6年生と、これから戦いが始まる新チームが別々に進む道標に思えた。  



解散場所のいつもの公園に帰ってくると、子供達は試合の疲れなど微塵も見せず、夜の公園で遊び始めた。滑り台にブランコに鬼ごっこ。その笑顔はあまりにも無邪気で、長く背負ってきたプレッシャーから解放された子供達が、普通の小学生に戻った瞬間だった。


長い間、本当によく頑張ったね。 

赤ちゃんのように気が済むまで眠らせてあげる。 

卒団までのカウントダウンを大切に過ごしてね。 





感動をありがとう 

本当にお疲れさま


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