「マリア」は
欧米の名前として
よく聞く名前ですよね
イタリア語、ポルトガル語、スペイン語などでも
「マリーア」
変形でも
「マリエ」「メアリー」「マリー」
「マリャ」「モイラ」「マライア」「マリカ」
など
原型の想像がつくような名前が多いです
そして、マリアと言えば
聖母マリア
「マリア」は
「ミリアム」という名前の
アラム語読みに由来します
アラム語というのは
シリアやメソポタミア地方で
紀元前1000年ころ~600年ころまでに
話されているようになった言語です
もともとはシリアやその周辺に住む
アラム人の言語で
7世紀にアラビア語におされて
衰退しました
20世紀にはいると
使われる範囲は縮小したものの
現在もレバノンなどで話されているようです
アフロ・アジア語族セム語族の言語で
フェニキア語やヘブライ語などの
北西セム語派に属し
アラマイ語とも呼ばれるそうです
YouTube「ひとり聖書あそび」でも話してます👇
「ミリアム」はヘブライ語で
「海の滴」「苦い水」
といった意味を持ちます
海の水の味を
苦いと表現したのでしょう
この「ミリアム」という名前
旧約聖書の出エジプト記に出てくる
モーセのお姉さんの名前です
当時、エジプトに隷属していたヘブライ人は
男の子が生まれると
殺すよう命じられていました
モーセのお母さんは
生まれたモーセを殺すに忍びなく
葦で作った小舟にのせて
川に流します
川を流れている赤ん坊を
エジプト王妃が見つけて
ヘブライ人と知りながら
あまりの可愛いさに
我が子として育てることにします
モーセの姉ミリアムは
弟を乗せた小舟の行く末を見届け
エジプト王妃に
赤ん坊の乳母として適任だと
自分たちの母親を推薦します
賢い子ですねえ~
こうしてモーセは
エジプトの王子として
育っていきます
モーセがヘブライ人を率いて
エジプトを脱出するとき
もちろんミリアムも同行し
歌い踊りながら
女たちの先導をした場面もあります
モーセの兄弟であるならば
レビ族の血をひいていたはずなので
巫女的な役割を
担っていたと考えられています
後に出てくるイエスの母の名も
マリア
イエスの妻であったかもと言われている
マグダラのマリアも
マリア
といった符号から
「マリア」という名前は
祭司儀礼などに関わる者の
称号だった
という説もあります
また、聖母マリアは
救世主であるキリストへつながるための
希望、導きの星、であるとして
「海の星の聖母」=「ステラ・マリスの聖母」
という古い呼び名も持っています
これはキリスト教の神学者・聖職者である
聖ヒエロニムスが
「海の滴」という意味の「ミリアム」を
「海の星」と訳して
その後の写本でも
そのままステラ・マリス(Stilla Maris)が
引き継がれ、広まったためと言われています
「マリア」は「海」としての意味をもち
彼女の運命は
希望である「星」に象徴されています
キリスト教を信仰していない異邦人にとって
その世界は「海の向こう」にたとえられ
「海の星」のマリアの呼び名は
政治的、宗教的な
境界線を意味してもいました
海に関わるこの呼び名のために
聖母マリアは
海を旅する人や海で生計を立てる人たちの導き手として
そして、神と人間を仲裁する者
と信じられるようになりました
実際に海上の天測航法で使われてきた
こぐま座α星である北極星(ポラリス)が
マリス・ステラ=海の星
とも呼ばれているそうです
こぐま座は
北斗七星と形が似ていますが
北斗七星より小さく
向きも対称になっています
北斗七星は
おおぐま座の
腰からしっぽ部分にあたります
こういったことから
マリアは星に
イエスは太陽に
象徴されるようになりました
聖書のなかにある
星の冠をかぶった女の記述や
絵画などで星や月とともに
描かれている女性は
マリアであることを
表しています
タロットカードの中にも
ありますね