私は知っているのです | 失敗だらけの発達障害KIDS子育てブログ~

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UEP代表であり、PDD(広汎性発達障害)の長男とLD(読字・書字障害)の次男を育てるmiwaママの子育てブログです。うちの子って育て難い!って思っているママや子育てで自己嫌悪に陥ってる方、こんな奴も居るんだって元気になって頂ければ嬉しいです。

実は…
私は知っているのです。

この事は 書くつもりはなかったのだけど。

でも
私が知っている事を
知ってもらわないといけないと
今 とても強く感じているので 書くことにしました。

私は チュン君に

読めなくてもいい。
書けなくてもいい。
あなたは とっても素晴らしい。

と言い続けています。

苦手な事は工夫すればいいんだよ。

まったく問題ないんだよって。

でも
親切な方が

そんなんじゃ ダメよ。
なんとかして 字を書けるようにしなければ 将来大変よ!
漢字だって頑張れば 少しずつでも覚えられるはず。
一つでも覚えられれば 自信につながるのよ。

と言ってくれます。

そうだろうと思う。

でも 私は そうじゃないと知っているのです。

本が大好きなチュンは
読みたいに決まっている。

プライド高い チュン君は
皆と同じように書きたいに決まっている。

だから 漢字の勉強も
音読の稽古も 言われれば 一生懸命だ。

そして 何時間も 何日もかけて 
練習した たくさんの漢字の中から
一つだけ覚えた漢字を勲章にする。

何とも 涙ぐましく 
何とも 切ないお話だ。

でもね…私は知っているんです。

彼にとって 本当に大切な事は何なのかを。
私達が 本当に教えなければならないものが 何なのかを。

そして
その わずかな漢字は 将来 たいした役にも立たない事を。

なぜならば…
チュン君のパパは 完全なディスレクシア(読み書き障害)だった。

もちろん 私は ディスレクシアなんて 知らなかったし
当時の日本では 誰も知らなかった。

だから 私も 
この人 今どき 国宝ものだわ~きらきら
と 思っていた。

そして 彼の親も兄弟も 学校の先生も
小さい頃から 
バカだ。バカだ。ダメな奴だ。
と言って彼を育ててきた。

読み書きが出来ない限りは
ダメな奴なんだと彼は思って生きてきた。

だから 何をしても どうせダメだと思ってた。

読み書き出来ないと 将来生きていけないよって
たくさん たくさん 言われてきた。

だから 将来の夢も希望も持てなかった。

彼の ディスレクシアは 
今のチュン君より ちょっとだけ 簡単な漢字をいくつか知っている程度だった。

でも…
そのちょっとの漢字の為に
きっと たくさん たくさん 時間をかけて
一生懸命 勉強したのだろうと思う。

字が書けない限り 僕はバカなんだと
字さえ書ければ バカじゃなくなると思って。

彼には たくさんの驚くべき才能があったのに
字が書けない限りは ダメな奴なんだと
字の練習をすれば する程
思い込む事になってしまった。

教えてくれた人々も
きっと彼の事を心配しての事。

でも それは
字が書けないとダメなんだと言う事を
毎日 毎日 わざわざ 彼に思い込ませていた事になってしまっていたのだ。

それでも
バカじゃなくなる日の為に
自分を責めながらも
小さかった彼は 勉強したのだろう。

そして彼も チュンと同じように 
いくつかの漢字を覚えて
勲章にしたのだろう。

頑張れば 僕はバカじゃなくなるかもしれないっていう
希望の勲章を。

だけど 決して忘れてはいけない。

ディスレクシアは
そもそも 脳の問題なのだ。

覚え方も 学び方も違うのだ。

普通のやり方では 字を覚える事は 限りなく難しい。
特別なプログラムでも 限度がある。

残念ながら 彼の勲章は
それから あまり増える事もなく
やっぱり僕はダメな奴だと改めて思い知る結果を残して 輝きを失った。

そして
時間と労力をかけ、
心を痛めて覚えた
いくつかの漢字は
彼の人生において あまり役に立たなかった。

世の中は 彼の知っている漢字だけで構成されていなかったし、
いくつかの漢字だけでは サポートのない時代、受験に受かる事はない。

教科書だって読めないし テストだって そもそも 問題が読めなかった。

だけどね
彼は立派に生きてきましたよ。

ディスレクシアなんて 知らないから
自他共に認めるバカだったけど

彼はスポーツ万能だった。
だから 高校はスポーツ特待で入学した。

彼は 遊びの天才でもあった。

どんな 些細な事も すっごく楽しい遊びに変えてくれる人だった。
お金がなくても どんな所も テーマパークになった。

そして 看板の字は読めないけど
彼の方向感覚は すごかった。

初めての場所でも 裏道をスイスイ走るから 
渋滞にはまった事はなかった。

字の読めない彼が 電車を乗り継いで
ディズニーランドに連れて行ってくれた。

彼は東京は 初めてだった。

そして 驚く程の記憶力も持っていた。

過去に一度でも通った場所は 細部に至るまで記憶していた。

だから 方向音痴の私が
道に迷って電話して

「迷子になったよぉ! 
丸い穴があいている白い塀があって

茶色と白の犬が顔出してる所にいるから来てよぉ泣く


などと 意味不明な事を八つ当たり気味に言って電話を切っても
うーんと困りながらも
いつも 普通に迎えに来てくれた。

当時はまだ 携帯電話を持ってなかったので
電話を切ったら最後だったのに。

そして 耳が異常に良かった。

彼は 車のギアチェンジの時
クラッチを踏まなかった。

音が変わるから その時に ギアを入れるんだよって笑っていた。

それから 機械に異常に強く
車の故障なんて 音を聞いただけで 
どこがどう悪いのか分かったし あっという間に修理した。
いつも プロの修理屋さんが 凄いって褒めていた。

そして 計算は 電卓を叩くよりも早かった。

彼の驚くべき才能は まだまだある。

書ききれない程。

そんなに たくさんの勲章をぶら下げているのに
彼はちっとも気付いてなかった。

そんなに たくさんの勲章を持って生まれてきたのに
誰も勲章と教えなかった。

それどころか
そんな勲章持っていても 字が書けないと意味がないって事を
字を教えながら 丁寧に根気強く 彼に教えてくれた事になっていた。

だから
彼は 何が出来ても 
どんなに凄いと言われても
自分はダメだと思っていた。

だって 字が書けないから。
だって 字が読めないから。

だけど 私の日常は 殆ど 彼に助けられていた。


読み書きができない彼に。

たしかに
困難な事は 時々 あったけど
バカにされて 悔しい事もあったけど
たいした問題ではなかった。

そして…

私は 何とか 彼に自信を持って欲しいと思った。

だけど 長い間 そうやって 埋め込まれた考えを
消す事ができなかった。

そうして 家族が増えて 責任が重くなる毎に
彼は 埋め込まれた その考えと思い込みに潰れていってしまった。

そして 私も疲れてしまった。

今 ディスレクシアと言うものを知る事で
改めて とても 残念に思う。

彼にはとても優れた才能がいっぱいあったのに。

読み書きができなくても
それをカバーして余りある程のたくさんの才能を
神様から与えられて生まれてきたのに。

それを
たくさんの大人達が見事に
無駄なものに変えてしまったのだ。

その当時は 誰も知らなかった。
ディスレクシアと言うものを。

だけど 今は知っている。

少なくとも チュンの周りには
知っている大人が たくさんいる。

そして 私は チュンの1つの未来の形を 身に沁みて知っている。

別れてしまった あの人が教えてくれていた。

だからこそ 本当に大切な事は何なのか
私は 声を大にして言いたい。

本当に教えるべき事は何なのか 声を枯らして訴えたい。

字が読めなくっても
字が書けなくっても
こうやれば 大丈夫だって事
これを使えば 問題ないって事をたくさん たくさん教えて欲しい。

誰かに丁寧に 道を尋ねる方法や
読めない書けないをサポートする為の機器の使い方や工夫の仕方を。

そして 
字なんか書けなくっても
字なんか読めなくっても
たくさんの 才能がある事を教えて欲しいのです。

そして どうぞ
問題ないよって言ってあげて欲しいのです。
そんな事 たいした問題じゃないって。

あなたは あなたのままで 素晴らしいと。

あの人が 1つの未来を見せてくれた。
だから 私は 何としても もう1つの未来をチュン君に与えなければなりません。

字が読めなくても
字が書けなくても
決して半人前と言うわけではない。
そんな事で 自分を計る事なんてできない。
だから 自信を持って 輝く未来に向かって欲しい。

そして いつか あの人に 
チュン君が
もう1つの未来を見せてあげて欲しいと思うのです。

それは…
何もしてあげられなかった私からの 最大の感謝の印であり、
彼が その後生きていく為の 自信という大きな勲章となるでしょうから…

私は 知っているのです。
知っているからこそ 言えるのです。



※私は字を教えるなと言っているのではありません。
 それよりも 大切な事がある事を知ってほしい。

そして 彼らに教える立場の方は その重大な責任を感じて
しっかりと勉強して きちんとしたプログラムに基づいて 教えていただきたいと願います。