『TRICK×LOGIC』 チュンソフト | ぱぶろの読書感想文

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読了したミステリ小説の感想文をアップしていきます。
たま~に他の事も書くかも。。

さて大晦日。掃除の合間に本と戯れてます。
なんとなく冬は読書が捗る季節と感じます。静かな雰囲気がいいのカモ。

今回紹介するのは本ではなく、PSPで発売された犯人当てゲームです。


TRICK×LOGIC

推理ADVゲームと言うと、ノベル形式でテキストを読み、
所々で選択肢に依って物語が分岐するタイプが多いと思います。
しかし、このTRICK×LOGIC(トリックロジック)
犯人当て小説をそのままビデオゲームとして遊ぶモノです。

簡単に流れを説明しますと、
問題編として小説の短~中編程度の長さの文章を読む
⇒・その中から事件の謎に関わりを持っていそうなキーワードを探す
 ⇒・それ等を組み合わせて謎を解き明かす
  (例:『頭部を殴られた跡がある』×『犯行現場には本棚がある』⇒『凶器は本棚にある本』)
  ⇒・用意された調書を埋め、解答編へと進み、答え合わせをする
    (例:『犯人が行った工作は?』⇒『アリバイトリック』)

文章で説明するのは少々難しいのですが、
練習問題もあるのでゲームシステムが理解出来ないという事はまずありません。

タイトルにある通り論理的に事件を解明するのが売りで、
年季の入ったミステリファンは勿論、問題が解けない場合はヒントを見る事も出来るので
ミステリに慣れていない方でも楽しめると思います。

このゲームのもう1つの魅力は、優秀なアンソロジーである事です。
Season1・2の2作で完成するソフトなのですが、
練習問題・ゲームクリア特典を含めた12の問題が遊べます。
とはいえ、どちらか片方のソフトでも問題なく楽しめますし、
PSストアではお手頃な価格でDL版の販売もされています。
Sesason2に至っては問題1つ単位で購入できるので、とてもお手軽です。

それでは、収録作品と豪華な出題者を紹介します。

○Season1
 『指さす死体』         チュンソフトさん
 『盗まれたフィギュア』    我孫子武丸さん
 『明かりの消えた部屋で』  竹本健治さん
 『雪降る女子寮にて』     麻耶雄嵩 さん
 『切断された五つの首』   大山誠一郎さん

○Season2
 『亡霊ハムレット』       黒田研二さん
 『ブラッディ・マリーの謎』  竹本健治さん
 『ライフリング マーダー』   麻耶雄嵩 さん
 『目の壁の密室』       大山誠一郎さん
 『Yの標的』           綾辻行人さん・有栖川有栖 さん
 『完全無欠のアリバイ』   我孫子武丸さん
 『暴走ジュリエット』      黒田研二さん

と、ミステリ界で名を轟かせる著名な方々が参加しています。
ゲームを遊んで気に入った話があれば、その作者の方の著書を読んでみる。
といった水先案内としてもオススメです。

また、おそらくこれ等の作品は他では読む事が出来ないので
好きな作家さんが居るのであれば、見逃す手はありません。

かくいう私は、日本のミステリを読みたいと思ってはいたものの、
どこから手を出せば良いのかが判らずしり込みしていた時にこのゲームを知りました。
プレイした結果、麻耶雄嵩 さんに興味を持ったのがミステリファンへの第一歩となった
非常に思い入れの強い作品です。

サクサク解くのもよし、何日もかけてじっくり解くのもよし!
ミステリに少しでも興味があれば是非遊んでみてください。









ネタバレ感想





ネットでの評判では、『切断された五つの首』が人気のようですね。
私のお気に入りは断然『雪降る女子寮にて』
今、麻耶さんの作品を読んでいるのはこの“問題”があったからこそです。

犯人当てに於いて、重要だと考えるポイントが幾つかあります。

①読者が論理的に犯人を特定出来る
 これは当然と言えばそうなんですが、文章中の手掛かりを基に組み立てた論理が犯人を示し、
 かつ読者が“正解出来る”のが大事です。
 難易度が高ければ良いのではなく、熟練者だけを相手にしている訳ではない
 “ゲーム”という媒体に於いては、正解の爽快感をプレイヤーに味わわせる事が一番だと思います。
 難易度の匙加減が作者の腕の見せ所でしょう。

②読者が正解に納得出来る
 解答を読んで、“それはねーよ”と思われる作品はダメです。
 ①と被りますが、矛盾点や論理の飛躍が無ければ大方問題なく、
 正解出来なかった読者も“なるほど”と思えるかどうかが重要でしょう。

③驚愕の真実
 これが無ければダメという事ではなく、意外性のある解答だと尚良し!という具合です。
 
奇を衒うのではなく、推理中に“こういう事だったのか!”閃く瞬間がある、
 又は答えが解らずに解答を読んだ際に“それは思い付けなかった!”
 悔しさを噛み締める事が出来る結末があると最高です。


麻耶さんが出題した2問は何れも難易度としては低いと思います。
しかし、上記の①~③まで全ての要素が盛り込まれており
初心者から上級者まで楽しめるように工夫され、
「ゲームに提供する犯人当て小説とはどう在るべきか」を体現していると思います。
麻耶さんは“書くのが上手”なんだと印象付けてくれます。


内容に目を移すと、ダイイング・メッセージの扱い方には驚くばかりです。
一般的な、「メッセージが意味するモノ」を考えるのでは無く、
「何故メッセージが無いのか」が焦点になる逆転の発想は見事です。

その上真相の解明を探偵の独白に頼らず、
手掛かりを追って行くと論理的に解決出来るという徹底振りは圧巻!
雪降る女子寮にて』は間違い無く最も完成度の高い“問題”でしょう。

こんな寒い季節にはまた読み返したくなる素敵な作品です。
単発なのにいいキャラしてるちえみ先輩にも会いたくなります(笑)