インカ帝国と安全保障 | やっくんの事件簿ブログ

やっくんの事件簿ブログ

事件、政治、歴史、などについて意外に真面目に書いてます。


マチュピチュ
※世界遺産ペルーのマチュピチュ

今週の国会で党首討論が行われ、安保法制やそれに関する激しいやり取りがありました。

民主党岡田代表、維新の党松野代表、そして共産党志位委員長。それに対する与党の安倍首相。

野党は集団的自衛権と危険地域に自衛隊派遣には絶対反対の立場ですから、どこまで行っても平行線。維新の党には少し期待していたが少し残念でした。松野さんは日和見なところがあるから、内部分解しなきゃ良いですが。

とにかく安倍首相はこうハッキリ言うべきです。

「軍国主義で力に寄る現状変更を仕掛けている”中国”に対して、どう対応するのか、どう日本の安全保障と国民の財産を守るのか、私のいう安保法制案が気に入らないのであれば、しっかりとした代替え案を提起していただきたい」

現在野党はこの対案の作成に対処しておりますが、まあ、何一つ具体性があり有効な案は出てこないでしょう。民主党は辻本議員が「出さない(出せない)」と言い放っていますし、共産党からも出てこないでしょう。
維新の党は少し弱めたものが出てくるかもしれない。

安全保障を怠った国がどれだけ危険か!


かつてインカ帝国という、今の南アメリカのペルーからボリビア、チリ、アルゼンチン辺りに一大文明大国がありました。

人口は最盛期には1600万人、マチュピチュやナスカの地上絵も有名です。首都のクスコでもみられる巨大な石の建築と精巧な石材加工技術や数々の遺跡など、インカ道路網を含めた高度な統治システムと進化した技術に彩られている。


ナスカ
※ナスカの地上絵 インカ帝国は文字の文化を持っていなかったこともあり、未だに謎の多き遺跡が多い



ところが、それだけの巨大文明国でありながら、いまでは一切の歴史、文化、伝統が失われてしまっています。

インカ帝国では、太陽が崇拝され灌漑と台地栽培によって、農業生産を盛んに行っています。インカの遺跡からは不思議なほど武器が出てきていません。他国を侵略し、奪って拡大する文化ではなく、人と人が繋がり開拓して国が拡がってゆく文化であったことを物語っていると思います。

しかし、16世紀に入り、世は「大航海時代」と呼ばれた西洋先進国による南半球蹂躙の地獄の400年の始まりです(「大航海時代」とは教科書でそうならいましたが、西洋の植付け表現、教科書も昭和20年以降おかしくなった)。

ついに栄華を誇ったインカ帝国にも、スペインの魔の手が及びました。

スペインのフランシスコ・ピサロ一行がやって来ました。

武器を持たないインカの民衆に対して、情け容赦無く銃をぶっ放し、女を強姦し、黄金や貴金属、宝石などの富の略奪を重ねました。

和平を願って交渉にきたアタワルパ王を逮捕し、裸にして辱め、誅殺し、ついにわずか168名と168丁の銃と一門の大砲と27の軍馬、それだけで、人口1600万人の文明大国を文明の痕跡が残らないほどまでに略奪し滅ぼしています。

たった168人の武器を持った荒くれ者によって、1600万人の国の文明も政治体制も、歴史も文化も言語も民族までもが蹂躙されました。

残念ながら、当時のインディオの純血種はこの世から消え去りました。
このことが何を示しているか。

このインカ帝国の武器を持たない文化は、国内的には対立の解決の手段が話し合いにより、決定して行くことになり、民生議会の技術の進歩、人民の平和と豊かな暮らしをもたらします。

インカ帝国
※インカ帝国最後の王アタワルパの死


インカ帝国の消滅は、大切な事を暗示しています。

すなわち、優れた内政統治システムも、平和の享受も、歴史や伝統、文化においても、その世界の中に安住してしまえば、「銃を持った粗暴な異文化外国人」の前には全くの無力だということを証明しています。

インカ帝国の滅亡は軍事力を持っていなかったことが最大の理由です。

実は、スペインがインカ帝国を蹂躙した同じ時期に、日本も危機はありました。

ポルトガル人が種子島に来ました。

しかしこのころの日本は応仁の乱後の混沌とした時期でした。

ポルトガル人の持ってる銃の力を種子島の領主が知るや否や、当時の金額にして5000万円と言われる火縄銃を2丁買いました。

ポルトガル人はこれは儲かるぞ!ってことで、本国で大量の火縄銃を仕入れて再び日本に戻ります。

しかし、種子島の領主は2丁のうちの1丁を分解し、瞬く間に職人に製造させていました。

そして大量生産し、再びポルトガル人が種子島に来た時にはポルトガル製の火縄銃より、数段性能の良い火縄銃が既に大量に出回っていた。

だから、ポルトガル人は日本を植民地化出来なかった。

その数年後にはスペインも日本に入って来ていますが、やはり鉄砲が出回り難しいかった(その後の話は是非エントリー記事の参照をお願いします「秀吉の朝鮮出兵」http://ameblo.jp/pc-ultraman/entry-11878343520.html )。

また、幕末にも黒船来航という危機がありました。

しかし、この際も軍艦を買い取り、各藩が競って製造し、欧米がクリミア戦争でタラタラしてる内に、日本は来航する欧米の軍艦を明治が始まるころには数的には凌ぐほど製造していました。

日本も戦国時代、幕末と動乱期だった事は運が良かったのかも知れません。

しかし、当時の日本人は他国の脅威を身を以て感じ、それに立ち向か得るよう準備し立ち上がり、他国をも凌駕してしまうほど努力しました。

歴史教育(教科書)は、単なる過去の話ではなく、当時の人々が如何に生き、対応したかを示し、未来にも参考にする為の大事な手引き書になっていなければ意味がありません。そのデータが間違っていたり、教える側が理解していなければ、論外です。

現在の日本も、かつてのインカ帝国のように、優れた内政統治システムにより、国内的には大変平和が保たれて豊かな世の中を形成しています。

しかし、当時スペイン帝国のように今、正に周辺国を我が物にしようと新たな中国という脅威が迫っています。

今、日本人は立ち上がり、これに対処しなければ、数十年後には日本の文化も歴史も、伝統も、日本語も大和民族も消えているかもしれません。

過去の危機を乗り越えた日本人。その気になれば、とてつもない力を発揮する日本人。先の大戦の脅威の粘りもそうです。

戦後、日本に対する世界の共通認識は「寝た子を起こすな」だろうと思います。

時代は変わっておりますが、ロシアや中国、北朝鮮、そしてテロ。
世界は群雄割拠の時代に突入しています。

どれだけ正論を唱えようと、一丁の銃口の前では無意味になります。

正論を通そうとするならば、方法は一つ、他国を黙らせる軍事力を持つことなのです。

残念ながら、まだ、地球上では世界を一つにする統治システムは存在していないのです。

あらゆるあの手この手で、日本の”目覚め”を邪魔されているようにも思いますが、既に眠っていられない状態になっているんではないでしょうか。

そして、日本人が日本を守るために、強い武力武装と実力を持つことを辞せずという覚悟を持たなければならないのではないでしょうか。