50歳からでも遅くない|昔の夢を思い出して人生が動き始めた日 | 天使

天使

天使

 

 「いつか、
小さなお花屋さんをやりたい」

 

その文字を見つけたとき、

由美は思わず笑いました。

 

「こんなこと、
書いてたんだ……」

 

50歳の誕生日の夜でした。

 

特別な予定があったわけではありません。

 

仕事から帰って、

スーパーで少しだけ高いケーキを買って、

 

一人でコーヒーを淹れました。

 

子どもたちは、
もう家を出ています。

 

夫は仕事で帰りが遅く、

 

「誕生日おめでとう」

 

というLINEだけが届いていました。

 

別に寂しいわけではありません。

 

家族もいる。

 

仕事もある。

 

生活に困っているわけでもない。

 

でも、

 

50本のろうそくを立てる代わりに、
小さな数字の「50」が乗ったケーキを見ながら、

 

由美はふと思いました。

 

「私って、
これから何するんだろう」

 

今までの人生は、

 

やることがたくさんありました。

 

子どものこと。

 

家のこと。

 

仕事のこと。

 

親のこと。

 

いつも、

 

「今やらなきゃいけないこと」

 

が目の前にありました。

 

それを一つずつこなしているうちに、

いつの間にか50歳になっていました。

 

その夜、

クローゼットの奥を片づけていたときでした。

 

古い段ボール箱の中から、
一冊のノートが出てきました。

 

表紙の端は少し破れていて、

紙も黄色くなっています。

 

開いてみると、

20代の頃の由美が書いたノートでした。

 

欲しいもの。

 

行きたい場所。

 

いつかやってみたいこと。

 

そんなことが、
思いつくままに書いてあります。

 

「北海道を一人で旅行する」

 

「犬を飼う」

 

「海の近くに住む」

 

叶ったものもありました。

 

忘れていたものもありました。

 

そして、

ページの真ん中に、

 

少し大きな文字で、

こう書いてありました。

 

「いつか、
小さなお花屋さんをやりたい」

 

由美は、その文字をしばらく見つめました。

 

そういえば、

花が好きだった。

 

子どもの頃から、

道端に咲いている花を摘んで、

小さな瓶に飾るのが好きでした。

 

学生の頃には、

花屋さんの前を通るたびに、

 

「こういうところで働けたらいいな」

 

と思っていました。

 

でも就職して、

結婚して、

子どもが生まれて。

 

そのうち、

花屋さんのことなんて
考えなくなっていました。

 

ノートを閉じながら、

由美は小さく笑いました。

 

「もう50歳だよ」

 

今さら花屋なんて。

 

経験もない。

 

資格もない。

 

お店を出すお金だってない。

 

若い頃ならともかく、

今から始めてどうするの。

 

そう思いました。

 

その日は、

そこでノートを閉じました。

 

でも翌朝。

 

会社へ向かう途中、

いつも通る花屋さんの前で、

由美は足を止めました。

 

店先には、

黄色いガーベラが並んでいました。

 

朝の光を受けて、

とてもきれいでした。

 

そのとき、

なぜか昨日のノートの言葉が浮かびました。

 

「いつか、
小さなお花屋さんをやりたい」

 

由美はスマートフォンを取り出しました。

 

そして、

少しだけ検索してみました。

 

「フラワーアレンジメント 初心者」

 

すると、

家からそれほど遠くないところに、

週末だけ開かれている教室がありました。

 

月に2回。

 

初心者歓迎。

 

由美はしばらく、

申し込みボタンを見つめていました。

 

そして、

 

「まあ、お店をやるわけじゃないし」

 

と、自分に言い訳をして、

申し込みました。

 

最初の教室の日。

 

緊張しながら、

由美は花ばさみを握りました。

 

バラ。

 

ユーカリ。

 

小さな白い花。

 

先生に教えてもらいながら、

一つずつ花を束ねていきます。

 

気づけば、

2時間があっという間に過ぎていました。

 

帰り道。

 

自分で作った花束を抱えながら、

由美は気づきました。

 

久しぶりに、

 

「早く次もやりたい」

 

と思っていました。

 

そこから、

月に2回だった教室が、

由美にとって大切な時間になりました。

 

少しずつ花の名前を覚えて、

 

色の組み合わせを考えて、

 

友人の誕生日に
小さな花束を作るようになりました。

 

ある日、

その花束を見た友人が言いました。

 

「これ、売ったらいいのに」

 

由美は笑いました。

 

「無理無理。

趣味だから」

 

でも、

その言葉が少しだけ心に残りました。

 

数か月後。

 

地域の小さなイベントで、

ハンドメイド作品を販売する人を募集していました。

 

由美は、

またしばらく迷いました。

 

そして、

小さなテーブル一つだけ借りました。

 

並べたのは、

10個ほどの小さな花束。

 

値段をつけるだけでも、

手が震えました。

 

「誰も買わなかったらどうしよう」

 

ところが、

最初に来たのは、

小さな女の子を連れた女性でした。

 

その女性は、

淡いピンクの花束を手に取って、

 

「かわいいですね」

 

と言いました。

 

そして、

一つ買ってくれました。

 

たった一つ。

 

でも、

お金を受け取った瞬間、

由美は不思議な気持ちになりました。

 

自分が好きで作ったものを、

誰かが喜んで持って帰ってくれる。

 

それが、

とても嬉しかったのです。

 

それから由美は、

月に一度だけ、

小さなイベントに出るようになりました。

 

やがて、

知り合いのお店の一角を借りて、

週末だけ花を置かせてもらうようになりました。

 

大きなお花屋さんではありません。

 

会社も辞めていません。

 

人生が急に変わったわけでもありません。

 

それでも、

由美の日常には、

以前にはなかった時間が増えていました。

 

花を選ぶ時間。

 

誰かのために束ねる時間。

 

「ありがとう」

 

と言ってもらえる時間。

 

そしてある日。

 

小さな店先で花を並べながら、

由美はふと思いました。

 

20代の頃に思い描いていた、

 

「小さなお花屋さん」

 

とは、

少し違うかもしれません。

 

でも、

 

「あれ?」

 

と思いました。

 

「私、
もうやってるんじゃない?」

 

 

由美は一人で笑いました。

 

50歳の誕生日に、

古いノートを開かなかったら。

 

あの日、

花の教室に申し込まなかったら。

 

たぶん、

今もこの景色はありません。

 

人生を変えるって、

何か大きな決断をすることだと思っていました。

 

仕事を辞めるとか。

 

遠くへ引っ越すとか。

 

大きな夢に挑戦するとか。

 

でも、

本当は違うのかもしれません。

 

ちょっと検索してみる。

 

一回だけ参加してみる。

 

昔好きだったものを、

もう一度手に取ってみる。

 

そんな小さなことから、

人生は静かに動き始めるのかもしれません。

 

由美は店先の花を一本持ち上げました。

 

黄色いガーベラでした。

 

50歳の誕生日の翌朝、

足を止めた花屋に咲いていた花と、

同じ花でした。

 

由美は、

その花を小さな瓶に挿しました。

 

そして思いました。

 

夢には、

賞味期限なんてなかったのかもしれません。

 

もし今、

 

「もう遅いかな」

 

「今さら始めてもな」

 

と思っていることがあるなら。

 

大きく始めなくてもいいのかもしれません。

 

今日できる、

ほんの小さな一歩だけ。

 

そこから、

まだ見たことのない景色へ
つながっていくこともあるのだから。

 

※この物語はフィクションです。

 

ここまで読んでくださって、
ありがとうございます^^

 

自由と幸せを届ける
エンジェルセラピストのタカです。

 

僕自身、

何かを始めるのに
「もう遅い」ということって、

実はそれほどないのかもしれないなと思います。

 

昔やりたかったこと。

 

好きだったのに、

いつの間にか忘れてしまったこと。

 

そこには、

今の自分を少し楽しくしてくれるものが
まだ残っているのかもしれません^^

 

もしこの物語が、

今日のあなたに何かひとつでも
残ったら嬉しいです。

 

そして、

 

「今の私に必要なメッセージって、
何だろう」

 

と少しでも感じた方へ。

 

僕のメルマガでは、

天使さんからのメッセージや、

 

自分らしく、

心を少し軽くして生きるためのヒントを
毎日お届けしています。

 

物語を読んで終わるだけではなく、

 

今日の自分に
何かひとつ持ち帰りたいなと思った方は、

 

よかったらこちらから受け取ってくださいね^^

 

▼ メルマガ登録はこちら

 

毎日が楽しくなる天使からのメッセージ