ファーブルトンの話 | ~ 今日もいい天気 ~

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仏菓子職人&パティスリーインストラクターが
『美味しいものを正直に』お話するブログです。

おはようございます!

今日もいい天気ですね!晴れ

 

 

 

ファーブルトン

【Far breton】

 

 

ブルターニュ地方の伝統菓子です。

他のページでも紹介していますがブルターニュは特産の良質な乳製品を使った

〈お料理・お菓子〉

が沢山ありファーブルトンはその代表的なお菓子のひとつです。

 

日本のパティスリーでも見かける事がありますのでご存じの方もいるかと思いますが、そんな方には

「あらためて」

初めて知る方には

「そんな感じなんだぁ」

と思っていただけるようお話してみます。

ほっこり

※ブルターニュの話をしたページです。

👇よかったら。

ガトー ブルトンの話【ブルターニュの地方菓子】

 

 

牛しっぽ牛あたま チューリップ紫 チューリップオレンジ チューリップピンク 虹

 

ブルターニュ【Bretagne】

 

ブルターニュ旗

ブルターニュは海に囲まれた地形で、潮風に吹かれた牧草はミネラル豊富な飼料になります。

この牧草のお陰もあり美味しい乳製品になると言われています。牛

放牧されている乳牛から絞られる牛乳は特に良質で、地産のチーズを使った

〈そば粉のクレープ(ガレット)〉

有塩バターを使った

〈焼き菓子〉

【ガトーブルトン】

【ガレットブルトンヌ】

【パレブルトン】

などはブルターニュならではの味わいです。ほっこり

その中で比較的日本でも多く紹介されているお菓子が

ファーブルトンだと思います。

晴れ

イルカ

 

ファーブルトン【Far breton】

ファー【Far】

お菓子用語の中ではザックリ言うと

〈プラムの入ったお菓子〉

の事を指します。

つまり

「ファーブルトン」

【Far breton】

『プラムの入ったブルターニュのお菓子』

というような意味合いになります。ほっこり

※お菓子用語以外では他にもいくつか意味があるようです。

ブルターニュで

「ファー」【Far】と言えば概ね

「ファーブルトン」【Far breton】

をさします。

 

しかし幾つか調べると、多くはありませんが他のドライフルーツ

例えばレーズンを使って

「ファーブルトン・オ・レザン」🍇

【Far breton aux Raisins】

なにも入れずに

「ファーブルトン・ナチュール

【Far breton nature

と紹介されているお菓子もあります。

※丁寧に

Far breton sans pruneaux

「ファーブルトン・ソン・プリュノー

プラム抜きのファーブルトンの意)

と紹介されているものもありました。

 

18世紀に生まれたレシピで、もはや

ファーブルトンまでで

「あのお菓子」という認識のようで

あのお菓子

レーズンバージョンや

もしくは【nature】なら

あのお菓子

「何も入ってないバージョン」

というような捉え方になっています。

そんなこともあるのかフランスのレシピでもあえて

【Far breton aux pruneaux】

「ファーブルトン・オ・プリュノー」

『プルーンのファーブルトン』

と表記するする事も多くあります。

※生地はクレープの生地とほぼ同じ仕込み方をします。

フライパンに多めのバターを焦がし、この生地を日本のクレープより厚めに焼くだけでも

「ファー」【Far】と呼ぶようです。

細かい分類は私にもよくわかりません。(^^;

ニコ

 

 

 

 

 

少し似たお菓子で

「クラフティー」

「クラフティ・デュ・リムーザン」

【Clafoutis du Limousin】

というお菓子があります。

リムーザン地方の伝統菓子で、型にパータフォンセ(甘くない練りこみパイ生地)を敷き込みチェリーなどを入れて焼きます。🍒

※生地を敷きこまず焼く事もあります。

 

相違点は

「ファーブルトン」

が干したプラム

プルーンを使うのに対し

「クラフティー」

は基本フレッシュ

ダークチェリー

を使います。

※季節以外は冷凍ホールを使います。

「クラフティー」

のレシピでは粉の割合は多くはなく、一般的にはプリンのような

「つるっ」

とした食感から

「プルプル」

の間くらいでしょうか。ほっこり

※クラフティについてお話したページ

👇

「クラフティの話」

このページで「フラン」の話もしています。

 

※他にロレーヌ地方の

ミラベル【Mirabell】

など地産のフルーツを使った似たお菓子が沢山あります。

「タルトのページ」👈でミラベルの話を少ししています。

よろしかったら。

 

飛行機ダッシュ  ヒヨコあせる

 

「ファーブルトン」

に使う材料は

〈牛乳・卵・砂糖・小麦粉・有塩バター・ラム酒・バニラ〉

そして

プラム》(プリュノー)

です。

これらの材料のバランスと焼き方で味と食感に違いが出ます。

※バターは牛乳に溶かすか、焦がしバターにして生地に混ぜたり単独で先に型に流し入れたりします。

ニコ

クラシックな配合では基本

〈小麦粉〉と〈砂糖〉

は同割りで、生地全体に対してやや多い印象です。

このクラシックなレシピの

「ファーブルトン」は日本人には

「少し硬い」

という印象を持たれると思います。

適当な表現が私には見つけられないのですが

「ぶよぶよ」とか「ぶりっ」という

感じでしょうか。うーん

これは冷蔵庫が無い時代に常温で食べるのが前提の配合の為だと思います。

出先でおやつや食事がわりに持って出かける為の配合だとも聞きました。

フランスのパティシエが

「まだぬるい状態で食べると美味しい」

と紹介しているものもあります。ニコ

※冷蔵庫に入れたり時間が経つとさらに硬くなります。

 

冷蔵庫(冷蔵ショーケース)が普及したため衛生管理も向上し、現在の配合では小麦粉も砂糖もだいぶ少なく(クラシックな配合の半分から1/3位)甘さも抑えられ食感も柔らかいレシピが増えてきたとおもいます。ほっこり

日本のパティスリーで時々見かけるファーブルトンもこちらの配合に近く

「プルプル」から「プリプリ」の間

のような感じがほとんどだと思います。

コチラの方が日本人の食の好みに合っていると私も思います。ニコ

ちなみにブルターニュで行われるファーブルトンのコンクールで金メダルになったレシピを見るとやはりクラシックな

「食感のしっかり」

したレシピでした。ウインク

 

 

ひらめき電球鳥, , , ,ヒヨコヒヨコヒヨコ

 

様々なレシピを見ると

『プラム』仏語:プリュノー【Pruneaux】

の下処理はするレシピとしないレシピがあります。

フランスでは南西部アジャン【Agen】の

「プリュノーダジャン」

【Pruneaux d'Agen】

が良質とされファーブルトンでもアジャンのプリュノーが多く使われています。

実は大きく肉厚でしっとりしていて甘さもありとっても美味しいです。お願い

個人的には、変に手を加えずそのまま使うのがお勧めです。ほっこり

 

プリュノー(プルーン)には

〈種付き〉と

〈種抜き〉

があり種付きの方が柔らかい傾向にあります。

そのまま使うか、ラム酒をサッとかける程度で少し時間をおいて使います。

※もちろんメーカーや生産地などで違いはありますが。

 

〈種付き〉も〈種抜き〉も

クラシックなレシピではそのまま使われているのがほとんどですが、生地の食感が柔らかい最近のレシピでは

〈水〉や〈シロップ〉〈お酒〉

などで少し戻し柔らかくしたプルーンを使う事が多くあります。

生地とプルーンの食感のバランスを考えると柔らかいプルーンの方が現在のプルプルした小麦粉と砂糖が少ない生地との相性が良くなると思います。

ちなみにクラシックな配合でも戻し過ぎなければ

「少しやわらかいプルーン

でも美味しいと個人的には感じます。ほっこり

 

 

 

 

 

プルーンの戻し方

日本のパティスリーで使われている

プルーンの多くはアメリカ産です。

【アメリカ・カリフォルニア産】

アジャン産に比べてやや小ぶりで身はしっかりした印象のものが多いと思います。

※水分を抜く%(パーセンテージ)も違います。

アメリカ産を使う場合、何かしらの方法で少し戻し柔らかくした方が美味しくなると感じています。

ほっこり

他にチリ産、ヨーロッパではブルガリア産などがあるようですが私はまだ使ったことがないのでこのブログでは説明できません。

※なおスーパーなどで「小分けに包装」されていたり「ぴったりパック」されているプルーンはアメリカ産でも割と柔らかいです。

※セミドライもあります。

ニコ

「プルーン」に関連する話をしたページです。

よろしかったら。

👉プルーン【Pruneaux】の話

 

 

プルーンの戻し方は、パティスリーや家庭によって工夫してオリジナリティーを出す事が出来ます。

ニコ

「シンプルに水につける」

※時々触って確認しながら好みの硬さにできます。

「熱い紅茶で戻す」

※〈紅茶風味を付ける〉とは少し意味合いが違い、〈味が薄まらない〉感じです。

更にオレンジの皮を加えると水っぽさを感じさせず美味しいです。

「さっとラム酒をからませる」

ファーブルトンの基本配合にはラム酒が入るのでプルーンにもラム酒で香りをつけておくと全体として馴染みが良くなります。

「ラム酒やレモン・シナモンなどで風味を加えたシロップに漬ける」

※より自分好みにしたい人。

オリジナリティーを出したい人向けです。

ウインクなどなどあります。

 

 

フランス びっくり気づき 🍃

 

いかがでしょうか?ほっこり

『配合のバランス』

『プルーンの扱い』

など

クラシックなレシピにオリジナリティーを加える事で、時代とともに少しずつレシピが上書きされているような印象のお菓子です。ニコ

 

 

 


 

~おまけ~

フランスは第一次産業に就く人への敬意が今の日本よりも強いと感じます。

愛国心からきているのかな?と想像します。

その為かフランスでは地域ごとにその土地のものを取りれ受け継がれた伝統菓子が多く、土地の人から愛され受け継がれています。

ニコ

 

 

 

それでは皆さんバイバイ

愛ある一日を!

 

           晴れ

牛しっぽ牛からだ牛からだ牛あたま  チューリップオレンジ ハチチューリップピンク

 

※調べるともっと細かく分けられて、まだまだたくさんの

「ファー【Far】」があると言います。

このページでお話しした事は間違ってはいないと思いますが、ほんの一部の様です。