先日 「気長な仕事」 で紹介したムーブメントが、ようやっと完成した。
エングレイバーの辻本が透かし彫りしたムーブメントは、その後機械的な仕上げのため岩田にバトンタッチされていたのだが、それが完成したのだ。
ちなみにこの手の透かし彫りが 「気長な仕事」 になるのは前回紹介した通りだが、、、実は機械的な部分を担当する方も、かなり 「手が掛かる」 仕事になる。
既存のムーブメントにこういった彫りを施す場合、まずは元々入っている模様や刻印を消すため、僅かにムーブメントの表面を擦り落として 「のっぺらぼう」 の状態にすることに。
つまり、彫りの完成した受け板は 「おおよそ0、1ミリ」 ほど元より薄くなっているわけだから、、、「ネジの頭」 や 「穴石・伏せ石のシャトン」 など、、、受け板に取り付けられる諸々の部品は、元より僅かに飛び出した格好になるのだ。
これは機能上全く問題のない部分だが、元々は受け板と面が揃っているものだから、、、、見栄えが悪い。
「より美しいものを」 と考えて仕事しているのに、これでは意味が無いわけだから、、、、やはり、機械屋の方は 「一つ一つの部品を受け板の面に合わせて磨き落とす」 と言うことになるのだ。
しかし、やってみると分かるのだが、、、これは結構しんどい。
年代なりに傷んだ 「軸の研磨」 や 「部品の製作」 「洗浄」 から 「精度の調整」 など、、、アンティークの時計においては通常のレストアだけでも結構な内容にならざるを得ないのに、、、そこへ持ってきて単純な分解掃除などより遥かに時間の掛かる作業が加わり、、、、今回は更に 「ネジの青焼き」 も施す必要がある。
いきおい、岩田がボヤくことになる。
「彫ったついでにここまでやっといてくれると助かんだけどなー」
もっともこれは本気ではない。
エングレイバーの辻本は、元より時計屋でないことは分かっているのだから。
かくして、去年から延々やっていた 「透かし彫りのプロジェクト」 は完成した。
文字盤は元々付いていたエルジンの 「ポーセリンダイアル」 を付けてあるが、これはあくまで暫定的なもの。
「こんな文字盤にしてくれ」 というオーダーがあれば 「何でもあり」 という仕様。
問題の?価格は、ズバリ 「¥800.000」 (税込み・一年保証付き。現状のポーセリンダイアル付きの場合)
※(但し、これは今回初めての試みの 「プロトタイプ」 としての特別な価格設定なので、、、万一今後 「別のムーブメント」 で製作した場合に関しては、別の設定にならざるを得ないことをご了承下さい。)
以上、ご興味のある方は、是非是非ご連絡下さいませ。
( ※この時計は、H24. 2/11に売約済みとなっております)