触りながら背後から殺気を感じた

振り返らなくてもわかる

これはサテラ………抜刀しているな

殺鬼姫を斬ろうとしているのか……それとも俺?やばい………かもしれない

慌てて手を引こうと思った時、硬いものが手に触れた

「えっ?この硬いものは何?」

詳しく調べてみると頭の両側にあった

「……………角……まさかな」

「貴様………それに触るな!」

忘れていた、俺、今、殺鬼姫に抱きついていた事に

慌てて殺鬼姫を見ると怒りに震えていた

後方のサテラ……前方の殺鬼姫

どちらも地獄だ

「何時まで抱きついているつもりだ!」

その直後体に痛みが走り殺鬼姫から離れその場に蹲ってしまった

「よくも……よくも……あたしのあれに触ったな!あれを触れるのは………まあいいか、貴様は切り刻んで殺る!」

もう終わりか、今回も短かったな、多分女神は怒るだろうな

サテラが駆け寄ってくるのが見えるが間に合いそうにないな

「この時を待っていた!殺鬼姫!背後が隙だらけだぞ」

殺鬼姫の背後に刀を振り上げた無音の姿があった

「しまった!前方ばかり気にしていたから、無音!貴様!」

殺鬼姫は慌てて振り返るが間に合わず無音の斬撃をまともに受けその場に倒れた

俺は駆け寄るサテラを止めると

「危ないところありがとう」

「当たり前の事をしただけ、それより怪我はないか」

「俺は大丈夫、サテラは………大丈夫みたいだな、それよりあなたは?」

知っているが一様聞いておく

「私は霧雨無音と言う」

「霧雨無音……俺はエイタ…横にいるのがサテラ……それより殺鬼姫は倒したのか」

「いや………まだ息はある……止めをさしておかないと」

無音はゆっくりと近づくが

「エイタ……離れていろ……ヤバいのが……」

その直後無音と殺鬼姫の間に黒い服を着た女性が立っていた

「惨めね殺鬼姫……立てる?」

「………立てる………」

よろよろと立ち上がる殺鬼姫は黒い女性を見ながら

「………あなた…………誰?」

えっ?殺鬼姫も知らないのか

魔王関係者では無いのか

「私を知らないの?まあ無理もないか、何故なら人前に出るのは………100年ぶりかな」

「100………一体何歳なんだ」

「さあとりあえず撤退ね、それとそこにいるのは………無音ではないか」

無音は刀を構え黒い女性を睨みながら

「……まさか……貴様は………」

「それ以上言ったら首をハネるわよ、無音は私には勝てないから……それでもやるかしら?」

「………………………………………」

無音は刀を下に落とす

「賢明な判断ね、じゃ殺鬼姫…」

「ちょっと待って、言いたい事があるの」

「……手短に」

「無音………はいい、それよりエイタ!名前は覚えた…よくもこれに触れたな!次あった時苦しみながら斬り殺してやる!覚えておけ!」

「…………エイタ………まあいいか……もういいかしら殺鬼姫」

頷く殺鬼姫を抱えると消えた

「無音……あの黒い女性は」

「あれは………間違いない………四天王……最強の………闇姫………何故この場に………」

無音は暫くして考え

「とりあえず街に向かうか」

「そうですね、とりあえず休みたいし腹も減ったし」

「決まりだな」

こうして街を目指していて歩き出した















「びっくりしたな、一番強い怪物を連れつ来たつもりだったけど……あなた達何者かしら?」

「殺鬼姫……速く出てこい」

「またびっくり、まだ名乗ってないのに、何故名前を知っているのかしら」

森の中から出てきた殺鬼姫は前と同じ、派手な着物を纏っていた

「…………有名人……だから………知っていて……当たり前だろ、サインが欲しいな」

果たしてどんな反応をするだろうかと、心配しながら見ていると

「……………………………………………」

無反応………まさか怒っているかと思っていたが

「あたし………有名人………えへ……えへえへえへえへ……有名人…………そうなんだ……サインが欲しいんだ」

かなり喜んでいるみたいだ





女神が言うには

「とりあえず褒めろ」

「そんなことしていいのか」

「殺鬼姫の警戒を解く、それが目的だ」

「ほんとに上手くいくのかな」








とりあえず第一関門突破と、しかしこれからが本番だ

警戒しないでゆっくりと近づいてくる殺鬼姫

俺なんて敵として見ていないみたいだ

まあそうなるわな













「ある程度近づいたら剣を投げなさい」

「倒せるのか」

「あんたは馬鹿ですか、そんな事で倒せるわけ無いでしょう、まあ当たりどころが良かったらやれるでしょうけど………まあ無理ですね」

「じゃ何故投げるの?」

「簡単なことです、多分殺鬼姫はあなたの事は敵として見ていないはずです、飛んできた刀に視線がいくはずです、そこに僅かな隙が出来るはずです」












俺は抜刀して投げると、殺鬼姫は歩みを止めて

「馬鹿ですか、こんなに倒せると思っていたんですか」

今確かに視線が俺から外れている

今がチャンスだ

石を取り出すと叩きつけ砕けた直後、後方から強烈な風が背中を押し殺鬼姫との距離を詰めた











「この石をあげます」

「この石は?」

「これは風の石です、砕くと強烈な風が吹きます、エイタ、この風に乗り一気に距離を詰めてください、そしてこうしてください」

女神は俺を抱きしめた

「ちょっと待て、そんなことしたら斬られるだろう」

「案外大丈夫です………多分………斬られたら諦めてください、殺鬼姫は異性恐怖症です異性に触られるのが駄目なんです、だから抱きついた直後は固まって動かないはずです、エイタ、殺鬼姫はあなたの両腕を何故最初に斬り落としたと思う」

「それは武器を持てない………違うか」

「そうです、抱きつかれるのを防いでいるんです、だから無音の時は斬り落としていないでしょう」

確かにそうだ

「そして頭を撫ぜてください」

「えっ?何で?」

「触れば楽しい事が起こります、じゃ頑張ってください」










殺鬼姫は唖然としている

この距離なら

(やるしかない、やるしかない)

俺は殺鬼姫を抱きしめると

「…!!!!!!!!」

殺鬼姫の動きが完全に止まった

顔を覗く青くなっていた

(頭に触れても大丈夫なんだろうな)

女神が最後に楽しい事がと言いながら蠱惑的な笑みを浮かべていたのは気になるが

やるしかない、俺は手を伸ばして頭に触れた





窓から差し込む光に朝を感じていたら、いきなりベットから蹴りだされた俺の前に

「おはようエイタ」

ミルフィーユが立っていた

「何時まで寝ている気、もう朝だよ、早く行こうよ」

「わかった、下で待っていてくれ」

はーいと言って部屋を出てゆくミルフィーユを見ながら

「俺、鍵かけたよな」

慌て見たドアは元の姿をとどめていなかった

「サテラに戻っているのか」 

急いで支度をして下に降りると

「その前に朝食しない、用意は出来てるみたい」

「ミルフィーユが作ったのか」

「作っていないわよ、あの部屋を覗いたら机の上に並んでいたの」

誰が作ったのか?

まさか女神とか…………

まあいいか、腹が減ってはなんとかと言うだろう

朝食を済まして出て振り返ると小屋は消滅していた

「さあ殺鬼姫退治と行きましょうか」

「殺鬼姫?誰?」

俺は知っているがミルフィーユは知らないだろう

「殺鬼姫は四天王の一人」

「強いの?」

「かなり強いよ」

「勝てるのエイタ」

「多分…………大丈夫……の筈」

女神から言われた作戦はあるが

「ミルフィーユ止まって」

この先に行けば森の中から怪物が出てくるはず

「ミルフィーユ先に行って」





女神は確か

「ミルフィーユを先に行かしなさい」

「えっ?俺が先ではなくて」

「エイタは物影から見ていなさい、怪物を安心さすためです、ゆっくりと近づいてくるはずです、ある程度近づいてきたら入れ替えなさい」





ミルフィーユはしばらく考え

「わかった、危なくなったら絶対に助けてね」

と言うと先に歩き出し、俺は物影に隠れた

暫くして森の中から

「エイタ!あれ何?」

怪物が姿を見せ

「おーいこんなやつが相手なのか?無音はどうした?逃げたのか?」

ミルフィーユは腰が抜けたらしくその場に蹲っている

それを見た怪物はゆっくりと近づきながら

「まあこいつを殺ったら出てくるだろう」

あと少しのところで物影が出て

「帰ってこいサテラ!」

交代の石を投げミルフィーユの近くで砕けて消えた直後ミルフィーユがその場に倒れた

怪物は歩みを止めると

「気を失ったか、まあいい」

その直後ミルフィーユはゆっくりと立ち上がりながら抜刀して怪物に斬りかかる

いきなりの攻撃に避ける間もなく真っ二つになってその場に倒れた

「エイタ……こいつ斬ってもいいね」

斬る前に言え……これは………間違いなくサテラだ

「ところでこれ何?もしかして味方だったとか」

「そう見える?」

「見えない………敵にしか、それよりあたしこんな所で何をしていたの?」

その時だった

森の中から乾いた拍手が聞こえてきた

「説明は後でする、出てくるぞ」

「誰が?」

「四天王の殺鬼姫が、サテラ絶対に突っ込むなよ、あれの相手は俺がする」

「わかったわよ、じゃあたしは横にいるから危なくなったら呼んでね」

さあ来い!殺鬼姫!この前のお返しをしてやる!