「相変わらずの破壊力だな、やはり夜空の魔法は最高だね」

かなり離れた場所から緋色は見ていた

まだ煙が充満していて全体像は見えないが

「これなら全滅しているわな、それより夜空は?」

夜空にはある致命的弱点がある

魔法の威力が大きい分、使うマジックポイントもかなり大きい

全てマジックポイントを使い切ってしまいその場に倒れて数時間は動けない

そこを狙われたらイチコロってわけ

そして私はかなり遠くに離れていて助けに行かれない

まああの破壊力なら生きているやつはいないと思うが………………

とりあえず煙が引いたら夜空を探し出して

そう言えばあの人間の子は………巻き込まれたかも知れない

「魔女王様になんて言い訳しようか」


そうしているうちに煙が引いてゆきそこは何も無い荒地が広がっている……筈だったが

「あれは………なんだ?」


真ん中あたりに白い山のようなものがあった

「あんな山あったか」

近くに夜空が倒れていた

「何か怪しい、とりあえず夜空のそばまで行ってみるか」







少し時間は戻る

合流したナナツに

「あれは不味いだろ、どうする気だ」

「とりあえず離れるしか」

「離れてどうなる問題じゃ無いみたいだが茜はどう思う」

「 ナナツの言う通りだと、今攻撃したほうがいいんじゃないの」

「結界があり近づく事はできない」
 
「………結界か………厄介だな」

「それよりうちの旦那は?」 

「アデルが見ている」

あの気配は……アデルではなかった

とここで

[今すぐに瑛太の所に集まりなさい]

頭の中に直接言葉が響いた

「 ナナツ、茜……何か聞こえなかったか」

二人が同時に頷くのを見て急いで瑛太の元に集まった直後、白い壁が覆ってきた









「夜空……夜空………夜空」

何回か頬をひっぱたいたが(日頃の怨みが少し入っている……かもしれない)
 
目を覚ます気配がない

「駄目だ、気を失っているそれより………」

夜空から離れると緋色は警戒しながら白い山に近づいていった

「これは………結界なのか……誰が………誰がやったんだ」

といきなり結界が解けて、目の前に夢枕と仲間たちが現れたから緋色は急いで後方に夜空を守る様に立って

「お前達……生きているのか………夜空の魔法を受けて………生きているのか……不味い」

振り返ると夜空は気を失ったままだ

それを見てナナツが

「夜空は気を失っているみたいだ」

「じゃどうするの」

「わたしと茜とアデルはあの緋色を何とかするから夢枕は夜空に止めを……」

「いくら3人でも……かなうわけ」

「夢枕………私達を信じなさい」

「………わかった………」

走り出した夢枕は真っ直ぐに夜空を目指すのを見て

「行かすと思うか」

緋色も真っ直ぐに夢枕に駆け寄るが

「私達が相手しましょう」

いきなり目の前にナナツ

気が付けば左右に茜とアデル……

振り返ると夢枕はもう夜空の目の前まで来ていて

「やばい………離さんかナナツ!目の前から退け茜!」

「こいつを倒せば……」

夢枕は抜刀すると斬りかかった









「ねぇ血祭……始まる前に聞いていい?」

「何かしら」

お互いに抜刀して向き合っている

「あんた暗殺一家の長女でしょ、聞いた話では血も涙もない極悪非道な性格と聞いているわ」

(それは私の事ではない………筈、多分鬼頭雷の事だろう、まあ黙っておこう)

「で?」

「なんで人間のために………そんな事するのかしら」

「さあ、なんでだろうな。私も知りたいよなんか勝手に体が動くんだよ」

「教えてあげる、それは恋だよ」

「ふーん、そうなんだ、教えてくれてありがとう」

「どう、いい冥途の土産だろ」

「それはありがとう、でも返すわ」


「………………………………」

二人とも黙って見つめ合っていた

最初に動いた方が負ける

二人は直感で分かっているから動けない









夜空の気配から詠唱が終りに近づいているのが夢枕にはわかった

「早くしないとヤバいのが来る!」

さっきから少し離れた場所で大きな気配が2つ動いているのが分かる

多分緋色と血祭のだろう

「あと少し……」

夜空に手が届きそうになった瞬間

「あら夢枕、そんなに急いで何処に行くのかな?」

その一言で立ち止まり数歩下がる

「………緋色……何故この場所に……じゃ血祭は?」

「自慢の気配を探す能力を使えば」

言われるままに気配を探ると近くに

「……血祭……まだ息があるが……」

倒れていた

それ以外に近づいてくる3つの気配を感じた

「この気配は………茜とナナツにアデル」

三人は夜空に攻撃を仕掛けてきているみたいだが

「旦那は?」

辺りの気配を探ると離れた場所に誰かとあるのがわかった

「この気配は………」

とここで

「緋色………詠唱……終わった……かなり離れていて………」

気配から夜空の詠唱が終わった気配がして

「わかった……夢枕……地獄の苦しみを味わうが良い」

離れてゆく緋色の気配がしたから

「茜、ナナツ、アデル……離れて」

しかし止まる気配がない

「じゃ行くね」

ヤバいのが来る

離れないと……それもかなり遠くに………………

「我々に逆らう者、全てに罰を与え賜え!怒りの雷!!!!」

上空に黒い雲が広がってゆき

ナナツ、茜、アデルは途中で止まると天を見上げて

「もう………手遅れ……かも………」

そこに夢枕が合流したが

その直後、稲光が降り注いで来た















「おい最初の威勢はどこにいった」
 
「 …………………………」

最初は互角の戦いをしていた黒妖姫とあやめだったが、途中から黒妖姫が優勢になっていった

やばいと思い距離を取るあやめに

「逃げられると思ってるのかしら」

と黒妖姫はついてくる

(何とか距離を取り体制を整えないと)

がどうやっても振り切れないし時々攻撃が来て避けられないときがあり傷が増えてゆく

「やはり四天王と言っても元がつくんだもんね、次に四天王になる筈のあたしには勝てないよね」

「あなたが四天王?かなり質が落ちるのではないかな」

「五月蝿い!」

再び黒妖姫の攻撃が始まった






屋敷の中に逃げた黒江は医療室を目指していた

背中の陰の容態が気になる

「絶対に助けてやるから頑張れ、それにしてもあれは無音姉さんではないのか、そう言えば入る直前に黒妖姫と名乗っていた気がするが、誰だ?」

考えてる内に医療室の前まで来ていた

「ここの先生苦手なんだよな……しかし」

思い切り扉を開くと視界に両脇の棚に並んでいる怪しげな道具が目に飛び込んできた

「いつ見ても不気味な部屋」

部屋には窓が無くて天井にある明かりにより辛うじて見える

「窓くらい作ればいいのに、それより」

辺りを見たが先生の姿が見当たらない

「先生いる?いるなら出て来て」

「五月蝿い小童、目の前にいるではないか
今度目の検査をしてやろうか」

思わず悲鳴を上げかけたが辛うじて止めた
 
薄暗い部屋に黒い服を着た先生

見た目は死神に見える

「で何のようだ小童」

「陰を……陰を見て欲しいの」

「じゃ陰をそこのベットに置きなさい」

言われるままにベットを置くと、先生は診察を始めた

「かなり危ないね、言ってみれば片足はもうあの世についているわよ」

「先生……助けて下さい……大事な妹………お願いします先生…………」

「普通のやつなら無理だが私なら助けられる」

姿はあれだが腕は確かにある

「じゃ手術は始めるから黒江は出ていなさい」

追い出される様に部屋を出て

「とりあえず母親を見に行かないと」

急いで屋敷を出た黒江が見たのは地面に倒れ、今にも止めを刺そうとしている黒妖姫の姿であった