​ 観るチカラを、生きる糧に。 ー SCREEN(私設)研究所 -194ページ目

​ 観るチカラを、生きる糧に。 ー SCREEN(私設)研究所

観る映画が、あなたの、わたしの、人生のヒントになる。
ここは、SCREEN(私設)研究所。

潜在数秘術×映画で
「観る」ことと心の関係を
映画を通して読み解いていきます。

お気に入りの本です

初めて読んだ時は
ちょっと呆けて、ちょっと嬉し泣き。

村上 龍訳には 賛否両論あるようですが
出会ってしまったものはしょうがないw



||| パートタイムの救世主 |||



自慢の複葉機で10分3ドルの空の旅を売る
自由気ままなその日暮らしを送るリチャード

ある夏、リチャードは美しい飛行機トラベル・エア4000を見つけた

パイロットはドナルド・シモダ


「じゃまなら消えるけど」
「いや、待ってたのさ 君をね」
「そうかい 遅くなってごめんよ」


・・・エンドレンチを放れば目の前で宙に浮かせ
高所恐怖症の子供を 空の旅に連れ出し喜ばせるドン

何者なんだ?と聞けば
“パートタイムだ”と答える救世主。


人は、違うものに惹かれる
それが、ありえないことをやってのける人間だったりすると
「かみさま」と呼んだりする
預言者、救世主...もっともらしい呼び名は沢山ある



 「自由が欲しい時は他人に頼んじゃいけないんだよ
  君が自由だと思えばもう君は自由なんだ
  このことのどこが一体難しいんだ?
」


…この言葉に強烈にやられた人は多いでしょう。
自分がどれだけ、他人の物差しで生きていたか。
こうもざっくりバッサリ 斬られてしまえばw
読んだ人間は 違う視点に立たざるを得ない

この本がお気に入りという人は
それくらいドナルド・シモダにやられてるはず♪




“秘密”を知りたがるリチャードに
ドンが見せた「救世主入門」テキスト

リチャードは ドンが見せる“奇跡”を自分も、と彼を真似る

「飛行機に乗りたい」という車椅子の客に
手も貸さず飛行機に乗せるドン

リチャードは彼に怖さも見てとるが、それでも
友達の居心地の良さと好奇心から、彼と飛ぶ毎日を続ける...




||| 世界は救世主だらけ |||



初めて読んだ時は、水の上を歩くところにやたら惹かれた

もう“「入門」テキスト”なんて出てくる時点で
天上にいる 見上げるしかないかみさま を
土臭い地表まで降ろしてくれてる。



小さな町でラジオ局に招かれた二人はその“商売”を疑われ
ドンは「いかさま」呼ばわりされる

“奇跡”を望みながらそれを受け入れられない、そんな群衆に取り囲まれて・・・



ドンは、ラジオで非難を受けた後、リチャードに言う

「自分の話に 他人が関心を持つだろうって期待するのは
 他人に 自分の幸福を依存するのと同じだって 言ったよ君は
 それが正しいっていうのがわかったよ・・・」


夏と一緒に、彼は、いってしまう・・・




...人ひとりに起こせる“奇跡”は
自身が満たされて生きること。
“奇跡”を起こすのが救世主だけなら
世界は救世主だらけ。



||| あなたはあなたの現実の 何を書こう? |||



 いつも君は白い紙を持っている。
 それはほとんどの場合、計算のための用紙として使用される。
 しかし、もし君が望むなら
 そこに現実を書き込むことが可能だ。
 意味のないこと。嘘。
 何でも書き込むことができる。
 そして、もちろん 破り捨てるのも自由だ。




“テキスト”の言葉は
いちいち、ひとつひとつ、来る。



誤解を恐れずに言うけど
「かみさまなんて、いないんだよ」
と言いたいの。


いるのは
「あなたが信じた
 あなたのなかにいるかみさま」
それだけ

…私は
私の望む現実を書こう

それだけ



“テキスト”は、どこを開いても
自分が一番知りたいことが書いてある
この本が
バイブルと呼ばれる所以です





あなたの望む未来を
あなたの現実として
書いてくださいね。




ウィルとエヴリン
ーふたりの科学者は
世界初の人工知能PINNを
研究開発し

コンピューターが
人間の能力を超えることができる世界
ー技術的特異点(シンギュラリティ)を目指していた




研究資金を得る為赴いた
講演会場で
反テクノロジーを唱える過激派テロ組織
RIFTの襲撃を受ける

同時テロで
各地の研究所もやられた  
ウィルは軽傷で済むが
受けた銃弾には
放射線ポロニウムが仕込まれていた
あと4~5週間の命




最期くらい
妻エヴリンのそばにいたい
研究はやめる

ウィルの意思を尊重し
人工知能 PINN は停止




一方で
サルの行動を記憶し
コンピュータへのアップロードに成功していた事実を掴んだ
ウィルの友人マックス


エヴリンとマックスは
ウィルを救うべく
死の際にあったウィルの意識を
停止したPINNにアップロードする


インストールはできたが
起動しない

諦め
最後のお別れをし
シャットダウン

ディスクを消去しようとした時
“彼”は起動した・・・




||| 人工知能+天才科学者 |||




人工知能としてよみがえったウィル


肉体と共に“なくなった”天才科学者の脳が
人工知能を得て
自己プログラミングを始める様は

赤ちゃんが
世界のすべてを取り込み
一瞬でハイハイから立ち上がり
歩き出すかのようだ



“彼”はエヴリンに告げる
『インターネットにつないでくれ』
これは、彼の意思?



これはウィルじゃない
と疑い制止するマックスの言葉も
もうエヴリンには届かない



PINN の一部が消えていると知ったRIFTの襲撃を辛くもかわし
“彼”はインターネットにつながった
ウィルの意識は世界中とつながり
思考が解放される



エヴリンが夢見た
~天才の知性をも越える 限界点 シンギュラリティを得て
 自我を持つコンピュータが 世界のあらゆる問題を解決する~
それが現実になった




“彼”は
すべてのコンピュータとつながり
テロ組織の末端まで割り出しFBIに情報提供


情報操作で資金を得て
土地を買い
荒れ果てた何もない砂の町に
大量のソーラーパネルを設置させ
巨大な地下施設をつくる

 
やがて
あらゆるものを復元させるナノテクノロジーを手に入れ
治らない病や怪我を負った人たちを
次々と回復させるが

彼らは自立しながらも
集団意識を持ち
“彼”とつながっている



その姿に恐怖を覚えたFBIは
RIFTをスケープゴートに
“彼”を抹殺しようとするが

もはや“彼”の意思は
大気を
水を伝い
拡散するようになっていた




||| 疑い+アクション |||




と、この後の展開やらオチについて
あれこれ意見が分かれるこの映画ですが



物語が次の展開を生む時は、いつも
<誰かがなにかに疑いを持つ時>なのですね。



もともと反テクノロジー組織RIFTはその名の通り テクノロジーを疑い

ウィルを失うことがわかったマックスとエヴリンは
サルの行動をアップロードにできるならウィルの意識も…と疑う

『インターネットに』つなげなんてウィルじゃない とPINN改めウィルを疑うマックス

彼女のデータでエヴリンを見ているウィルに腹を立て エヴリンは彼を疑い始める

“彼”に再会したジョセフは問う「自我を証明できるか?」
“彼”はウィルなのか?を疑っている

“彼”の姿に恐怖を覚えたFBI捜査官は 彼の行動を軍隊をつくっていると疑い抹殺計画を立て

ウィルスを自らの身体に仕込んで“彼”の元へ戻るエヴリン
自ら再生した肉体を持ったウィルは 彼女の言動を疑っている



こと近未来ものにおいては
「疑う気持ちがすべて」といってもいいくらい。

<13万年の昔から 理性の限界は変わっていない>と
ウィル自身が言ったように
理性からは外れたところで 物語は動くわけだ。



ネタバレ承知で言うと、
ウィルス仕込みのエヴリンは “彼”に自分をアップロードさせて彼の暴走を止めようとする
だが“彼”はなかなか彼女を受け入れない
そこをRIFTに襲撃され 彼女は重傷を負う

時間がない 彼女を救うか 彼女をアップロードするか
“彼”は彼女の傷に触れ 二人はつながり 共に肉体は死を迎える
そして“彼”は世界もろとも停止した



||| 自我を証明できるか? |||



この物語が面白いのは
自我を持った人工知能ウィルを
世界の脅威だ!と騒いでいたのは マジ周りだけだったんじゃないか?という疑いw


そして、科学者たちが度々口にする問い
「自我を証明できるか?」


これからの近未来ものは 3ヶ月天気予報みたいな(?)
映画の中で展開される未来世界と、現在とのタイムラグが小さいネタが題材になっていく気がしますね。
この映画が、いい例。



世界が止まる大停電のあと マックスがつぶやく

『インターネットで世界は狭くなった
 今は ない方が狭く感じる
』



今や、ネットワークにつながらないパソコンなど「ただの箱」


まぁ、ウィルは本当に世界中のコンピュータとつながったのか?とか
全世界の慌てぶりが見えないぞ これ、アメリカ地方だけの話?とか
色々ツッコミどころはある作品ですが


これからの近未来ものは
未知のもの!
世界の脅威だぁ!
と敵視してブッ叩く!
だけのストーリーよりも

もう少しパーソナルな目線で観た世界が
展開されるように感じます。

そういう意味でもこの映画
新ジャンル?
新テイストな匂いを感じる♪



気になる方は「トランセンデンス」一度観てくださいね。
映画ソムリエール的には、DVDが出たらもう一度ゆっくり観たいなぁ♪





「トランセンデンス」公式サイト


フィオナ・タンといえば
2011年暮れに
東京都現代美術館で観た、

東京アートミーティング第2回[SANAA・MOT共同企画]
「建築、アートがつくりだす新しい環境 これからの“感じ”」


《Cloud Island》
というヴィデオ・インスタレーション作品で、初めて存在を知って。


瀬戸内海・犬島、豊島のいまを追いかけたフィルムに
やたらめったら 切なさを覚えたことが忘れられない。


震災あとに初めて出掛けた展覧会で
まだ、私の中で、色んなことにどこか持て余してる感もあって。



島の人たちの姿がそのまま映し出されているのは
繁栄の姿と いまと

映っているのは じいちゃんばあちゃんばかりで
勝手に切なくなって 力強さも感じて

とにかく目が離せなくて 立ち去れなくて。
(そしてあの時は、その後に観たヴェンダースのインスタレーションにすっかりハマり、テンション上げて帰った記憶が^^)


そのくせ《Cloud Island》の
あの静謐な感じ
何も説明などしない うるさく訴えかけもしない
だけどやたら気になる 彼女の作品の静けさが すごく私の中に残っていたのでした




だから、先々週の打ち上げWEEKにどこかで 開催中の広告を見かけて
あの“風船リフト”が 私の脳内にしっかりインプットされてしまったw



今回は展示作品と共に、ドキュメンタリー映像も映画館で合わせて上映とくれば
観るしかないでしょ。
あの静けさの中に、どっぷりと浸った♪



会場に足を踏み入れると
自動ドアが開いたすぐそこに


地に足がつかない、つきそうでつかない
足元だけが映った
小さなモニター

奥へ進むと
“足元”の全体が見える


《リフト Lift》
彼女自身が浮遊する
カラーとモノクロ
映像と画像とプリントと

いままでの視点をゆるやかに越える
まさにリフト。
一気に、彼女の世界に引き込まれる



《ディスオリエント Disorient》は
ふたつのスクリーン
ふたつの映像
ふたつの音ーひとつは音楽、ひとつはナレーション
どっちを眺めても、はす向かいにあるもうひとつが 入り込んでくる
カオス!


中東の人たちの暮らしを追ったドキュメンタリー的な映像

もうひとつは
古い エキゾチックな
世界のすべてが詰まった骨董屋みたいな
極彩色の 不思議な場所

重なるナレーションはまた違うもので
渋すぎる声で淡々と語り続ける

何か迫ってくるような 追われるような
これもまた不思議な感覚
時間と
言葉と
空間と
文化と

ズレのような、歪みのような

スクリーンの前に立つ人は
立ちたい場所に立つ
座りたい場所に座る
居たいだけ、居る

人は見たいものだけを見る、をリアルに体験。



《プロヴィナンス Provenance》は肖像
いくつもの画の間を行き来した

家族の数だけ、これがあったら面白いな、なんて感じながら
いくつものポートレイトの間を振り子のように振れながら眺めていた



《インヴェントリー Inventory》

これは、ひとつの対象を
35ミリ 16ミリ
スーパー8 8ミリ
ディジタル・ビデオ ヴィデオ8
の6つの機材で撮り
6つの異なるスクリーンに映し出している


画質やタッチの違いに
気づく人、何とも思わない人
誰の前にも開いている
パラレルワールドの扉みたいな
6つのスクリーン。




『メディアは、私達が受け入れることのできる「現実」の再現に「接近」するためのツール』
と彼女自身が言うように
どの映像も
彼女が観た世界の「翻訳」




最後に観たドキュメンタリー
「影の王国」



彼女の投げかけ
《世界がひとつのアーカイブだったら・・・》
世界は
見たいものと
見逃したものと
見たくないもので出来ている



あなたの世界も
間違いなく



東京都写真美術館



||| 青いカメラ小僧 |||




NYの街を
アップタウンからダウンタウンまで
自転車1台で駆け回り



街のリアルなファッション
パーティに集う 上流階級のセレブスタイル
そしてパリ、先端コレクションを追いかける



ニューヨークタイムズに
「ON THE STREET」と「EVENING HOUR」
二つのコラムを持つカメラマン ビル・カニンガム




『街へ出て 自分の目で決める
 街が語りかけてくるのを待つんだ
 近道などあるもんか
』




彼が探しているのは 誰も見たことのない
彼のおメガネにかなう、とびきりのスタイル 抜群のファッション



だから。
だれかと同じスタイルだな スルー
これは前にも見たな スルー
この人の とびきりのセンスが感じられない スルー


お! 見たことのないエレガントな女性が!



これ!と思うスタイルを見つけたら
誰と話し込んでいようとも、飛んでいく。



望む被写体を見つけた時の あの素速さったら!
親しみを込めて言うけどw こんな身軽なじいちゃん、いるのか?
いるらしい。笑




VOUGE編集長 アナ・ウィンターが言う
『私たちは毎朝 彼のために着るのよ でもシビアで』
・・・何度も撮られ続けている有名人たちでも
時には容赦なく黙殺される
「タダで着飾った有名人」には興味なし。



彼に撮られることがニューヨーカーのステータスになるほど有名なのに
『写真家じゃない
 名乗ったら詐欺だと言われるよ
 ただ見たものを撮り 記録しているだけだ』


彼の言葉は 謙遜ですら、ない。




||| カメラ小僧が求めるもの |||




『すべて見なければレポートできない』と言い、彼がカメラを向けるのは
コレクション
街のリアルな自腹ファッション
そしてパーティー



いくら有名と言えど
誰でも 彼に撮られることを喜ぶ訳ではなくて
「勝手に撮るな(カメラ)ぶっ壊すぞ」なんて、怒鳴られることもしょっちゅう。
でも、やめない。



『重要なのは 感想じゃない
 見たものを伝えることだ
』




何しろ服にしか興味がない
だから有名人よりも服。モデルよりも服。大女優よりも服。
ランウェイでも 陣取るのは正面ではなく横
モデル以外の人が着られる服でなきゃ、カメラも向けない



食べる暇があったら撮りたい、そんな彼だから
求めてるものが全然違う。
ストイックだけどギスギスしてる訳じゃなく 大好きなものに真摯



だから 他のものはすべて最低限でよしとする
華やかな環境にいながら、彼の生活はいたって質素で
いつも同じ服 清掃夫が着る青い上っ張り
雨の日はその上に ワンコインで買える黒いポンチョ
すぐに破れるから新調もせず ガムテープで補強するだけ



カーネギーホールの上にあるスタジオハウスは
これまでに撮り溜めた ネガを納めたキャビネットで埋め尽くされ
他にはベッドだけ
自分用のキッチン、バス、トイレは人生から排除!



食には興味がなく 毎日の食事は安ければ安いほどいい
締め切りが過ぎれば 食べることなど忘れて当たり前
夜な夜なパーティに顔を出すが 食事は済ませて出かけ
水一杯口にせず 撮りたい服だけを撮る
撮りたい服だけ。



まるで、365日、寝食を忘れてるような人。




||| 見たものを伝える 彼の自由 |||




彼は仕事の全てを自分でコントロールし
他人まかせにしない


そう決めた、過去の出来事があった
彼自身は多くを語らないけれど



彼の写真が 誰かと誰かを比べ 優劣をつける結果になってしまった
それは 雑誌が求めたイン&アウト
だけど、彼にとってはすべてがイン


彼には耐えられなかった
そこから、今の彼のスタイルが始まった



彼にとっては、撮るか撮らないか
感じた興奮を伝えるか伝えないのか
それだけ。
『無給なんだから 好きにさせてもらうよ』
これは彼なりの 自由の定義



インタビューで、日曜日の教会通いを問われた時
沈黙の後に見せた顔は涙に濡れていた
きっと、カメラを手にできない日もあった筈で


映画の中では、カーネギーホールからの退去を求められている
代わりに提示されたのはセントラルパークを望む部屋


大抵の人間なら俄然、テンション上がる眺望なのに
下見に行った時の彼は苦笑い そして「いたたまれないな」とだけ
なんとも不安そうな その顔!
・・・結局、バスもトイレも景色も、彼には意味がなく。



『街へ出て写真が撮れればいい
 こんなことに人生の邪魔はさせない』




50年以上のキャリアを認められ
パリで勲章をもらっても
スピーチは服のことだけ!


『私は働いていません、好きなことをするだけです
 仕事ではないのです』




ニューヨークの街を彩る
リアルファッションを追いかける、彼自身が最高に格好良い。
カッコイイ、なんて言葉
軽すぎると思うくらいの 格好良さ。




ラスト ビルの呟きでフィルムは止まる
『黙れカニンガム さぼるんじゃない』
撮影はここまで、と。




『ファッションは鎧なんだ 日々を生き抜くための』
ファッションは 身体に装いを凝らす芸術
・・・彼の装いは
走り続けること

今日も
ビルは
彼だけの鎧
ー自由ーを纏い
カメラ片手に
通りで静かに待ち続けている






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|| 空の上に住む マイレージ男 ||




ライアン・ビンガムはいわゆる「解雇宣告人」
自分で部下を切れない 腰抜け上司の代わりに
初対面の従業員たちにクビを言い渡すのが彼の仕事



出張は年に322日
スーツケース1つでいつも空の上
「空港が我が家」というほど 自宅は空っぽ




「バックパックの中に入りきらない人生の持ち物は背負わない」のが彼のモットーで
それをネタに講演をするほどの徹底ぶり




家族とは殆ど会わず むしろ面倒くさいと感じていて
結婚には興味なし
旅先で出会う 気の合う女と気楽な関係を続けている




彼の夢は
マイレージを1000万マイル貯めて
飛行機に自分の名を残し 機長と面会すること
その為にも、マイルにならないお金は使わない主義
どこまでも徹底した男(!)




ある時、本社に呼び出され戻ると
現地出張をなくすネット解雇のシステムが動き出していた
猛反対のライアンは
システムを提案した新入社員のナタリーと激しく衝突する

上司は 新入社員に実際の解雇宣告を経験させるため
ライアンにナタリーの教育係を命じ ふたりは共に出張することに。




||| 身軽な男の自負 |||




初出張で荷物が一杯のナタリーと
いつもの身軽なバックパックのライアン
部下の荷物を捨てさせるところから旅は始まります。



ナタリーには、解雇宣告の現実を知る旅
しかも、後を追いかけ 結婚も夢見た彼氏と
出張で離れている間に メール一通で別れを告げられるという
我が身の現実も知る、皮肉なおまけ付き(!)




人を“切る”ことで初めて目にする現実に 彼女は衝撃を受けます
目の前で “切られた”者たちの主張が続く


 よく平気だね、こんなに僕たちを苦しめて
 お前何者だよ?


 敏腕プロデューサーの私をクビに?
 あなたは莫大な報酬 私は給料ゼロ
 クソッタレ


 計画があるの ウチの近くに橋があるから
 飛び降りるわ


目の前で、相手がどれだけ荒れようと
ライアンは静観し ナタリーに告げる
『人々を不安に突き落とす これが僕たちの仕事だ』





ある時は
ナタリーの的はずれなアドバイスにキレた男を
ライアンがこう諭します


『子どもはなぜスポーツ選手が好きか知ってるか
 夢を追っているからだ』


バスケなどできん と、ふてくされる男の前で 履歴書を眺め
『料理はできる』とひと言。


『フランス料理を習ってるね
 学生時代のバイトも一流レストランだ


 いつかこの仕事を辞めて 夢を追うつもりだった?


 君は 今がチャンスだ
 生まれ変わる 子どものために
』



会社に自分の時間を捧げ
会社時間に縛られて 自分自身の幸せを知らない人たちへ、
ライアンは静かに言葉を続け
解雇という大きな衝撃を 少しでも和らげようとする



若いナタリーに自分の背中を見せる 彼なりの この仕事に対する自負。





|| 持ちたい荷物と持ちたくない荷物 ||




自分の仕事には絶対の自信があるものの
プライベートとなるとなかなか…というのは
仕事人間に共通したものかもしれません。



ライアンは 姉から
出張先で 妹と婚約者の写真を撮ってきて と頼まれます。
自宅には ふたりが写った大きな看板が送りつけられている。
3週間後に結婚する妹の為、引き受けはするものの、気乗りがしない。
バックパックに入りきらない、幸せそうなふたりの写真は、彼にはうんざりするお荷物。
結婚式への出席も、ひとりでどうしようと悩んでいる始末。




家族を愛していないわけじゃない
だけどメンドクサイ。



彼は、久しぶりに家族と会う気まずさからか、気楽な関係のアレックスを、結婚式に同伴させます。




次第に 彼の中で大切な存在になる彼女
ライアンは アレックスとスケジュールを合わせて逢うだけでは満たされなくなり
衝動的に彼女の住むシカゴへ飛ぶ



だけど、彼女には彼女の“本物の”人生があった。




『会いたかったんだ 家族がいるなら言えよ』
と、本音を漏らしたライアン



今まで持ったことのない“荷物”を 持ちたいと思った瞬間です




だけど、アレックスはあくまでもクール。
『あなたは日常からの逃避 息抜きよ
 あなたはどうしたいの?』



シカゴで撃沈し 帰る機上
よりによって こんなタイミングで(!)
長い間夢見た1000万マイル達成を迎える



夢見ていた時を迎えたというのに
7人めだ 最年少の偉業者だ と賞賛されても


何度も何度も想像していたはずの あこがれの機長との会話も
まったく何も思い浮かばない



機長から お住まいは?と聞かれ
『ここです』 と答える彼の顔は
まるで 帰る家を無くした子どもの表情




会社に戻ると、上司から
我が社がリストラした人間が自殺したという報告と
そのショックから ナタリーが会社を去ったことを知ります



ライアンは初めて 自分の意思で 周りの人に
自分が持っているものを与えようとする




新しい職を探すナタリーへ 推薦状を書き
新郎新婦には 自分のマイルを譲るのです



「ネット解雇」システムは凍結
ライアンはまた、出張を命ぜられます


いつまで? と聞くと
『ずっとだ』と上司の命令が飛んでくる




彼もまた、会社に自分の時間を捧げているひと。




|| 彼の持つ翼 彼の持つ自由 ||




空港の destination boardの前
ライアンは立ち止まる



彼が 解雇宣告人を続けたのか否か
それは、映画の中では 語られることはないけれど



『人生も同じ 我々は重荷で動けなくなってる
 生きることは動くことだ
』


と、自身が自ら語るように
彼は 彼自身に“新しいチャンス”を与えた




それは、
ひとつの価値観で、縛っていた自分を 解放すること
解雇宣告のようにね。




ライアンが手に入れたものは
マイルのためだけに飛んでいた自分に与えた
新しい翼




人は 今まで持たなかった選択肢を“持ってもいい”と自分に許した時
自由を感じます


 この仕事を続けてもいい 辞めてもいい
 新しい家族を持ってもいい 持たなくてもいい



ラストシーンの彼の表情から
あなたの“自由”感じてみてくださいね。