メンバーのお名前や雰囲気をお借りしたお話です。
最初のお話はこちら ⇒ 「Winback 1」
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カチャカチャカチャ・・・。
狭い部屋にせわしなくキーボードを叩く音が響く。
クルーズ3日目の朝。
二宮は朝食にも出かけず、ひたすらパソコンに向かっていた。
3台あるパソコンの1つには、16分割された画面に
アルテミスの様々な場所の映像が映し出されている。
監視カメラの映像をハッキングしているのだ。
カチッ。
画面が5階のセミナールームのあるエリアへと切り替わる。
その中の一つに第2セミナールームで講義をしている櫻井の姿も映っている。
今日も参加者は多く、部屋はほぼ満員だ。
と、カメラをまっすぐに見上げた櫻井が素早くウインクをしてくる。
「ふふっ。」
口元を綻ばせた二宮が、第1セミナールームへと画像を切り替える。
監視カメラは通路に3台、部屋の中に4台。
多くのスタッフがモニターやパソコン、マイク、スピーカーなどの機器を設置したり、
パンフレットを用意したりとせわしなく動き回っているのが見える。
今夜はオークションが行われるため、その準備で忙しいのだろう。
今のところ絵の配置は変わっていない。
だが、『春の詩』はオークションにはかからないため、どう扱われるのか注意が必要だ。
午後1時、船は鹿児島港に寄港した。
乗客の大半が半日観光のために下船する閑散期を狙い、
メンバーは再び二宮の部屋に集まっていた。
「え~っ!? 60秒ごと?」
素っ頓狂な声を上げたのは相葉だ。
「そんなの無理だよ。」
奈良から盗み取った資料を分析した結果、展示室のレーザー感知システムのパターンが
60秒ごとに変更されることがわかったのだ。
「入口から絵までの距離はどのくらいだっけ?」
「約20mです。」
「20mか~。結構あるな。」
櫻井が展示室の見取り図を覗き込む。
「レーザーのパターンはわかってるのか?」
「装置の位置からいくつかシミュレーションをしてみましたが
組み合わせは無限だからその場で判断するしかないですね。」
二宮が映し出した展示室の画像には、レーザーの赤い線が縦横無尽に交差している。
「これは・・・。」
松本が絶句する。
人がすり抜ける隙間があるのだろうか。
「かなり難しくないか?」
うまく進めたとしても、60秒以上かかってパターンが変わってしまえば
その瞬間に必ずレーザーに触れてしまうだろう。
「しかも贋作の絵を抱えて行かなくちゃいけないんだろ?」
「それは俺が通風口から降ろすことにした。」
大野が見取り図に記された通風口を指さす。
ちょうど『春の詩』が展示されている真上に一つ位置している。
「通風口は狭くて使えないって言ってなかったか?」
「吹き出し口は小さくて人の出入りは無理だが、ダクトの中を通るだけなら大丈夫だ。
本物の『春の詩』を額からはずして贋作とすり替え、通風口から運び出す。」
「つまりは60秒以内に相葉君が『春の詩』までたどり着けるかどうかに
全てがかかってるってことか。」
全員の視線が相葉に集まる。
「え~、俺? 全然自信ないんだけど。」
≪つづく≫
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ニノさんと内野さん、何を話しているんでしょうね。
ちんまりしゃがんだ格好は可愛いんだけど、表情はすごく真剣。
内野さんって以前私が通ってた格闘技系のジムで一緒のクラスで受けたことがあるので、
勝手に親近感を持ってます(笑)。
河合君にまさかの自分のモノマネされて、「俺、全然見たことないんだけど」(笑)。
言われてみれば確かにあのポーズあるかも。