メンバーのお名前や雰囲気をお借りしたお話です。
長編「マジカルストーム」の番外編的なお話になります。
ご興味のある方はこちらからどうぞ ⇒ 「マジカルストーム 1」
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結局、どうしても送るという智くんと一緒に、タクシーで家に帰ってきた。
「へ~、櫻井さんって翔っていうんだ。
なんかカッコイイね。」
智くん特有のイントネーションで呼ばれた名前に
どくんと心臓が跳ねる。
「・・・そ、そうかな。」
ゲームの中のように、いつかこの名前で呼んでくれる日が来るのだろうか。
「うわぁ、本が一杯。」
ドアを開けた途端、智くんが目を丸くする。
まあ、自慢じゃないが俺の部屋は物で溢れている。
その大部分を占めているのが医学書と資料だ。
「え? 櫻井さんってお医者さんなの?」
そういえば居酒屋では当たり障りのない会話しかしていないから
職業は知らなかったか。
ゲームの中では色々と話していたから、すっかり話したつもりになっていた。
「やっぱりね。頭よさそうだと思った。」
「ははっ、そうでもないさ。」
ソファの上に散らばっていた資料や部屋着を床に落とし、
なんとか座る場所を確保する。
「冷やした方がいいんじゃない?
保冷剤ある?」
「あ~、確か冷蔵庫にいくつか入ってると思う。」
まあこれだけ酷いと冷やしても青あざにはなるだろうが、少しはましか。
智くんが保冷剤をタオルで巻いてくれた物を患部に当てる。
「食事はどうするの?」
「今日は腹が痛くて食べられそうもないから
栄養ドリンクでも飲んでごまかすよ。」
「そんなんで大丈夫。」
「普段もよくやってるから大丈夫。
ほら、もう行けって。」
今から居酒屋に行ってもすでに30分は遅刻だ。
大将には断りの電話を入れておいたが、
一番忙しい時間帯にこれ以上足止めするのは申し訳ない。
「うん。
・・・明日もお仕事なの?」
「いや、明日は休みだから・」
休みだから一日中智くんに張り付いているつもりだったが
これではちょっと難しそうだ。
「じゃあ、明日、ご飯作りに来るね。」
「え?」
「だってそれじゃ外に出かけられないし、
冷蔵庫の中にも何もなかったよ。」
「ははっ、面目ない。料理は全然できないんだ。」
「そうじゃないかと思った。
じゃあ明日ね。」
元気よく手を振る智くんを複雑な思いで見送る。
「ふ~・・・。」
なんだか妙な事になってきた。
親しくならなければとは思ったが、こんなに一気に近づいてしまうと
逆に不安になってくる。
智くんがゲームに取り込まれる前とは
あまりにも大きく違ってきてしまっているからだ。
力学系の状態にわずかな変化を与えると、その変化がなかった場合とはその後の状態が大きく異なってしまうという、いわゆるバタフライ効果と呼ばれる現象。
この変化は未来にどんな影響をもたらすのだろうか。
だが、何がどう変化しようが、俺の至上命題は智くんの命を助けること。
ただそれだけだ。
それ以来、智くんはちょくちょく俺の家に遊びに来ては
食事を作ってくれたり部屋を片付けてくれるようになった。
俺も勉強を教えたり、劇団の人間関係の相談を受けたりして、
俺たちの距離はぐっと縮まった。
そしてXデーが近づいたある日、俺は思い切って智くんに、事故に遭って死にかけ、
ゲームに取り込まれてしまうという未来の話をした。
しかし、
「え~っ、なにそれ。 転生したら無敵でしたみたいなコミックの話?」
案の定、智くんは全く信じてくれなかった。
≪to be continued≫
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翔さんと上田くんのコラボ、「墓場にとか嵐では書かないからね」(笑)。
いえいえ、嵐さんでもダークな曲とか書いてくれてもいいんですけど。
交互に作詞してるけど、それぞれの特徴が出てましたね。
なんと「だれかtoなかい」の新MCにニノさん!
前回のピンチにいい感じで盛り上げてたものね~。間違いない(笑)。
これで誰かメンバーがゲストに来るとかやってくれないかな~。