メンバーのお名前や雰囲気をお借りしたお話です。
長編「マジカルストーム」の番外編的なお話になります。
ご興味のある方はこちらからどうぞ ⇒ 「マジカルストーム 1」
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「いってぇ~。」
腹を押さえて座り込む。
「櫻井さん! 大丈夫?」
心配そうに下がった眉。
ふふっ、こんな顔ばっかさせてるな。
ゲームから戻って1週間。
俺の中ではまだゲームでの戦闘の記憶が色濃く残っていて、
あんな化け物のようなモンスターを相手にしていたのだから
ただの人間なんて朝飯前だと思っていた。
要はアクション映画を見たばかりの観客のように
自分が強くなったと錯覚していたのだ。
だが、現実はそう甘くはない。
実際には殴り合いの喧嘩なんてしたことのない俺は
めっちゃ弱かったのだ。
考えてみれば僧侶の時も槍を持って呪文を唱えていただけだった(笑)。
「うわ~、血が出てるよ。」
俺の顔をタオルで拭ってくれる。
どうやら殴られた時に唇が切れたようだ。
「たいしたことないさ。そっちは大丈夫か?」
「僕は大丈夫。 櫻井さんが助けてくれたから。」
助けたってほどのことはやってはいないが、
多少でも時間が稼げたせいで通行人の目に止まることとなり
騒ぎが大きくなるのを恐れた連中がすぐに引き揚げてくれたのだ。
「立てる?」
智くんに支えられて立ち上がる。
「くっ!」
「あっ、痛い?」
顔も手も腹もあちこちが痛い。
ゲームの中だったら回復呪文ですぐに完治するのに・・・。
「回復。」
小さく唱えてみる。
が、当然何も起こらない。
「ふふっ・・・。」
我ながら馬鹿なことを。
「さ、櫻井さん? ほんとに大丈夫?」
「え? 全然平気だって。ほら。」
すごく痛いけど何でもない風を装う。
「ほんとにごめんなさい。 僕のせいで。」
「いや、別に智くんのせいじゃないさ。」
「でもどうしてここに?」
「え? あ~・・・ちょっと用事があってさ、たまたまね。」
まさか後をつけていたなんて言えるはずもなく適当に言葉を濁す。
「あいつら、いったいなんなんだ?」
「たぶん・・郷太の取り巻きだと思う。」
「郷太?」
「うん。同じ劇団のメンバーなんだけど、前から僕のことを目の敵にしていて
何かと意地悪してくるんだよね。」
あ~、そういえばそんな話を聞いたことがあった。
大物歌手の息子で、たいしてうまくもないのにいつも主役なんだって。
要は実力では智くんに敵わないから、踊れなくさせようとしたってわけか。
だがこれは意地悪の限度を超えている。
「そうか。でも智くんに怪我がなくてよかったよ。」
ん? 怪我がなくてよかった?
もしここで智くんが怪我をしていたら、バイクには乗らなかったのだろうか。
だったら俺のしたことはかえってまずかったんじゃ・・・。
それとも怪我をしたからバイクに乗ったのか?
いや、ゲームの中で会った智くんは怪我なんてしていなかった。
だとしたら、俺がいない時間軸の時にはこの結末はどうなったのだろうか。
「櫻井さん?」
黙り込んだ俺の様子を誤解したのか、智くんがまた心配そうに覗き込んでくる。
「あ~、ごめん。何でもないんだ。
それよりこれからバイトだろ? 急がないと遅刻しちゃうぞ。」
≪to be continued≫
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タイムパラドックス系ってすっごく好きなんですけど難しいので手を出さないようにしてたのに、思いがけずメインのストーリーじゃないところで関わってきちゃって(笑)。
考えれば考えるほどドツボに嵌まっていくんですよね。
久しぶりに伊東の温泉に行ってきました。
「竹あかり」というイベント(?)をやっていて、川沿いの小径にこんな感じの
あかりが並んでいてすごく幻想的な雰囲気でしたよ。