GO WEST!GO テルメズ!!① 〜中央アジアの仏教伝播〜 | 世界の切れっ端

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〜ひっそりと生息中@TOKYO〜

気付けば今年も残り2ヶ月・・・。

街路樹の黄色い葉っぱが散ってしまい、タシケントは冬に向けて暖房設備(セントラルヒーティング)が稼働し始めた。

今年も冬支度が始まる。。2022年も終わりかぁ。

 

そんな先日、目覚めた途端に頭の中で GODAIGOの「ガンダ〜ラ♪ガンダ〜ラ♪」って歌声が鳴り響いていたのは、年を越す前にウズベキスタンの仏教について書き残しておけというお告げ(?)?

と勝手に解釈し、遡ること数ヶ月前にパトロールしに行ったテルメズの仏教遺跡について書き残しておこう。

 

***

 

ウズベキスタンの国民の約90%(もしくはそれ以上)がムスリム。

「ソ連の影響でなんちゃってムスリムが多いから、みんな酒飲むよ〜」と聞いてはいたものの、実際は全然違う!

ゴリゴリの敬虔なムスリムが増えてる。特に若い世代の人たち。

私が初めてウズベキスタンに旅行に来た8年前と比べて、スカーフを被っている女性の割合がめっちゃくちゃ増えてる。

これは住んでるウズベク人もそう感じているらしい。

ウズベク文化がイスラムに根付いていることもあり、アイデンティティを求めた結果そこに行き着くのかも。

 

でもウズベキスタン含め現在中央アジア諸国が所在するこの地が8世紀にイスラム化する前は、民族分布が今とだいぶ異なり、現在大部分を占めるテュルク系ウズベク人とは異なり、ペルシア系のソグド人が多かった。

(もちろん、今もウズベキスタンはじめタジキスタン等にタジク人などペルシア系の人はいます)

それに多様だったのは人種だけでなく、信仰されていた宗教だってそう。

ゾロアスター教だったり、マニ教だったり、キリスト教だったり、ミトラ教だったり、、そして仏教も!!

 

何を隠そう(いや別に隠されてもないけど…)、仏教は、仏陀が生まれた現ネパールから北上して中央アジア・東トルキスタン(←中国では新疆ウイグル自治区と呼ばれる地域)を通る伝播ルートもあったのです。

 

↓下記の赤矢印です。Wikipediaさんからお借りしました(こちら

 

 

毎度毎度、前置きが長くなるので、ここでストップ。

 

かいつまんで言うと、今やイスラームが主流になっているものの、現在も中央アジアから東トルキスタンにかけて、仏教遺跡がたくさん残っている、ということが言いたかったのです。。

 

***

 

閑話休題。

 

19世紀後半〜20世紀前半にかけて、ヨーロッパ人や日本人の探検家が、これらの地域で砂漠に埋もれた仏教遺跡を多数発掘している。

日本では、1902〜1914年(明治35年〜大正3年)に浄土真宗本願寺派の法主・大谷光瑞が派遣した大谷探検隊が有名。

※この探検隊は、今でいう東トルキスタン(=中国では新疆ウイグル自治区)を中心に探索

 

イスラームがこの地に浸透して以来の数百年間、砂に埋もれて忘れ去られた沢山の貴重な仏教遺跡が発掘されたわけだけど、そのうちのベゼクリク千仏洞には、こんな壁画が!

 

↓東アジア人の僧(右)と、恐らくソグド人だろうと言われている僧(左)

この左のお坊さんみたいな人、今でも中央アジアにいるいる!

よく見ると、髪が茶色っぽくて目が青い。

前歯がすきっ歯だけど、これは別に中央アジア出身者に多く見られる特徴というわけではありません(笑)

 

このベゼクリク千仏洞には、ヨーロッパ人やインド人、ペルシア人など、多種多様な人物が描かれており、当時から文明の十字路だったことが浮かばれる。

 

 

そういえば、このベゼクリク千仏洞、火焔山(かえんざん)の付近にあるんですが、、

 

火焔山といえば・・・、西遊記!

 

西遊記といえば、ドラえもんの映画「のび太のパラレル最遊記」!

と連想するのは私だけじゃないはず。懐かしい名作だわ!

 

私が幼稚園に入る前くらいだったかな。映画を観に行った覚えがあるんだけど、ここに出てくる超重要キャラのリンレイ(本名:紅孩児)に、ある意味心を鷲掴みにされた私。

 

↓リンレイくん(左)と三蔵法師さま(右)

また汚い手描きですいません。許して藤子先生。。

 

家に帰っても彼のことが頭から離れない。。

 

想いが募り、ついに母親に気持ちをぶつける!

 

「お母さん、リンレイって中国人なんやろ。なんで髪が茶色目が青いん?どっちも黒ないとおかしいやろ」

 

回答に困った母親により、しばらくお菓子に困窮させられるという刑に処された遠い日の記憶。。

 

 

でも、よくよくこの西遊記の舞台となった火焔山付近の仏教壁画に描かれた人たちの姿を考慮すると、リンレイが茶髪に碧眼であっても全くおかしい話ではないんだろうな。

 

***

 

さてさて、舞台はまた西に移り、現在のウズベキスタン。

 

アフガニスタンと国境を接する南部を中心に仏教遺跡が点在している。

今でも日本の立正大学などが調査を行なっているが、中でも特に当地の仏教関連文化遺跡に再び光を当て、研究・保存に偉大な足跡を残された加藤九祚(かとうきゅうぞう)先生(1922年〜2016年)の業績は非常に有名。

 

 

ということで、多くの日本人研究者たちを魅了してきたこの地の仏教の残り香を求め、スルハンダリア州は州都テルメズへ出発!!

 

 

果たして、リンレイくんも現れるか!?

 

(続く)