抗がん剤治療を初めて、しばらくしたら、髪が抜け始めました。
髪は本当に抜けました。
家の廊下をほうきで掃いてみると、ちりとりにいっぱいの髪が落ちていました。
それを見たとき、思わずぞっとしました。
歩きながらも、髪が抜けていたのでしょう。
シャンプーをしていると髪が抜けて、手にいっぱいついてきました。
ブラシで髪をとかすと、ブラシにいっぱい髪がつきました。
本当に恐ろしかった。 どこまで抜けるんだろうと思いました。
私は、昔から髪が多くて、かたくて、太くて、それがコンプレックスでした。
みんなから、本当に髪が多いよねとよく言われていました。
ポニーテールにするとまとめた髪の直径が5センチくらいはあるのではないかと思えるほど・・・。
とにかく多くて多くて、まとまらなくて、ボリュームがすごかった・・・。
でも、そのおかげで私は、抗がん剤の治療中、ウィッグも、帽子も、スカーフも必要ありませんでした。
抗がん剤治療の最後まで、私の髪は、残ったのです。
5分の1くらいの量になってしまいましたが、私は最後まで自分の髪の毛だけで過ごせました。
それは、私にとっては、思いがけず嬉しいことでした。
普通に、外を出歩いても、 私が抗がん剤の治療中であるとは、誰にも気づかれませんでした。
長い間のコンプレックスが私を助けてくれました。
人間、何が役に立つかわかりませんね。
ただ、髪は、たくさん抜けてしまったので、抗がん剤終了後、髪がはえ揃うまでの2年間くらいは
美容院には行けませんでした。 その間は自分で髪を切っていました。
抗がん剤の治療で、確かに髪は抜けますが、私のように、抗がん剤の治療の最後まで、髪が残る場合もあります。
副作用は、人によって違います。
不幸にして、これから、抗がん剤を受けなければならない、あるいは、現在抗がん剤治療中の皆さん、
副作用がどうでるかは、やってみなければ、わかりません。
案外私のように、髪がすべて抜けずに済むかもしれません。
先日美容院に行った時、そこの美容師さんから、「この間抗がん剤の治療中のお客様がいらして、カットして帰って行かれた。」と聞きました。
髪が、まだらに抜けていて、かなり薄くなっていたそうですが、「気分転換になるから、美容院に来たの」
と言っていたそうです。
私とは反対に、抗がん剤で髪が抜けても、美容院に行くという選択をする方もいらっしゃいます。
抗がん剤をやめると、本当に髪ははえてきます。
抜けるのは一時的なものです。
はえそろうまでの時間は、個人によって違いますが、必ず、髪は元に戻ります。
あれから、十数年たった今でも、シャンプーをしている時、手に、抜けた髪がからんでいるのを見ると、
時々、ドキッとする時があります。
抗がん剤で髪が抜けた時のことが、突然フラッシュバックします。