先日、お伝えした男子生徒の一番年長のエドモンドが、レッスン室に入るなり、”○○○(私の母校)、受からなかったよ。”と伝えて来た。
ちょっと悲しそうに、でもすぐいつものお調子者キャラに戻って、いろいろと語り始めた。滑り止めに受けた大学にまず入学して、ビジネスを専攻する、そうして卒業後は弁護士目指してロースクールに行くつもり。ビジネスの弁護士になりたい。中国語も活かせるかも。
(彼は中国系アメリカ人。英語も中国語も話せる。)あんなに私の母校に入りたがって、通知が来るまで、悶々とした日々を送っていたはずの彼だが、やけに明るい。”あなたにしっかりとしたプランがあるようで安心したわ。”と言った。
大学ではとりあえず、プリロウに入るつもり。私は、”へー、プリメド(Premed: 医学部準備課程、と言った感じだろうか) は知ってたけど、プリロウってのもあるんだ、” と聞くと、彼は、そうだよーといって、”卒業後、ロースクールはコロンビアに(Columbia University: マンハッタンにあるアイビーリーグ)行きたいんだよ。あそこのローは○○○(私の母校)よりレベル高いしね。”
私:”そーねー。”(格下で悪かったなー!!)
あっさり吹っ切れたように見えて、こうなるまでにけっこう落ち込んだのかもしれないな、と思った。心無しか、先週より落ち着いて大人びたように見える。”先週はなんか楽しいことあった?”
と聞いてくるので、”いつも通りよ。”と答えると、
”人生楽しまなきゃだめだよー”と、説教じいさんのような事を言って来た。
お母様も、彼の進路がはっきりした今、もう無理にピアノのレッスンに通わなくてもいいとおっしゃったという。
ただし、いつまで、というのは未定らしいが。
普通、秋入学(または春だったり、随時入学できる所もある)のアメリカ合衆国の大学。
日本と違って一斉に卒業や入社時期はないけど、それでも、彼のように、進路がいまごろはっきりするケースも多いから、
春は日本のように、別れの季節にもなる。
入学予定の大学は中堅の州立大学。評判だって悪くない。車で2時間くらいかかるから、さしあったって寮に入る事になる。
大学では、勉強に没頭するのだ、という。
”こないだは、大学入ったらパーティーいっぱい行くって言ってたじゃない。”と言うと、
”お父さんが学費を出してくれるんだけどさ、ちゃんと勉強しないと学費ストップするって言うんだよ。”
”あはは。”
このぶんだと彼とこうしてたあい無くしゃべれるのも、あとわずかになりそうだ。
少し寂しい。
レッスン時間が終わって部屋を出る時、”いろんなことが変わり目のシーズンね”
というと、”(先生も決まった事ばっかやらずに)変わんなきゃだめだよー”
とまた説教されてしまった。