同姓同名、または子供時代の味 | ぱね便り(旧:V町便り)

ぱね便り(旧:V町便り)

スウェーデン暮らし12年目。おかしいな、いつの間にそんな時間が経ったのだ?と、毎年同じことを考えています。

それを口に入れ、味を感じた瞬間に、子供時代に食べたあの味が一気に蘇ってくる、という食べ物は、きっと誰にでもあると思います。

ぱねの場合、それは「ずんだ餅」。私と妹が小さい頃、仙台のおばあちゃん(ハハの母)がよく作ってくれた。だからずんだ餅は、ぱねにとっては今でも「おばあちゃんの味」なのである。 

 

 

 

仙台名物ですな。:-)

さて、J兄にとって「食べるとその味で子供時代が一気に蘇る」のは、risbollarと呼ばれるお菓子だそうです。英語にすれば「ライスボール」。

・・・・ライスボール。

これは「おにぎり」の英語訳でもあります。試しにググる先生でricebollで画像検索してみますと、見事にずらりとさまざまな種類の「おにぎり」が出てきます。・・おいしそうです(泣)。よく見ると、部分的にはイタリアの「アランチーニ」も出てきているようだが。アランチーニも「ライスボール」だもんね。揚げてるけど。 

 

 

 

さて、同じググる先生の画像検索で、ricebollのスエ語訳であるところのrisboll(単数形)またはrisbollar(複数形)を検索してみますと・・

・・そこには、おにぎりとアランチーニだけでなく、謎の白いお菓子のようなものが出てきます。

こういうの。 

 

 

 

これが、スエで「ライスボール」と呼ばれているものなのです。日本の「おにぎり」も「ライスボール」と呼ばれている点では同じなので、いわば同姓同名の食べ物ですが、全くの別人であります。:-D

このライスボール、つまりはrisbollar(リースボッラル)。スウェーデンのお菓子ではあるけど、スウェーデン全国で食べられているお菓子ではありません。最南部・スコーネ地方のお菓子なのです。J兄はスコーネの中心都市・マルメで生まれて育っているので、彼にとっては、これはまさに「子供の頃に大好きで食べていたお菓子」の味なのだ。それも、Jママが手作りしてくれたもの。

先週の週末、J兄はいきなり、この「ライスボール」が食べたくなった。さっそくママに電話をかけ、レシピを聞き出すJ兄。

材料は

バターまたはマーガリン
オートミール(havregryn)
卵白
砂糖
ぽんぽん・・・ 実は日本語でなんと呼ぶのか知らないのだが、お米を「ぽん」と膨らましたアレです。

 

なので、材料はシンプル。作り方もシンプル。レシピの例はこちら。 

 

 

 

台所でしばしの格闘の後、できあがったライスボールをお皿に乗せて居間に持ってきたJ兄は、

「はいどうぞ」

と、私に1個さしだした。どれどれ、と食べてみるぱね。

・・・・・
・・・・・
・・・・・

お砂糖と、オートミールと、バターと、「ぽんぽん」の味がします・・・もちろん甘いのだが、なんというか、優しい味。やっぱり「ぽんぽん」の味が効いてるんだな、とぱねは思ったが、

J兄は、一口食べて、

「ううううううー、そうそう、この味!!子供の頃に食べた味!おんなじ味だー!」

と、目をつぶって感動している。

その姿を見て思った。私も「ずんだ餅」を食べるときは、こんな顔してるに違いないのだ。きっと誰にでもある「子供の頃の味」。それを一口食べただけで、子供の頃の記憶が、一気に蘇ってくる味。

皆さんにとっては、それはどんな食べ物でしょう?