私もやりましたorz | ぱね便り(旧:V町便り)

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スウェーデン暮らし12年目。おかしいな、いつの間にそんな時間が経ったのだ?と、毎年同じことを考えています。

ぱねのスロヴァキアの友人、マヤ。彼女については以前にも日記に書いています。

 

 

マヤは、EUで通訳をしている。英語・フランス語・ドイツ語・スウェーデン語からスロヴァキア語に訳す通訳である・・・よくこんなにたくさんの言語を扱えるなあと思うけど、ヨーロッパで通訳してる人たちってこれくらいが普通だからなあ・・すごすぎる。

マヤと私の共通語はドイツ語(上記の日記で詳述していますが、彼女はスロヴァキア人だけど、東ベルリンで学校に通ったので、ドイツ語はネイティブ並みなのだ)。彼女と知り合ったのはスウェーデンでのスウェーデン語夏季講座で、同じ仕事をしていることもあって、その時からお互いにいろんな話をしていました。

その中で聞いた忘れられない「EU通訳あるある」話のひとつが、

「EUの会議の同時通訳ブースでよく遭遇する間違い」

だったのです。

国際会議場の同時通訳ブースは、「会議場の上階に、会議場を見下ろす形でぐるりとついている」場合が多いと思います。EUがどうかは見たことないから知らないけど、まあイメージとしてはあまり変わらないんじゃないかな。

ブースは言語ごとに区切られていて、各言語ブースに2名から3名の通訳者が座って交代で通訳に取り組むわけです。EUには公用語が24あり、EU議会では議員全員が「自分の母語」で話す権利を持つので、例えばクロアチアの議員がクロアチア語で発言したら、その発言はその会議に参加している全議員の言語にそれぞれ同時通訳されるわけですな・・

・・・すごいよね。:-)

もちろん、自分の母語ではなくて英語で話せる議員は英語で話しても構わないので、英語に不自由しない議員は英語で発言することが多いみたいだけど、マヤをはじめ英語から各国語に通訳している通訳者の本音を聞くと、「自分で思っているほど英語がうまいわけではない政治家」が圧倒的に多いそうで、「母語の訛りがきつすぎて聞き取りにくい英語」だとか「母語の慣用表現をそのまま英語に直訳しているらしく、意味がなんだかよくわからない」とかいうケースで通訳者が死ぬ思いをする、ということもあるんだって。「ヘタに英語なんぞ使わず、頼むから自分の母語で話してくれ」というのが、EUに限らず、話者に対する通訳者の切なる願いである点は世界共通であります。「外国語(英語)を話せる自分」をアピールしたいという願望を持っている人は世界中どこにでもいるものだけど、その外国語が自分が思っているほどにはうまくない場合、結局は言いたいことがきちんと伝わらず、コミュニケーションの意味がなくなるのよね・・

・・・それはともかく。

複数言語の通訳が大勢関わるEUの会議では、それぞれの言語で作成された各種資料が各言語のブースに配られるそうなのですが、

マヤたちスロヴァキア語通訳のブースには、結構な確率で、「スロヴァキア語じゃない言語で書かれた資料」が届くそうなのである。そして、マヤたちのところに届くべきスロヴァキア語資料は、本来その「スロヴァキア語じゃない言語で書かれた資料」を受け取るべきであった言語ブースに届いている、というのだ。

その言語とは。

スロヴェニア語。

スロヴェニア語ブースにスロヴァキア語で書かれた資料が届き、スロヴァキア語ブースにスロヴェニア語で書かれた資料が届く。

あまりに頻繁に起きるので、どちらの言語の通訳ももうそれには慣れっこになっており、スロヴァキア語ブースもスロヴェニア語ブースも、間違ったのが届くたびに、

「あ、また来た」

と、お互いのブースの間を往来して、「はい、これねー。はい、ありがとー」と、資料を交換しあっているそうなのである。あはははははー・・

・・・と、このエピソードを聞いた時、ぱねは無邪気に笑ったのだよ。
・・・この時はね。

=== ===

去年の秋、「ノーと言えない」ばかりに、英語からの翻訳を引き受けてしまった話は日記に書きました。

 

 


ルー語に訳してしまいたい衝動と必死に戦いながらもどうにか納品した翻訳原稿はただいま、こちらのサイトに載っています。

 

 


私が訳したのは、今のところポルトガル、デンマーク、ドイツ、リトアニア、キプロス、スペイン、マルタ、ブルガリア、フィンランド。それぞれの国の文学事情を、それぞれの国の文芸関係者(研究者、作家などなど)が

英語で

紹介するという文章だったわけですが・・・

多分、書き手もそれなりに英語は得意なはずだし、ネイティブチェックなんかも入ってるはずなんだけど、「読みやすい・わかりやすい英語文」と書く人とそうでない人の差が、ずいぶん大きいなあという印象を受けました。まあそれもこれも、私の英語のレベルがそもそも大したことないせいなんだけど(すんません)、やっぱり、母語が英語ではない人が書いた英語文というのは、文構造とか表現の仕方とかも、おそらく相当「母語」に引きずられる部分があるんだろうなあ・・とも、改めて思ったのであります。

このEUの文学プロジェクトはまだ進行中なので、今年に入ってからもポツポツと原稿が来ているのですが、

先週、ぱねの元に飛び込んできたのは、「スロヴェニアの現代文学」を紹介する文章でした。

苦悶しながらもどうにか一通り日本語に訳し、一晩「寝かせて」、翌日改めて自分の訳した文章をチェックしたぱね。

・・・・1段落目を無事クリアし、2段落目に出てきた単語を目にしたとき、ぱねは飛び上がった。

そこには

「スロヴァキアでは・・・・」

と、書かれていたからである。orz

もちろん、「スロヴェニアでは・・」の間違いである。なんでスロヴァキアなんて書いたんだ私は??と冷や汗をかきながら、「スロヴェニア」に訂正したぱね。そして心の中でマヤに謝った。

ごめんマヤ。

私もやっちゃったよ・・・・・orz

スロヴェニアとスロヴァキア

英語で書くと
Slovenia
Slovakia

・・・・
・・・・
・・・・
・・・・

あ、こりゃダメだ。

 

AustriaとAustralia並みに、間違うなという方が無理なレベルですな・・(←失礼極まりない結論