今年の観劇納めは歌舞伎で。
千穐楽にお邪魔してきました。
第三部
一、猩々(しょうじょう) 長唄囃子連中
【配役】
猩々 / 尾上松緑
酒売り / 中村種之助
猩々 / 中村勘九郎
【物語】
中国・揚子江のほとり。猩々は酒売りに勧められるままに大好きな酒を飲むと、酒の徳を謳いながら、上機嫌に舞って見せます。やがて、酒売りに酒壺を与えて猩々は打ち寄せる波間に姿を消しますが、その酒壺は…。
猩々とは古くから中国に伝わる水中に棲む霊獣で、酒を好み、無邪気に舞い戯れる妖精のような存在です。酒に酔った猩々が水上での戯れを見せる猩々舞がみどころで、酒好きの霊獣からはあふれる愛嬌と品格が漂います。(公式HPより)
松羽目ものといって
能舞台の様式を取り入れた舞台で
板目に老松がドドーン
その前に長唄囃子方の皆さんがドーン
老松の緑に赤の毛氈
猩々は全身真っ赤だし
酒売りは白と黒と金の装束で
これはなんだかクリスマスみたい☆
華やか〜おめでたさ満々。
本当に和の色使いは
斬新な時がありますよね。
猩々2人?2匹は
シンクロが多いけれど
伸ばした時の指の形や
酒を煽る時の首の振り方がちょいと違う。
酒をみつけただけで
表情がにんまりする勘九郎さん
それまで能然としていた松緑さんが
最後にニヤリと笑ったり
なんかよく見えるなぁと
思ったら
こりゃやっぱり
目を手術したからかしら
舞台がめっぽう明るかったし。
種之助さんの酒売りが
若々しかった(若いんだけど)
きっと売る酒は
キリッとした味わいだろうなぁ
な感じ。
***
泉鏡花 作
坂東玉三郎 演出
二、天守物語(てんしゅものがたり)
【配役】
富姫 / 中村七之助
姫川図書之助 / 中村虎之助
舌長婆・近江之丞桃六 / 中村勘九郎
薄 / 上村吉弥
小田原修理 / 片岡亀蔵
朱の盤坊 / 中村獅童
亀姫 / 坂東玉三郎
播磨国姫路にある白鷺城。この天守閣の最上階は、人間たちが近づくことのない、美しい異形の者たちが暮らす別世界。この世界の主こそ、美しく気高い富姫です。そこへ富姫を姉と慕う亀姫が訪れると、久しぶりの再会を喜ぶ富姫は、亀姫に土産として白い鷹を与えます。その夜、行方知れずとなった城主播磨守の白鷹を探しに、播磨守に仕える姫川図書之助が天守閣へとやって来ます。天守閣で出逢った富姫と図書之助。図書之助に恋心を抱き始めた富姫は自分に逢った証として、城主秘蔵の兜を渡しますが…。(公式HPより)
今年の5月の平成中村座。
演目の一つが
天守物語でした。
と、いうか天守物語だから
姫路だったとも言えます。
なぜかと言えば
小説の舞台は姫路城の天守閣だから。
今年、生誕150年だった泉鏡花が
舞台化を熱望した天守物語。
この時も感じましたが
実際に天守に登ってみると
人間ならざる者たちが
居てもおかしくない
なんなら居るんだろうなぁと
思わせてくれるようなヒタヒタとした感じ。
そして、舞台を観ながら
あぁ、侍女たちが釣竿を
差し出しているのはあの窓だろうな
図書之助が昇ってきたのは
あの階段だろうな
大きな異形の物に灯りを消されたのは
3階だったろうかとか
(下の階の方が広くて暗闇も大きい)
歌舞伎座の舞台が
果てしなく広がっていきます。
あらかたは↑過去に書いたので
配役の違う方々を。
薄は姫路では中村扇雀さんでしたが
今回は上村吉弥さん。
薄は5回目という吉弥さん
しっかり具合がたまらない。
旦那様と富姫を敬いながら
◯◯なさいましなみたいなね
ご意見もちゃんとする。
主従なんだけど長い時間を
共に生きてきた関係性が分かります。
朱の盤坊、ん?松緑さん?と
一瞬思ったほど
荒事みたいな乱暴でおおらかさが
伝わってきました。
昼の部では初音ミクさんと
今昔饗宴千本桜で主演。
これって獅童さんの代表演目に
なったように思います。
楽しそうだけど行ったことないので
いつか肌感を味わってみたいですね。
昼の部と言えば
そちらにも出演の勘九郎さん。
最後に富姫と図書之助を救う
彫刻師(でいいのか?)の桃六さん。
そのお名前にある「丞」って
「たすける」とか「すくう」
という意味があるそうで。
偶然なのか、鏡花先生の意図なのか
面白いなぁと思ったことでした。
そして、目が見えるようになる2人が
自分の白内障の手術と重なって
私の桃六は主治医の先生だなぁ
なんても思っておりました、とさ。