歌舞伎座新開場十周年『十二月大歌舞伎』@歌舞伎座 | palestinian-wind

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ワタクシの風に吹かれてみますか?

今年の観劇納めは歌舞伎で。



千穐楽にお邪魔してきました。




第三部


一、猩々(しょうじょう) 長唄囃子連中


【配役】

猩々 / 尾上松緑

酒売り / 中村種之助

猩々 / 中村勘九郎


【物語】

中国・揚子江のほとり。猩々は酒売りに勧められるままに大好きな酒を飲むと、酒の徳を謳いながら、上機嫌に舞って見せます。やがて、酒売りに酒壺を与えて猩々は打ち寄せる波間に姿を消しますが、その酒壺は…。
 猩々とは古くから中国に伝わる水中に棲む霊獣で、酒を好み、無邪気に舞い戯れる妖精のような存在です。酒に酔った猩々が水上での戯れを見せる猩々舞がみどころで、酒好きの霊獣からはあふれる愛嬌と品格が漂います。(公式HPより)




松羽目ものといって

能舞台の様式を取り入れた舞台で


板目に老松がドドーン

その前に長唄囃子方の皆さんがドーン


老松の緑に赤の毛氈


猩々は全身真っ赤だし

酒売りは白と黒と金の装束で


これはなんだかクリスマスみたい☆

華やか〜おめでたさ満々。


本当に和の色使いは

斬新な時がありますよね。



猩々2人?2匹は

シンクロが多いけれど


伸ばした時の指の形や

酒を煽る時の首の振り方がちょいと違う。


酒をみつけただけで

表情がにんまりする勘九郎さん


それまで能然としていた松緑さんが

最後にニヤリと笑ったり


なんかよく見えるなぁと

思ったら


こりゃやっぱり

目を手術したからかしら

舞台がめっぽう明るかったし。


種之助さんの酒売りが

若々しかった(若いんだけど)


きっと売る酒は

キリッとした味わいだろうなぁ

な感じ。



***



泉鏡花 作

坂東玉三郎 演出

二、天守物語(てんしゅものがたり)


配役

富姫 / 中村七之助

姫川図書之助 / 中村虎之助

舌長婆・近江之桃六 / 中村勘九郎

薄 / 上村吉弥

小田原修理 / 片岡亀蔵

朱の盤坊 / 中村獅童

亀姫 / 坂東玉三郎


【あらすじ】

播磨国姫路にある白鷺城。この天守閣の最上階は、人間たちが近づくことのない、美しい異形の者たちが暮らす別世界。この世界の主こそ、美しく気高い富姫です。そこへ富姫を姉と慕う亀姫が訪れると、久しぶりの再会を喜ぶ富姫は、亀姫に土産として白い鷹を与えます。その夜、行方知れずとなった城主播磨守の白鷹を探しに、播磨守に仕える姫川図書之助が天守閣へとやって来ます。天守閣で出逢った富姫と図書之助。図書之助に恋心を抱き始めた富姫は自分に逢った証として、城主秘蔵の兜を渡しますが…。(公式HPより)



今年の5月の平成中村座。


演目の一つが

天守物語でした。


と、いうか天守物語だから

姫路だったとも言えます。


なぜかと言えば

小説の舞台は姫路城の天守閣だから。


今年、生誕150年だった泉鏡花が

舞台化を熱望した天守物語。



この時も感じましたが

実際に天守に登ってみると


人間ならざる者たちが

居てもおかしくない


なんなら居るんだろうなぁと

思わせてくれるようなヒタヒタとした感じ。


そして、舞台を観ながら


あぁ、侍女たちが釣竿を

差し出しているのはあの窓だろうな


図書之助が昇ってきたのは

あの階段だろうな


大きな異形の物に灯りを消されたのは

3階だったろうかとか

(下の階の方が広くて暗闇も大きい)


歌舞伎座の舞台が

果てしなく広がっていきます。



あらかたは↑過去に書いたので

配役の違う方々を。


薄は姫路では中村扇雀さんでしたが

今回は上村吉弥さん。


薄は5回目という吉弥さん

しっかり具合がたまらない。


旦那様と富姫を敬いながら

◯◯なさいましなみたいなね

ご意見もちゃんとする。


主従なんだけど長い時間を

共に生きてきた関係性が分かります。



朱の盤坊、ん?松緑さん?と

一瞬思ったほど


荒事みたいな乱暴でおおらかさが

伝わってきました。


昼の部では初音ミクさんと

今昔饗宴千本桜で主演。


これって獅童さんの代表演目に

なったように思います。


楽しそうだけど行ったことないので

いつか肌感を味わってみたいですね。



昼の部と言えば

そちらにも出演の勘九郎さん。


最後に富姫と図書之助を救う

彫刻師(でいいのか?)の桃六さん。


そのお名前にある丞」って

「たすける」とか「すくう」

という意味があるそうで


偶然なのか、鏡花先生の意図なのか

面白いなぁと思ったことでした。


そして、目が見えるようになる2人が

自分の白内障の手術と重なって


私の桃六は主治医の先生だなぁ

なんても思っておりました、とさ。