イチゴ頭がやってきた | 化石の日々

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オフィス ジオパレオント代表のサイエンスライター 土屋健の公式ブログです。
化石に関する話題,ときどき地球科学,その他雑多な話題を書いていきます。

ツーソンショーの三葉虫をお披露目する前(結構良いものを入手できたようです)に,
スウェーデンから面白い三葉虫がやってきたのでご紹介します。

Encrinurus macrourus
エンクリヌルス01


通称「イチゴ頭」とよばれる粒々の頭部をもつ三葉虫です。

三葉虫が生息していたのは,古生代とよばれる時代です。
これは,今から5億4000万年前にはじまって,2億5100万年前に終わりました。
この古生代という時代は六つに分割されていて,有名な「カンブリア紀」はその最初の時代になります。
三葉虫は,とくに最初の二つの時代,「カンブリア紀」と「オルドビス紀」に繁栄し,オルドビス紀末の大量絶滅で,その多様性を激減させるのです。
……とはいっても,その大量絶滅ののちも,2億年近く命脈を保つのですが……。

で,今回のこのイチゴ頭は,そんなオルドビス紀末の大量絶滅をのりこえた三葉虫グループの一つ。オルドビス紀の次の時代のシルル紀になって,汎世界的にその勢力範囲を広げた輩です。

頭部からちょこんと出た眼や,イチゴ頭の通称通りの粒々頭部(正確には頭鞍部とよばれる頭部の中央部にある膨らみ)をもっています。

三葉虫を知る人のなかではそこそこ有名な種類なのですが,今回到着した標本でおどろいたのは,この子,“背中”に小さなトゲがあるのです↓

エンクリヌルス02


小さなトゲですが,たしかに凸起しています。おぉ。
いくつかエンクリヌルスの標本を見たことがありますが,「トゲ付き」には初めて出会いました。

この標本は,現在制作中の『We're Trilobites! vol.Silurian』に収録します。
ご期待ください。



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