あの男との時間は意外にもすぐにやってきた。鯨井香生子は「専務はそんなに暇なのか?」「ほんとは専務じゃないんじゃない?」などと思ったりした
翌日の午前中に応接室の前に立つ。ドアをノックする為に手を伸ばすが、手が震えていてノックすることを躊躇う
昨日の今日って、めちゃくちゃ怒って…
マイナスの感情が頭の中を支配する
香生子「このまま帰っちゃうか…」
手を引っ込めると同時だった。応接室のドアが開く。ドアの向こうにはやっぱりあの男が居た
「何してる?ずっとそこに居るつもりか?」
香生子はほぼ無意識だったが、視線を逸らす。男はニヤリと笑うと香生子の腕を掴み、応接室に引っ張りこんだ。そのまま香生子をソファーに座らせ、両手を肩スレスレに置く。香生子は完全に逃げ場を失う。香生子は目をギュっと閉じる。香生子は覚悟を決め、全身の力を抜く
何してんのよ、早く終わらせなさいよ
香生子としては長い長い時間のように感じるが、実際は1分も満たない。やがて
「クククククッ、ハハハハハ…」
男は堪えるような笑いから大爆笑しだす。香生子は目を開ける
香生子「なに…」
文句を言おうとした時
香生子「いったぁ~」
男がデコピンをする。男は香生子から離れ向かいのソファーに座り、足を組む
「何を気にしてる。君がどんなのか知っている。そのうえで見合いをしようと言っているんだ。あの程度は想定の範囲内だ」
と言って再び笑いだす
香生子はこんなヤツとは絶対に結婚するものかと心に決めるのであった
第2話嫌嫌嫌、絶対に結婚しない完
つづく