夜、母鯨井美沙から電話が来る
美沙「お帰り」
鯨井香生子がちょうど帰って来た時に「お帰り」とあまりにタイミングが合うので、もしかして見張られてる?と思い窓から外を見る。が、外は暗くマンションの前の道も見えない。ただ、ライトがついていれば見えそうなのでよーく観察する
美沙「何してんの?別にあなたのこと見てたりしないわよ」
と言われると今度は盗撮されているのではないかと部屋の中を探し始める。実はここに引っ越して来た時、父が業者に調べてもらうとカメラと盗聴機が発見された。香生子はその辺りを中心に探していく
美沙「もう、盗聴も盗撮もしてないわよ」
香生子「じゃあ何であたしの行動が筒抜けなのよ」
美沙「そりゃ親だもん。あなたのすることなんかお見通しよ」
香生子は美沙のことをスゲーと感心する
美沙「それより今日会ったんでしょ?」
会ったわよ、2日間連続で
と言おうとしたが止めた。どうやら会ったことはあの男から親に伝わっているらしい。下手なこと言ってグチグチ言われることは今は避けたい
香生子「まあね」
と曖昧に答えておく
美沙「次の休み戻ってらっしゃい」
香生子「何で?」
美沙「服買いに行こうよ、ほらお見合いに着るやつ」
この言葉から和服でないことは助かったが(成人式の時振袖を着たがろくなことがなかった)
香生子「あるやつじゃダメ?」
美沙「ダメ。せっかくなんだから。たまには一緒に買い物しようよ」
香生子はため息を吐く。親孝行だと思って
香生子「わかったよ、それじゃ土曜日ね」
美沙「楽しみに待ってる」
と、電話を切ると思ったが、この後2時間美沙の話に付き合わされることになった
つづく