ふたり~オリンピックの章~3話目 | あ~やんのどりーむぱーてぃー

あ~やんのどりーむぱーてぃー

わたしの見た夢を皆さんに紹介しています。どうぞ暇潰しに見てやってください(笑)

将「ちっ」

将は舌打ちをする

将「なにやってんだ。めっちゃかっこわりぃ。ああぁー」

将は雄叫びをあげるペダルを漕ぐ足に力を入れ、猛然と走りだす。レース前のミーティングでは、前半ややペースを落としても後半に勝負ということになっていたが、もうそんなことは忘れていた。ただひたすら前の選手を追い、抜くことだけを考えていた



楓「すごい」

将を見てポツリと言う

凛「あれはダメだね」

楓は凛を見る

凛「あんなにとばしたら後半バテてリタイアだな」

楓「でも」

楓は将を見て心がアツくなった



将はどんどん抜いていく。そして

男「バカなヤツ。もう1回オレが地獄に落としてやるよ」

将が横に来たとき、男はスーっと将に近寄るり将の後輪めがけ足を出す

これで終わりだ

しかし、男の足は空をきった。男はバランスを崩し転倒。男はすぐ立ち上がり再スタートしようとするが自転車のフレームが曲がってしまい走ることができなかった

男「ちくしょー」

男はかぶっていたヘルメットを地面に叩きつけた



将は無心だった。ただ前を向いて追って抜いていくことを淡々と繰り返していたやがて前に集団が見えてきた。その集団はトップ集団でまわりを牽制しながら走っていた。そのため、ペースが上がっていなかった。将にはそれが幸いしたのだが・・・



しばらくいた2人だったが

凛「帰ろうか」

楓は首を横に振る

凛「あの彼はダメだって。それに帰ってくるまでまだ時間がかかるし、寒いから」

楓「待ってる」

凛はため息をつき

凛「仕方ない」

楓「帰ってもいいよ」

凛「あたしも見て帰る」

凛はニコッと微笑む

楓「ありがと」

凛「あたし気になるからね」



将が集団に追いつくと、均衡が崩れる。それまで牽制していた選手たちがスピードを上げる。あっという間に将は離されてしまう。それを見た将もまたスピードを上げる。将の頭の中はすでに完走ということはなかった。ただ前の選手を抜くことだけだった



仙石「どーです?」

仙石は今の状況を聞いて顔に手を当てる

仙石「すみません、車の準備をお願いします」

仙石は将がリタイアをすることを考え、将を回収する準備をはじめた



将はただ1人の背中を追いかけていた。ずっと同じくらい離されていて縮まることもない。将はただがむしゃらに追いかけていた




楓「凛」

凛「なに?」

楓「私、走る」

凛はニコッと微笑んだ



ついに将に限界が訪れる

苦しい・・・身体がだるい、眠い。

呼吸が乱れ、足が鉛のように感じた

胸が痛い

ハンドルをにぎる手を離し苦しい胸にもっていこうとした

前を走る男が振り返る

宙「もう終わり?今回も僕の勝ちだね」

将「ふざけんな、まだやれるって」

将は手に力を入れハンドルをギュッと握る。足に力を入れる。そしてさらにスピードをあげた



ゴールに人影が見えた

楓は手に力が入る。やがて姿がはっきりする。その姿は、外国人選手だった。しかし、その背後に・・・



宙「将、君ってたいしたことないね」

将「ふざけんな、絶対抜いてやるからな」

将は下を向き最後の力を振り絞る。ぐんぐんスピードを上げる



仙石は驚いていた。普通なら完走なんてありえない、無茶苦茶なレース運び。でも、アイツはもうすぐ帰ってくる。涙が汲み上げる。

俺はアイツとオリンピックを目指す。それが俺の役目だ

仙石はゴールに向かった



ゴール手前でついにトップに並ぶ。そして、一気に抜き去りゴールに飛び込む

将「どーだ、見たか」

将は意識を失った



楓「私もあの彼のようになれるかな?」

凛「わからない。でも、目指そ」

楓「うん」

2人は手を握り合い、いつの間にか泣いていた



ふたり~オリンピックの章~第3話目終わり