ふたり~設楽楓の章~5話目 | あ~やんのどりーむぱーてぃー

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わたしの見た夢を皆さんに紹介しています。どうぞ暇潰しに見てやってください(笑)

楓はリビングで母の帰りを待った

母「ただいま」

楓「ちょっと話があるんだけど」

楓はテーブルの上に手紙を置いた

楓「これは?」

母は少し驚いた表情を見せたが

母「あのね、出し忘れちゃってね」

楓「嘘」

母「嘘じゃないのよ。あのときは忙しかったし、それに向こうも忙しいと思って。あとで出そうと思ったのよ」

楓「それがなんで隠すようにあったわけ?」

母「…」

楓「もういい、とにかく私は陸上を辞めるつもりはないから」

母「お母さんはね…」

楓「聞きたくない」

楓は部屋に戻った

ベッドにうつぶせになり、いろいろ考える。が、考えれば考えるだけなんだかイライラしてくる



どれだけの時間が経っただろう。外はすっかり暗くなっていた

父「楓、ちょっといいか?」

楓は少しかまえる。母が父になにかを言ったに違いない。父もきっと反対する

楓は深呼吸して

楓「いいよ」

どーせ反対しても続けるつもりだし、なら覚悟を言っておこうと思った

父は笑顔だった

父「お母さんとやりあったって」

怒られると思っていたから少し肩透かしを食らった

楓「まあ」

父「陸上か」

楓「うん」

父「やっぱり姉妹だな」

楓「えっ?」

父「楓には初めて話すが、楓にはお姉さんがいたんだよ」

楓「なにそれ?」

父「楓にはちょっと辛いかもしれないが聞くか?」

そこまで言われて聞かないわけにはいかない

楓は頷く

父「楓はうちに来る前ある施設にお姉さんといたんだよ。そして、楓はリビングにお姉さんは他の家庭に。お姉さんは走るのが好きでな陸上クラブに入ったって言ってた」

楓「なんで他の家に行ったのに、そんなに知ってんの?」

父「それはな父さんの姉さん、つまり…」

楓「忍おばさん?」

父「そう、お前1回会ったけど覚えてないだろうなぁ」

楓は頷く

父「ここに来たばかりのときだからな。お前のお姉ちゃんな、交通事故で亡くなったんだ」

楓は言葉が出なかった

父「それでな、お前のお姉ちゃんが亡くなるちょっと前に言ったらしいんだ。私になにかあったら心臓を妹にあげてって」

楓は胸をおさえ、涙をこぼした

父「その遺言通り、お前はお姉ちゃんから心臓をもらったんだ」

父の顔が涙で霞む。が、優しい顔をしているのがわかる

父「父さんはお前が陸上をすることを止めようとは思わない。でもな、なにか異常があったら辞めることそれが誓えるならやってもいい。母さんにも文句は言わせない」

楓「うん」

楓は大きく頷く

父「よし。そうだ、今度の日曜お墓参りに行かないか?お姉ちゃんの」

楓は大きく頷いた



ふたり~設楽楓の章~5話目終わり



ふたり~オリンピックの章~に続く