七瀬三久(ななせみく)「そこのキミ」
いきなり声をかけられ周りを見る。周りには誰も居ない、どーやらわたしのことらしい
わたし「わたしですか?」
三久「そうそこのキミ」
わたし「なんですか?」
三久「アンケートをしているんだが、この紙にちょちょちょっと名前を書いてくれ」
ものを頼むのに上から目線、そして高圧的でかかわりたくないタイプ。例え上級生と言っても逃げるに限る。わたしは逃げようと走りだした
三久「ちょちょちょ、どこに行くのだ。忙しいのならこれ名前だけ書いてからにしてくれたまえ」
わたしは走って逃げたはずだった、しかし目の前に紙を差し出している。しかも・・・
わたし「足、速いんですね」
三久「そうかな?」
わたし「そんなに速い人見たことはないです」
わたしは足には自信があった。でも、それが今ゆらぐ。だってこの人、背走(バック走)でわたしを抜いて行った。わたしは立ち止まってみた。彼女は背走のまま行ってしまった
わたしはこの間に帰ろうと昇降口へ向かう。靴を履き帰ろうとすると
三久「ちょっと待ったー」
目の前に現れた
わたし「あのう、さっき向こうの方に行きましたよね?」
三久「やっと見つけた獲物…もとい、アンケートに協力してくれる人を逃す私ではないのだよ」
わたし「今、獲物って言いましたよね?」
三久「まあ、そんな昔のことはおいといて」
わたし「今さっきなんですけど」
三久「わかった、先輩命令だ。書け」
わたし「そんな横暴な言い方で、はいそうですかって書けますか」
三久「仕方ない」
三久の目が光る
三久「この通り、書いてください」
いきなり土下座をする
わたし「やめてください」
三久「許してください」
わたし「えっ?」
三久「私が悪かったとは言え…」
昇降口に人がどんどん集まってくる。そして、わたしに視線が次々と刺さる
わたし「ほんとにやめてください」
三久「私は…」
三久が顔をあげる。なんと涙を流している。まわりでわたしたちを見てひそひそ話している
わたし「先輩、あっちで話ましょう」
わたしは彼女を抱き抱え移動することにした
三久「それじゃ、こっちでお話ししましょう」
わたしは彼女に連れられある教室に連れて来られた。そこは、4つの机と椅子が置かれていて1人の女子生徒が椅子に座って寝ていた
三久「さて、この紙に名前を書いてもらおうか」
わたし「さっきまでと違うんですけど」
三久「ガタガタ言わんとさっさと書いたらええねん」
わたしは紙を見る
わたし「入部届けって書いてありますけど、わたし入部するつもりありませんから」
三久「しょうがない、書かなくてもいいけどちょっと待っててね」
彼女が入部届けになにやら書いている。そして
三久「入部ありがとうございます」
わたし「だからわたしは…」
入部届けを見るとわたしの名前が書いてある
わたし「なんでわたしの名前…」
三久の右手にわたしの生徒手帳があった
わたし「いつの間に…」
ふと思いあたる。わたしが抱き抱えたとき・・・
三久「というわけでよろしくね、高槻彩さん」
わたしはこうして謎のインディージョーンズ部なる部に入ることになった
インディージョーンズ部一回目終わり