石井舞ちゃん失踪事件考1 概要 | 人はパンのみにて生くる者に非ず 人生はジャム。バターで決まり、レヴァーのようにペイストだ。
本件は福島県船引町(現田村市)にて、1991年7月24日夜から25日にかけて発生した。被害者は7歳・小学2年の女児。子供の失踪事件の中では屈指の知名度を誇る。家の中で就寝中に煙の如く消えたと云うところにインパクトがある。

被害に遭った石井家は建設業を営んでおり、事務所を併設していることもあって非常に家が広い。この広い家の中に被害者・弟2人・父親・母親・祖父・祖母・父親の姪・姪の交際者で従業員でもあるKの9人が住んでいた。事件当夜は、姪が郡山の実家に戻っていて不在だったが、母親の友人の娘2名が滞在していた。被害者の生活空間は2階でここに被害者一家が住み、祖父母と姪・Kのカップルが1階で生活していた。玄関は1階と2階双方にあり、2階へは外階段を使って直接アクセスすることが出来る。また1階と2階は外階段を介さずに内部で行き来することが出来た。つまり、幾ら2階の施錠に気を配っていたとしても、1階の扉が施錠されていなければ、意味を成さないものとなってしまうわけである。

事件当夜、21時に父親と弟2人が一緒に就寝。21時20分に祖父母がタクシーを使って外出、カラオケスナックへ。21時30分に被害者と友人の娘2名が川の字になって就寝。これは父親たちとは別の部屋である。この時点で在宅し、且つ就寝していないのは母親とKの2人となる。22時半、母親が被害者たちの様子を確認、タオルケットを掛け直す。これが最後の目撃情報となる。母親は洗面所に移動したが、洗面所にて1階玄関扉が閉まる音を聞く。窓から外に目をやると、外出するKの姿を確認。コンビニにでも出掛けたのだろうと思い、特に気に留めることはなかった。但し、Kが夜に外出するのはこの時が初めてのことだったようであるが。

1階の鍵は掛けられていない状況だが、その点を気に留めている様子もない。母親はその後、1階へ移動して入浴。すると再び1階玄関扉の閉まる音が聞こえ、続けて誰かが階段を上って2階へ行く音が聞こえた。母親は祖父母がカラオケへ行ったことを把握していなかったので、この音の主を祖父母であると認識したと云う話がある。しかし上る音は聞こえたが、下る音は聞かなかったとの由。いずれにせよ、このことについても母親は気に留めることなく入浴を終えて2階へと戻る。これが大体23時頃となるようだ。母親は父親(=夫)と弟2人と共に就寝するも、寝つきが悪く1時間程度は目が覚めていた。午前2時、カラオケスナックから祖父母が帰宅。1階玄関が施錠されていなかったことをこの時、知る。加えてKが不在であることを問題視、2階寝室にて就寝中の父親(=息子)を起こすが、父親は睡眠を邪魔されたくなかったのか、明朝にKを問い質す方針を伝達してその場を収束。父親は午前4時半までには起床し、事務所へと移動、仕事の準備を始める。その際、2階玄関扉の鍵が閉まっていないことに気付くが、さほど気に留めず。

事件が発覚したのはそれから1時間ほど経った5時半頃。被害者と川の字になって寝ていた母友人の娘2名が事務所から戻った父親に被害者の不在を告げたものである。この時、Kは未だ不在である。被害者の姿を求めて30分ほど捜索した後、警察へと通報。Kが帰宅したのはそれから更に30分ほど経った午前6時半であった。警察の捜査で外部からの侵入の痕跡がないことが判明、内部犯行説一色となる。犯人として最も疑われたのはKであった。警察署で2週間缶詰状態となったが、逮捕されることはなくそのまま解放された。Kにはアリバイがあったからである。しかしそのアリバイは中々不自然極まりないものであった。本件の本質、その軸となるものがこの「アリバイ工作」の内にある。