しばらくぶりの読後録。しかも映画関連以外の。
原題「The Economist'sHour」…
ニューヨークタイムズ記者のビンヤミン・アッペルバウムが1960年代からおよそ40年間、シカゴ学派の経済学者がいかに政権や中央銀行に関はつたか、そしてその結果アメリカがどのやうな社会になつたかを明らかにする。
規制の撤廃、市場原理主義、再分配の軽視…。
富裕層の減税でもトリクルダウンは起こらず産業の空洞化は進み、
為替介入をせずドル高を放任することで消費者は安い輸入品を求め、製造業は衰退し、「ものづくりの国」が「消費者の国」へ。そして、銀行の規制緩和はサブプライムローンを生む。
自由貿易を進めたチリの経済は浮上せず、国内産業を保護した台湾は経済を大きく成長させた。
市場原理主義が米国や世界にどのやうな影響を及ぼしたか。
ひところの「規制緩和」「非関税障壁の撤廃」「小さい政府」…たとへ、不要・有害な規制や干渉はあつてもその弊害をなくすため市場に全てを委ねることがいかに不適切かが見えてくる。