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株式会社丸信 代表取締役 平木洋二のブログ
包装資材販売、シール・ラベルの印刷、紙器印刷加工業を営む株式会社丸信の社長のブログです。

GWが明けた。

 

新工場への引越しもあり、前半に社員さんの披露宴で鹿児島へ日帰りした他は、不測の事態に備え、遠出もせず、地元でのんびり過ごした。

実に「よく走り」「よく飲んで」「よく読んだ」

 

読書はキーエンスについてのこの2冊。

 

 

 

1冊は日経BPの記者が取材してまとめたもの。

もう1冊はキーエンスOBの著書。(過去にこの方の高額なセミナーを東京で受講している)

 

営業利益率55%、社員の平均給与2,200万円。

誰もが羨む、「謎」の高収益・高待遇企業。

製造業の経営者として秘密を知りたいと思わない方は少ないだろう。

 

時価総額が日本屈指(2024年5月2日現在でトヨタ、三菱UFJに次いで第3位)の割にメディアへの露出が極端に少ない。

日経ビジネスの過去記事検索でもヒットするのは僅かな記事だけだ。

世に情報が出回っていないのだ。

 

だから、これまで、ただ「キーエンス」と謳ってあるだけで本は即買いしたし、OBが登壇されるセミナーも可能な限り受講してきた。最近もキーエンスOBの人事コンサルという方を紹介され、WEBでお会いした。

 

意外に思われるかも知れないが、キーエンスは自社の製造設備を有しないファブレスーのメーカーだ。

 

これまでに受講したセミナーや公開情報から得た事、そしてこの2冊から得られた情報を併せて要約すると、以下のような特徴を持つ企業だ。

(解像度はまだまだ低いと思われる)

 

何が凄いのか?

 

 ファクトリーオートメーション用の各種センサーやバーコードリーダー等を主力製品とするファブレスメーカーである。

 販売代理店は置かず、自社の営業パーソンによる直販に拘っている。彼らが訪問し顧客ニーズをヒヤリングし製品開発に活かす。さらに製造現場の観察からお客様の潜在的ニーズ・問題点を徹底的に探り、それらを社内で共有化する。さらに追加で多くの他の顧客にもヒヤリングし、深掘りした上で、それら問題やニーズを確実に解決できる製品に仕立て上げ製品化した後は、それを共通の悩みを持つであろう全国の顧客に横展開し、販売する会社である。

 製品のどれもが顧客の問題点を解消できたり、潜在的ニーズを満たす、これまで世の中になかったオリジナル製の高い製品だから、粗利80%以上を確保しても、顧客は喜んで買う。新製品の70%以上が世界初のものだとか。また自社物流倉庫にこれらの製品が全てストックされており、高額な製品であってもほぼ当日に出荷できる体制を整えている。

 

 これらが全社レベルで確実に実行されるように、営業にはいくつものKPIが設定されていて、毎日繰り返されるロープレによる訓練や幾つかの監視制度によって確実な実行が行われている。

 また現場で得た顧客の生の情報を的確に報告することも義務付けられおり、これを営業がサボタージュできない仕組みも構築されている。

 また営業は製品別にエリア担当制となっており、一見すると縦割り組織の弊害に陥りそうだが、別の製品担当や同製品の別エリアの担当への情報提供が人事評価に組み入れられていたり、インセンティブを与えられる制度になっていることでこれを防いでいる。

 

 さらに営業のスピード感が競合他社とは段違いで、実機を顧客現場に持ち込んでのデモンストレーションやデジタルマーケティングとの連動、見積もり提出、納品までがとてつもなく早い。

 

 全社員が営業利益と連動した報酬体系となっているので、皆が会社全体への貢献を意識して行動している。

これらを高いレベルで維持し実行し続ける力が凄いのだ。

 

一言集約すると

 

「組織全体で顧客の問題を解決し続けていて、その結果、高い収益力と高待遇を実現している企業」

 

ということになるだろう。

 

弊社も現場で得たお客様のニーズを営業が発信する仕組みや、お客様の問題を解決できた事例を集約し、営業全体に周知、横展開する仕組みはある。

ただ、その圧倒的な徹底ぶりに違いがあるのだ。

 スピードも意識しているつもりだが、営業個々に頼り過ぎており、役割分担するなどの仕組み化に問題があるのだと思う。特に社内の納期交渉に営業の貴重なリソースが多く削がれている現状は反省しなければならない。

 

 彼らのこの報酬制度や正しい行動を促すKPI、それらの実行を確実にするための数々の仕組みは大手企業になる前からあったのだとか。

 

仕組みや構造によって偉大な会社になったのだ。

 

まだまだキーエンスの全体像を捉えたとは言えないだろう。

あと数冊読んだり、あと数人から話を聞ければさらに解像度を上げられると思う。されど企業は生き物。こうしている間にも、どんどん先に行ってるはずだ。

しかし、自社の改善点や即実行すべきことも明確になった。

 

どんなに良い本を読んでも、良いセミナーを受講しても、素晴らしい企業を訪問し、経営者に直接話を伺う機会を得たとしても、自社に持ち帰って、行動を起こさねば何も変わらない。

 

これら僥倖を無駄にするだけだ。


朝のオフィスにて