自宅は築50年越えの空き家をフルリノベーション
インテリアと家づくりが学べる、一級建築士のブログ
家づくりの際に自分自身で間取りを考えるという方、実は少なくありません。
間取りを考える程度であれば正直そんなに難しい話ではなく、パズルを完成させていくような感覚で案外誰でも出来てしまうものです。
とはいえ、以前から何度か書いてきたのですが自分自身で間取りを考えるのは個人的にはオススメしません。
上の記事でも書いたとおり、建築士や営業によってはお客さんが書いた図面に何もアドバイスすることもなく、そのまま進めてしまうリスクもあるのです。
家が完成してから
「ああ、もっとこうすればよかった…なんでアドバイスくれなかったんですか?!」
と営業に文句を言っても後の祭り。
「え?あなたが考えた間取りですよね?」
と言われておしまいです。
もちろん親身になってアドバイスをくれたり、はっきりとダメ出ししてくれる方もいるでしょう。
しかし我々プロであっても一度図面を見てしまうと、どうしても無意識のうちにその図面に引っ張られてしまうんです。
先入観が生じることによって、本来であれば提案できたはずの間取りが提案できない、なんてことにもつながるので、自分自身で間取りを考えたとしても営業や建築士には見せないほうが良いでしょう。
なので一度プロの提案を受けてから自分で考えた間取りと見比べる、もしくはその後にプロに「実は自分でも考えていて~」と間取りを見せる、というのがベストです。
さてそんな中、自分で考えた間取りを見て欲しいというご依頼を頂きました。
ブログ掲載の許可も頂き、遠慮なくダメ出ししてほしいとのことです。笑
それがこの間取り
とてもよく考えられていますがやはりいくつか気になる点はあります。
ではまずは玄関周辺から。
玄関ポーチはもう少し広げたほうが良さそうです。
内側から勢いよくドアを開けた時、タイミング悪く外に人がいると階段から落下する危険性がありますので。
またシューズクロークからパントリーへの扉があると動線がかなり短縮できそうですね。
その代わりシューズクロークからホールへの動線は不要かと。
壁にして収納力を増やしたいところです。
続いては家具の大きさです。
正確な家具の大きさを把握していないと、家が完成してから「狭っ!」ということになってしまいます。
例えばベッドはシングルサイズでも1000*2000近くありますし、ダイニングテーブルを900角とすると横並びでイス2脚は難しいです。
ソファも3人掛けで大きなものは幅が2000以上だったりします。
また、見落としがちですが壁の厚みも考慮する必要があります。
間取り図は細い単線で書くことが多いのですが、壁には厚みがありますので実際はその分だけ部屋は狭くなるのです。
最後はリビングです。
とある事情で北向きリビングになっているのですが、そうなるとやはり部屋の明るさが心配です。
さらに北面窓の外に屋根付きデッキがあるため、更に日射が遮られてしまいます。
このような場合、デッキの屋根材は強化ポリカなど明るさを確保できるものにすると良いでしょう。
書斎は使い方にもよるのですが扉を設けないパターンもアリかと。
LDKの一部に書斎コーナーがあるような作りのほうが、LDKも広く見えくると思います。
完全個室にすると冷暖房のことも考えなければいけません。
構造に関しては平屋ということもありそこまで心配はないですが、一部壁の位置を調整したほうがより良くなりそうですね。
最後はパースです。
吹き抜けは梁を出さない構造にすることも可能ですが、個人的には梁があったほうが好きですね。
梁にライティングレールを付けたりと、照明計画もやりやすいです。
で、このパースを見たご依頼者さんの感想は
「思っていた以上にリビングが狭い…」
間取り図って不思議と実際よりも広く見えちゃうんですよね。
その原因として先ほどの家具の大きさや壁の厚みも影響しているのです。
しかもパースは広角レンズで撮影しているような見え方で作成しているので、実際はもっと狭く感じるかもしれません…
以上になりますが、プロアマ問わず間取りを第三者に見てもらうというのはそれなりに意義があります。
自分では気付けなかったことがどんどん出てきますからね。
以上になります。
このように間取りチェックやパース作成は随時受け付けております。
費用の目安は
簡易的な間取りチェック&アドバイスが10,000~20,000円(税別)
CGパース(1枚)作成が35,000~45,000円(税別)
となっており、家の大きさや形状によって価格が変わってきます。
ブログ等で公開してもいいよ!という方には割引もありますのでお気軽にお声がけくださいね。