自宅は築50年越えの空き家をフルリノベーション

インテリアと家づくりが学べる、一級建築士のブログ

 

 

 

昨年、近所に全く売れる気配のない建売住宅があるという記事を書いたのですが

 

 

あれから10ヶ月経ってもまだ売れ残っています。

 

しかも4棟中3棟も…

 

 

なんと新築住宅なのに築2年4ヶ月となってしまいました。

 

 

 

前回の記事では、売れない原因は間取りにあるのでは?

 

と考察したのですが、よくよくこの物件を見てみるとどうやら他にも原因がありそうです。

 

 

 

個性的なデザインは危険 

 

住宅設計においてデザインも大事な要素であることは言うまでもないでしょう。

 

国交省・住宅局の令和4年度住宅市場動向調査報告書によれば

 

 

一戸建て建売住宅を購入した人の半数以上が「デザインが気に入ったから」と回答しています。

 

あの売れ残り建売住宅(以後、某建売)もかなりデザインを売りにしていたのですが、ここに落とし穴があります。

 

 

建売住宅の場合、個性的なデザインより万人受けするデザイン、いわゆるシンプルデザインがベストなのです。

 

 

某建売のLDKはブルーのキッチンにネイビーのアクセントクロス、ヘリンボーン柄のクロス、これでは好みが大きく分かれてしまうので、売れ残ってしまった理由のひとつになるでしょう。

 

壁や設備に色が入っているとインテリアコーディネートの選択肢がかなり狭まるんですよね。

 

これが嫌だという人はけっこう多いはず。

 

なので建売はシンプルな内装で家具やインテリアでおしゃれ感を演出するのが基本です。

 

 

 

 


 

地方都市で道路の狭さは死活問題 

 

 

先ほどと重複している項目もありますが、こちらも建売を購入した人へのアンケート結果。

 

 

やはり立地環境が上位にランクインしています。

 

某建売は比較的駅や学校に近く一見良さそうな立地に思えます。

 

 

しかし全面道路の幅が4mと狭く、車がすれ違うのもやっとなのです。

 

近隣道路の狭さは日々のストレスにもなるので、車社会の地方都市では道路幅を気にする人は案外多いんですよね。

 

 

とはいえ道幅が狭くてもその道の交通量が極端に少なければ話は別です。

 

実際我が家の前面道路幅も4mちょっとなのですが、袋小路で車同士がすれ違うことは稀なためストレスに感じることはありません。

 

 

残念ながら某建売は交通量もそこそこあり、学校も近いため歩行者も多いのです。

 

 

 

 

売れ残り感はマイナスイメージ 

 

完成後1年経過するとその住宅は新築住宅と呼べなくなります。

 

未入居物件という中古住宅のような扱いになるのです。

 

なので住宅会社はなんとか1年以内に売り切るため、築後半年くらいから値下げを始めます。

 

しかし某建売はおそらく1回値下げをしたきりで、1年以上販売価格が変わっていません。

 

なぜここまで頑なに値下げしないのか…謎です。

 

 

3年近く経過すると白系の外壁は汚れが目立ってくる場合もあるので、余計にイメージが悪くなりそうです…

 

 

 

果たしてこの先いつ売れるのか、今後も追ってみます。