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自宅は築50年越えの空き家をフルリノベーション

インテリアと家づくりが学べる、一級建築士のブログ

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SNS上で度々論争を呼ぶ「来客用玄関」

 

実際にそのような間取りにして後悔している、という記事があったので引用させていただきました。

 

 

家づくりの失敗談って人にはなかなか話したくはないと思うのですが、このように間取りや写真まで公開して下さる記事は超有益です。

 

これから家を建てる人とっては是非参考にしたい記事ですね。

 

 

逆に家づくりにおける成功談は鵜呑みにしてはいけません。

 

何をもって成功かは人それぞれ価値観によるところが大きいので、そもそも参考にならないことが多いのです。

 

むしろ他人の価値観に洗脳されてしまうと、家を建てた後に後悔する危険性も高まりますからね。

 

 

 

もちろん失敗に関しても価値観による部分はあるのですが、

 

「なぜ失敗したのか」という部分まで深掘りすることで、自身の家づくりの際に活かせるはずです。

 

 

例えば今回の記事ですが、そもそもなぜ来客用玄関を設けたのか?という点を紐解くと、新たな答えが見えてきます。

 

(記事内の間取りを一部再現させていただきました)

 

記事によると「当時住んでいたマンションの玄関が狭く収納スペースも少ないため、常に物があふれ来客時に片付けるのも苦労したため」とあります。

 

 

これは私の想像なのですが、数年前SNSを中心に来客用玄関が流行った時期がありました。

 

もしかしたらそのタイミングも重なって、このような間取りを取り入れたのではないかと推測します。

 

 

コロナの時には玄関の手洗いコーナーが話題になったりと、間取りや設備にもその時代の流行りというのがあるのです。

 

 

 

 

とはいえ流行りに乗ることはリスクもあり、物事の本質をちゃんと考えないといけません。

 

「玄関が狭く収納スペースもなかった」のであれば、「玄関を広くして収納スペースを設ける」というシンプルな考え方でよいのではないでしょうか。

 

 

余計なお世話というのは重々承知なのですが…

 

少々間取りをいじらせていただきました。

 

          ↓ ↓ ↓

 

来客用玄関はシューズクロークとホールからの収納に変更、これだけで問題は解決しそうな気がします。

 

住宅の場合、床面積の10%は収納を設けるというのが定説です。

 

このお家は33坪(66畳)なので、最低でも6畳分くらいの収納は欲しいところですね。

 

個人的には15%は欲しいところですが…

 

 

 

それにしてもこのお家、なかなか面白い間取りです。(いい意味で)

 

 

玄関ホールとLDKの間に扉無し、というのは私も何度かやったことありますが、その度に賛否両論が巻き起こります。笑

 

冬期の暖房負荷やプライバシー性などを考えると扉を設けるのが理想的ですが、海外では玄関ホールのないワンルーム的な間取りも多いです。

 

 

 

また4.5帖の洋室はおそらく子供部屋だと思うのですが、畳スペースと入れ替えたほうがリビングと畳が一体的に使えて良いのかな、と。

 

 

 

寝室への動線が2つあるのも特徴的です。

 

キッチンの向きは好みが分かれるところではありますが、一般的な対面型にしてみました。

 

回遊動線も人気の間取りですが、デメリットもあるので注意が必要です。

 

 

延床面積30坪前後のお家ですと、そもそも移動距離が短いので回遊(距離短縮)による恩恵が少ないんですよね。

 

それなら収納力を増やしたりするほうが、結果的に暮らしやすくなると思います。

 

 


 

あれこれ好き勝手に間取りをいじってしまいましたが、これが正解とは限りません。

 

間取りは様々な理由な要因があって決まるので、一見使い難そうな間取りも何か理由があるのかもしれませんからね。

 

 

 

私も自宅の失敗談について何度か書いてますが、気持ちのいいものではありません。笑  

 

なのでこのような記事を書いてくれたことに、建築士として改めて感謝と敬意を込めてm(__)m