一級建築士である私が設計した物件をはじめ、インテリアや家づくりについて情報発信しています。
また、築52年の中古住宅を購入しリノベした記録、日々の暮らしについても書いています。
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日経アーキテクチュアという業界誌に、家づくりについてのおもしろいアンケート結果が載ってました。
なんと、建主の95%の人が少なからず今の間取りに不満を持っていて、
新築当時に戻れるなら間取りをやり直したい!
とのことです。
最初このアンケート結果を見て
「きっと建てて間もない人が、不満を多く抱えているに違いない!多少使い難い間取りも長く住んでいればそれに慣れてしまい、次第に不満も感じなくなるはず。」
と、思ったのですが
結果はそうではなかったのです…
間取りをやり直したいと考えた人の築年数が以下の通り
10年以内 30.5%
11~20年 30.5%
21~30年 20.3%
31年以上 18.6%
確かに20年以下の割合はやや多めですが、どの年代間でも明確な差は見られませんでした。
なるほど・・・
やっぱり嫌なものは何年経っても嫌なんですね。
しかしこれだけ長年「間取り」というものが研究されて
「使いやすい間取り!」
「家事が楽な動線!」
と、住宅会社が自信満々に謳っているにも関わらず、なぜ間取りの問題は解決しないのでしょうか?
建築士の設計能力に問題があるのでしょうか?
いいえ、そもそも100%満足いく間取りを設計段階で作成すること自体が無茶なんです。
設計段階では合理的で理想的な間取りも、実際に暮らしてみて初めて気付くことも多いですよね。
また当初想定していた生活スタイルが大きく変わることも多々あります。
家族が増えたり減ったり、新たな趣味が増えたり、ペットを飼ったりなどなど…
将来、このような予測出来ないなことが起きる限り、完璧な間取りを作成することは難しいでしょう。
ではこのアンケートで間取りに満足している5%の人は?
そう、
たまたまです。
建築士は預言者ではないので、未来を完璧に見通すことはできません。
そう考えれば多くの人が間取りをやり直したい、と思ってることも理解できます。
ただ失敗する確率を低く抑えることはできるんです。
それは、建築士自身が設計能力を過信せず、極力シンプル(一般的)な間取りを提案することです。(建築士である私自身への戒めも込めて)
施主自身もちょっと変わった間取りを提案されて
「わあ!楽しそう!」
「個性的で自慢できそう!」
と浮足立たずに、
「本当にこの間取りで何十年も暮らしていけるだろうか…」
そう冷静に考えるべきです。
(もちろん個性的間取りを好む人がいるのも事実です)
そして一番最悪なのは、
建築家(?)と呼ばれる人たちが自身のインセンティブを優先し、個人住宅をまるで芸術作品を作るかのように設計することです。
昔、某有名ビフォーアフター番組を見て強く思いました。
素敵な回が多かったのですが、なんだこれ…というのも少なからずありましたね。
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