一級建築士である私が設計した物件をはじめ、インテリアや家づくりについて情報発信しています。
また、築52年の中古住宅を購入しリノベした記録、日々の暮らしについても書いています。
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「そろそろ家族みんなで劣悪な環境の寝室で寝るのやめませんか?」
「子供は子供部屋で寝かせませんか?」
SNSでこんなことを発信した建築士さんがおりまして、炎上とまでは言いませんが軽いボヤ程度の騒ぎになっていました。
「子供と一緒に寝て何が悪いんだ!」
と、これを見た人たちから至極真っ当なコメントが寄せられてましたが、この建築士の方いわく
「高性能な住宅であれば各部屋の温度は一定で温かいので、あえて家族そろって寝室で寝る必要はない」
との主張でした。
それに対して
「いやいや、別に寒いから家族みんなで同じ部屋に寝てるわけじゃない!」と、また至極真っ当なコメントが返ってくるわけです。
両者の言い分は分からなくはないです。
以前こんな記事を書きましたが、24時間換気を止めて家族数人で寝ると確かにCO2濃度は危険な値にまで上昇します。
家族そろって寝るということに、少なからずこのようなリスクがあることは事実です。
しかし子供を小さいうちから一人で寝かせるということにも、また別のリスクがあるのも事実ですよね。
で、今回のボヤ騒ぎのポイントはこの建築士さんにはお子さんがいないということ…でした
「子育てしたことないのに子育てを語るな!」
当然こうなっちゃいますよね。
でも私はこれ自体はそんなに問題があるとは思ってません。
確かに子育てを経験するというのは建築士としてプラスに作用することは間違いないです。
私も子育ての前後で間取りや設計に対する考え方は多少なりとも変わりましたし。
しかし世の中にはで独身で子育て未経験の建築士なんてたくさんいますからね。
なので今回の問題をひとつ挙げるとしたら、この建築士さんによる偏見や過度な先入観ではないでしょうか。
「寒いから家族みんなで一緒に寝てる」
中には実際にそういう方もおられるかもしれませんが、コメントを見る限り多くの方は他の理由があるようです。
「劣悪な環境」
何をもって劣悪なのか、これも根拠を示してもらわないと何とも言えないですよね。
建築士に限ったことではありませんが、人間誰しも少なからず先入観を持っているものです。
しかしそれが行き過ぎて
「寝室はこうあるべきだ!」
という思考になってしまうと、お施主さんにとってベストな提案が出来なくなってしまう恐れがあります。
何事にもニュートラルなスタンスで望むことが大切ですね。
ゼロベース思考は心理学・行動経済学好きの方には是非読んで頂きたい一冊です。